電動ケットラ充電物語part2 単相200Vコンセントを作る

 ウチから距離にして6kmくらい離れたところに道の駅があります。娘がハーブ、母が漬物などを出荷させてもらっているのですが、電気自動車の場合、ウチからそこまでうまく走ると、家を出たときより航続可能距離が伸びていたりするのでした。エンジン車にはない不思議な感覚。おかげで軽トラEV、すっかりハマってしまっています。

 MiEV系電気自動車の場合、シフトレバーには「P」「R」「N」「D」「E」「B」の6種類のモードがあるのですが、「E」の位置で踏んでいたアクセルペダルを離すと、エンジン車で一段シフトダウンしてエンジンブレーキをかけたのと同じくらいのブレーキがかかります。
 一方、回生発電最大モードである「B」の位置でアクセルペダルを離すと、エンジン車でフットブレーキを軽く踏んだときと同じくらいブレーキがかかります。いずれの場合も、慣性エネルギーを回生、つまりはモーターを逆に発電機として使い、発電の負荷をブレーキとしてエネルギーを回収し発電してくれるのです。
 だからといって下り坂は常に「B」で走るのがいいのかというと、そういうことでもなくて、レンジをうまく使いいい感じでスピードに乗せながら回生発電をした方が、(クルマにはある程度の質量があるので)多くの電気を回収できるようで、定速を維持しながらフライホイールをまわしている状態をイメージしながら運転するのがどうもよさそうだったりします。
 また、そうした感覚は若者のほうが優れているようで「きょうはループ橋のくだりで12kmも回生した」などと、娘に自慢されたりします(私はせいぜい8km)。あるいは、「暖房付けたら走行可能距離が猛烈に減ってしまったので、モッタイナイから(氷点下の中)震えながら帰ってきたよ」などと「イマドキのクルマ」としては珍しくヒトに我慢を強いることもあったりします。モータージャーナリストの方がレポートしている「アルミステッカーを貼ったときの操縦性」や「応接室のような快適性」などとは違った次元で、電動ケットラの魅力にすっかりハマっています。クルマなんて少し不便で、気遣いが必要なくらいの方が面白いと思うんだよね。仮にもジャーナリストという肩書なんだから、こういうクルマの面白さももう少しまじめに広報して欲しかった(軽トラEV、たった1500台しか売れなかったらしいです)。ついでに言うと化石燃料を使うことを前提とした燃料電池車なんてカスだと思う(すみません、変わり者で)。
 そんなわけで、普段、電気自動車に乗っていて、たまーに内燃機関で走るクルマに乗ると、下り坂で発電できないのがなんとも悲しく、なんだかそれが犯罪のようにさえ思えてしまうのでした。

↑これが航続距離計。「電動軽トラを作ろう!」と思っていた身からすると、走り方によって航続距離数が変わったり、素晴らしく分かりやすくて良くできていると思うのだけれど、いまどきのクルマしか知らない自動車評論家にとってはかなりファジーであてにならないと評判の悪いメーターだったりもします。
 この他に、駆動用バッテリーの残量計が別に付いていて、少なくなるとアラームを発してくれたりもします。


 とはいえ、いくら回生発電がうまくなっても、いつかはバッテリーの電気はなくなります。てなわけで、ここからは前回のブログ「電動ケットラ、充電物語」の続き、です。

 新車が販売中止になってしまったとのことで、軽トラEVの中古を慌てて買ってしまったのはいいけれど、後期型の充電ケーブルに互換性がなかったことから100Vの天ぷら廃油発電機では充電ができず、ウチには200Vのコンセントはないし「はて困った」というところまでが、電動ケットラ充電物語のpart1でした。そのあたり、もし興味のある方がいらしたら「電動ケットラ充電物語part1」も読んでみてください。
「オプションの100V充電用ケーブルを買う」という選択肢もあったのですが、100V用のケーブルは5万円もします。さすがに5万円では家は建たないけれど、5万円は我が家にとっては足クルマを1台買う際の値段に相当、100V用ケーブルは格安の中古などが出るのを待つことにして、別の手段を考えることにしました。
 天ぷら廃油で充電できるように単相200Vが発電できるディーゼル発電機を手に入れる、という魅力的な方法もあるのですが、それにもやはりたくさんの資金が必要で、中古とはいえ高額のケットラを買ったばかりで経済状況は厳しく、とりあえずは、家に200V(ボルト)の電気自動車専用コンセントを作ることにしました。

↑で、まずは家の近くの電柱の確認。右が上流で、左が下流。どうにかウチまでは電線は3本で来ています。ということは、単相3線で接続されていて、分電盤までは単相200Vが来ている可能性あり? だとすると、単相200Vのコンセントの接地もそれほど大変な作業ではないのでは? と期待に胸を膨らませたのでした。


