Blog「自給知足がおもしろい」

自給「知」足と称した、貧乏くさい暮らしを楽しむためのブログです。

完璧な自給自足は目指さず、「テキトー」と「いー加減」をモットーにあまり頑張りすぎない、
そんな暮らし方がこの頃なんだか、とてもオモシロイ!と感じています。
自給「知足」的な暮らしは言いかえると「貧乏臭い・ケチ臭い暮らし」でもあります。

でも「ケチ臭いビンボー暮らし」も、そう捨てたものではありません。
ビンボー暮らしは、お金をそれほど必要としない暮らしとも言えます。
そのため、お金稼ぎの作業や仕事に長時間、拘束されずにすみ、
その分の時間を、ヒトが暮らすための作業に使うことができます。

農的で質素な暮らし方が可能で、それにより身近なことで幸せを感じることができたりもします。
また、昔ながらの農的な暮らしは、ヒトも哺乳類の一種として自然の生態系の中で
虫や草や菌類など他のいきものたちと共に生きる暮らし方だったりもします。

そして、こうしたテキトーでいー加減な自給的な暮らしをうまくやっていくポイントは、「知足」? 
人間の欲望は際限がなくてお金をたくさん得られても、たぶんどんなお金持ちになっても満たされません。
でも逆に、小さなちょっとしたことでも、とても幸せに感じられることがあったりします……不思議です。

日々の暮らしの中から「自給知足的な暮らし」を楽しむためのヒント? 
のようなものを、紹介できたらいいなぁ、と思っています。どうか、よろしく。


満身創痍の脱穀機(ハーベスタ)の整備と鈑金

今年も稲がたわわにタネをつけてくれる季節を迎えることができました。ああ、ありがたい。

数日前のことですが、ハサガケしたお米の乾燥具合を測ってみたら、天日干しをしたのは前日だというのに、日当たりのいいとこはもうすでに15%台。美味しいお米を収穫する最大のコツは水分量、特に干し過ぎないことのようにここ数年感じています。
てなわけで「これはマズイ!」と慌てて脱穀機(ハーベスタ)の整備に取りかかかったのでした。

オイル交換の履歴を調べたら、なんと2014年から交換していないことが判明したので、まずはオイル交換。
ドレンボルト(オイル抜きの穴)のある側を低くするため、機械を傾けます。クローラー(キャタピラ)の場合、傾けるのは簡単。下に木っ端を噛ませればいいのです。

傾斜させるのに坂道を使ってもいいのですが、オイルを抜いたあと、フラットな場所でエンジンオイルの量を点検する必要があり、オイルを入れてからではないとエンジンをかけたくないので、エンジンをかけなくても簡単にフラットにできる場所がベターです。

その状態で、ドレンボルトを緩めるとオイルが出てきます。測ってみたら抜けたオイルは約500ccでした。脱穀機はほぼ全開で何時間も回し続けるのでエンジンは意外と過酷な状態に置かれています。そんなわけでほんの僅かなオイルなのだから、ケチらず、安いオイルでいいから頻繁に交換してあげたほうがいい、などと思っているのだけれど、ゴメン、ゴメン、3年もサボってしまいました。ゴメン。

そうでなくてもこのハーベスタ、満身創痍なのでした。
稲わらが噛んでしまい、ひしゃげてしまったプーリはかなり強引な鈑金作業で直してあります。

使っているうちに振動でだんだん緩み、エンジン回転がひとりでに下がってしまうスロットルレバー。知らぬ間にエンジン回転数が下がってしまうと、脱穀したモミを吸いあげる力も弱くなり、途中経路で詰まりを起こしてしまうのでした。機械の中でお米が途中で詰まってしまうトラブルの多くは、案外スロットルレバーの緩みが原因であることが多いように思われます。で、振動でスロットルレバーが動いてしまわないように、レバーの先端に穴をあけ、ヒモでツッカエ棒ならぬ、ツッカエひもを自作。これでかなり米づまりの症状は少なくなりました。