 ついでに説明すると……。

↑写真は最寄りのトランス(電柱の上に置いてあるグレーのゴミバケツのようなものがトランス)。ここまでは、普通(三相3線で)6600Vの高圧電気が流れています(写真の赤い矢印の3本の電線がそれ)。
 高圧のほうが途中での電気の損失がないからなのですが、そんなに遠くから電気を運んでくるということ自体がナンセンスなように私には思えます。「太陽光発電はトランスを越えないから意味がない」などという原発ムラのお抱え学者と同じことを言う人がいるのだけれど、山梨の家庭で発電した電気を東京に送る必要なんかぜんぜんないのです。もしもトランス管内で消費できないくらいに太陽光発電による発電量が多かったとしたらそのトランス管内を広げればいいだけの話。トランスは案外頻繁に定期的に交換しているわけだし、それをしないのは送電網を掌中にしている電力会社の怠慢のように私には思えます。
 電気に関してはいろいろあって、この手のことにいちいち引っかかっていると話が進まないのでこれくらいにして話を進めます。
 三相3線の6600Vは電柱上のふたつのトランスにV型結線され、右の小さなトランス(Tr2)では、たぶん電灯線と動力線が共用の三相4線式で、お隣の洋ランの温室に供給されているものと思われます(青い矢印の4本)。
で、我が家には左の大きなトランス(Tr1)から単相3線式(緑の矢印の3本)で配電されています。


 そしてTr1のトランスの中の配線はどうなっているかというと……こんな感じ。

↑トランス(変圧器)は一次側コイルと二次側コイルの巻数を変え、その相互誘導によって電圧を変える装置なわけですが、単相3線式用では、二次側コイルの両端(L1とL2)の他に、真ん中(N)でも電線を取り出しています。
また、真ん中の「N」のラインは地面と接地(アース)されています。これは中性点接地と呼ばれ、この場合の接地は系統接地であって、洗濯機や電子レンジなどの電気機器の金属部分などを地面にアースする機器接地とは少し異なります。、
そんなわけで、この「N」のラインを境に「L1」と「N」、「N」と「L2」の電圧はそれぞれ100V。そして「L1」と「L2」間の電圧は200Vになっています。
 余計ごとですが……そんなわけで単相3線式は、200Vを取るには便利なのですが、配線図を見てもらうと分かるように、もしも中性線「N」が欠損してしまった場合「L1」と「L2」は直列配線になってしまい、100Vの電気機器に200Vが流れてしまうという危険性もあったりはします。

↑続いて分電盤の確認。カバーを外したら中はこんな感じでした。

↑赤・白・黒の極太線が、漏電ブレーカーにつながれていました。これなら比較的簡単に単相200Vのコンセントが作れそうです。(しかもこの漏電ブレーカーはありがたいことに「単3中性線欠格保護タイプ」でした)。

↑分電盤を細かく見ると、こんな感じになっています。
写真の白の矢印の端子が中性線「N」(=グランド)で、赤の矢印の端子は「L1」。(多線式屋内配線の規程通りに正しく配線されていればL1相にはメインブレーカーからの赤のラインが配線されています)。一番下の黒の矢印の端子は、これも電圧線でL2。黒の電線で配線されていてこちらの相がL2相(L1相やL2相、同相別回路や異相回路などが問題になるのは屋内電力線を利用したPLCなどの場合ですが)。
 また家庭配線の識別色ですが、自動車の電装系のようにしっかりと使い分けられておらず、しかも自動車とは異なるので注意が必要です。ちなみに自動車電装系では、黒がマイナスでボディアース、赤はプラス、白は始動系、緑は信号系だったりします。


 ところで、200V用のコンセントを設置する場合、普通は3芯のFケーブルを新たに引きまわし、ブレーカーも追加するのだと思うのですが、分電盤をよく見てみたら、アース線の入った3芯のFケーブルで配線されたスタンドアロンなブレーカが見つかったのでした。2馬力(1500W)という100Vとしては限界ギリギリのモーター出力を備えたエアコンプレッサー用に設置したコンセントで、しかもポンコツコンプレッサーなので室内でタンクが爆発すると危険だと思い、コンプレッサー本体は屋外に設置していたのでコンセントも屋外にあるのでした。最近コンプレッサーは殆ど使っていないので、今後コンプレッサーを使う場合は、子ブレーカーを落とさない用に注意しながら別の屋外100Vコンセントから使うことにして、このブレーカーの「N」が刺さっていた端子に「L2」のラインを接続してあげれば、Fケーブルを新たに引きまわさなくても200Vのブレーカーが簡単に作れそうです。