腰に手ぬぐいをぶら下げていた拓郎と違って(若い人たちは知らんだろうけど)、このハーベスタは腰にペットボトルをぶら下げています。
これは何に使うのかというと……

こんな感じで使います。農業機械の多くは、汎用エンジンをなかば強引に取り付けているので、オイルが抜きにくかったり、給油がしにくかったり。底を切ったペットボトルが活躍するのでした(中にゴミが入らないように切り取った底も入れ子にしてはめておきます)。

そして、これもオススメアイテム(と言うほど大したものではありませんが)。ハーベスタを軽トラなどに載せて運搬する際、シフトレーバーの取付部をトラックのアオリに当てた状態で固定することが多いように思います。でもそれをやると、車重がシフトレーバーの取付部にかかってこの部分を破損してしまうことがあります。写真は、アオリにシフトレーバーを当てずに、ハーベスタを固定するためのスペーサー(と言っても、ただの4寸柱の木っ端ですが)。
たこのスペーサーは横にして使うことで、バインダーのタイヤと軽トラのアオリとのスペーサーにもなります。
トラックに乗せて運搬することの多いこの手の農機の場合、こうしたスペーサーを作っておくことが機械を傷ませないポイントのひとつのように思います。

そして今回のメインの修理は鈑金作業。
先日、麦の脱穀の際、思いのほか時間がかかり、機械をコンテナにしまうころにはあたりは真っ暗になってしまったのでした。
あいにく月もなく、暗闇でヘッドランプもなしで、あわてて作業をしたら、足場板がひとつ外れてハーベスタを倒してしまい、外装部品がひしゃげグニャグニャになってしまったのでした。
で、久しぶりに鈑金道具の出番。昔、サビ取り雑誌をやっていた関係で道具だけはひと通りあったりします。

「潰れてしまったパネルは、元の姿に戻りたがっているから、まずはどこを押してほしがっているか、まずはそれを見極めることが大切」と昔、師匠(ケルン石塚氏)に教えていただきました。闇雲に叩き始めないことが肝要なのだそうです。
さらに、叩く場所は分かりやすいけど、裏にあてる当て板をどこに当てるか、それが大切で、それをしっかり考えてから叩く、ということも教えていただきました。オフドーリーと言って裏から当てる当金を叩く場所からズラして当てることが初期の粗出しでは多くなります。
プロと違ってそれらの見極めには時間がかかるのですが、大切なのは叩きすぎないこと。特にオンドーリー(ハンマーで叩く場所の裏側に当て板をあてる)では、金属は伸びやすく、一度伸びてしまうとそれを素人がハンマリングで縮めることは難しく、なるべく叩く回数も少なくしたほうがいい、とのことでした。
そしてこれが鈑金前。

こちらが鈑金後。

素人鈑金だけど、どうにか機能的には問題なさそうなところまで復元することが出来ました。
鈑金した部品を装着し、さっそく試運転。残念ながら問題なしというわけにはいかず、部品と部品の間に少しスキマがあってそこからお米がこぼれてしまうことが判明。
こうしたときはガムテープでベロをつけるのが簡単なのですが、でも手元にガムテープはなく取りに行くのも面倒なので、そのへんにあるもので修理。「藁一本の革命」ではないのですが、ありがたいことに藁一本で革命的におもらしはなくなったのでした。

そしてついに、脱穀開始。

と思いきや、畑の空き地に掛けたハサガケの三脚が沈み、再び軽トラに稲を載せ場所を移動することに。
今年お借りした田んぼは、10月から圃場整備にかかるとのことで、田んぼに稲を干すことが出来ず、畑の空いているところに干そうと思ったら土が柔らかくて三脚がどこまでも沈んでしまうのでした(当たり前ですね)。

いろいろ悪あがきをしてみたのですが、結局ダメでした……。

とまあ、相変わらずの行き当たりばったり、てんやわんや田んぼ作業ではありますが、今年も家族が1年間食べられる分くらいのお米は収穫することができました。
ありがとう太陽、ありがとう大地、そして命をありがたく、いただきます!