↑L1相(上)の右から3つ目。ひとつだけ緑になっているブレーカーがコンプレッサー用の独立したブレーカー。ここのN端子にL2を接続することでコンプレッサー用に使っていたコンセントを単相200Vとして使えることになります。また、写真の緑の矢印はこのブレーカーのFケーブルに混ざっている(機器用)アース線です。
 ここまで作業手順をひと通り確認した後、専門家の意見を聞くことにしました。第一種電気工事士他、たくさんの免許を持っている大阪の友達に写真を送って、これで間違いがないか教えを乞うことにしました。
 すると、さすがは和田さん! 新しいアイデアが出てきたのでした。
「右から三番目のブレーカーの結線を変更するのはブレーカーを一度外すなど少し面倒だけど、右端のひとつ外れたところにあるブレーカーと、コンプレッサーのブレーカーとを入れ替えれば、結線も簡単だし、うまくすると配線が届きそうなので線を新たに用意しなくてもすむのではないか?」とのアドバイスをいただいたでした。

↑これは結線後の写真ですが、右端のブレーカーの上側にコンプレッサー用コンセントに向かっていた配線を接続し(緑のアース線は従来通り)、入力側(ブレーカーの下側)にはL1とL2を接続。
また、和田さんからのアドバイスで「簡単な作業ではあるけれど、それでも電気工事士の資格を持った人に必ず確認してもらってください」とのことで、同じ町内にすむ友人の電気工事士の方に最終チェックをお願いしました。中村さん、ありがとうございました!
 そんなわけで、200V用のブレーカーを作るという分電盤での作業は、圧着さえも必要なくホンの5分ほどの作業で、残るはFケーブルの末端に200Vのコンセントを取り付けるだけ。
 コンセントは、電気自動車用の専用コンセントなるものがあり、少し高いのですがそれを使用することにしました。東芝製とPanasonic製とがあり、迷わずPanasonicを選びました。

↑屋外用とのことでパッキンなどはしっかりしているのですが、それでも雨ざらしは心配なので栗の丸太を割ってコケラを作り小さな屋根をセット。

↑コンセント自身はなかなか良くできていて、下向きの差し込みながらもヒネることなく、抜け止めのロックができる構造。しかしそれにしても我が家には不似合いなモダンなデザインのものが付いてしまいました。

↑下側に開くフタの部分に突起があって、プラグ側にある溝がそこに刺さり抜け止めになるという寸法です。 



 そしてついに電気自動車に接続! 今度は「FAULT」の赤いライトは点灯せず、グリーンの「Charge」が点灯! ようやくどうにか充電ができるようになりました。
メデタシ! メデタシ!! ヤッター!!! と思った次の瞬間、メインのブレーカーが落ちるというトラブル発生。どこか漏電したかと心配になったのですが、よくよく考えてみるとこの充電ケーブルでの充電は電圧200V(ボルト)電流15A(アンペア)で、つまりは消費電力3000W(ワット)なわけで、100Vで換算すると3000W=100V×30Aなわけだから、311以降アンペアダウンをして20A契約にしていた我が家のブレーカーではたとえ他に一切電気を使っていなくてもブレーカーが落ちてしまうのでした。

↑基本料金が倍になってしまうのですが涙を飲んで40Aに変更。おかげでそれ以降はブレーカーが落ちるようなことはなくなりました。また、電力計がスマートメーターなので、手動ブレーカーは必要ないとのことだったのですが、留守中に断絶しても自動復帰してしまっては断絶したことが分からないので、スルーではなく無理を言って手動ブレーカーを取り付けてもらいました(契約アンペア変更の工事は電力会社が無料でやってくれました)。
 さらに、ブレーカーの工事に来た人に聞いたところ、内線作業を行う場合、ブレーカー(メイン)は中性線がスルーなので、工事をする際などはブレーカーではなく漏電遮断器で断絶した方がいい、とのことでした(停電時に発電機をつなぐような場合もたぶん同様)。
 そんなわけで天ぷら廃油での充電はできず、3000Wの消費電力を独立型太陽光発電で供給するにはかなり大掛かりな設備が必要そうで、ここしばらくはグリッドタイインバーターにつなぐパネルを増やし、電気自動車の発電はなるべく晴れた昼間に行う、ということにしました。、

 グリッドタイインバーターの場合も、L1相とL2相にそれぞれ別のグリッドタイインバーターをつないだら、どうなるのだろうか?(中性線での位相のズレとかは問題にならないのだろうか?) だとか、3000Wを3〜5時間供給するためのバッテリーはどのくらいの容量が必要なのだろうか? あるいは、電動ケットラ3年落ちなのになんでこんなにサビが多いのだろうか?(車体の個体差なのか?)、などなど分からないことがたくさんあって、電動ケットラ、このさきもまだしばらく楽しませてくれそうなのでした。

■追記■
ブログ読者の方から教えていただいたのですが、MiEVトラックは1500台も売れていないとのこと。2,016年10月の時点で総販売台数は1001台、残りの新車が25台あってそれが全部売れたとしても、販売総数は1030台弱とのことでした。ありがとうございます。


このあとは、電動ケットラ充電物語part3 に続きます。