「あれ、この雑誌、カトゥーンが5人だ!?」
そのことに気がつき、ふと足を止めた女子高生が「この写真はいったい何?」と気を止めてくれることがあるそうです。
そしてこれがあのときから時間を止めている福島のスーパーの書籍売り場の写真であることを知り、言葉を失います。
中筋純さんの写真展「流転 福島&チェルノブイリ」をみせていただきました。
私の時間を止めたのは、ラックの中に雑誌「自休自足」の表紙を見つけた瞬間でした。
あのときから時間が止まっていたのか!
でも実は、時間は止まっていなかったのです。
ヒトという生物による活動が止まっただけ。
衝撃的だけど、美しい。美しいけれど、悲しい光景。
たとえば中筋さんが切り取ったチェルノブイリの写真には俗にいう「ネックレス」のような写真はありません。
そこには、素朴だけどお洒落な、素敵な笑顔のおばあさんが写っていたりします。
中筋さんからにじみ出る「優しさ」というフィルターを通している分、余計にその写真の奥にまで思いをはせることができるような気がしました。
汚染された土を集めたフレコンバッグから生える植物たち……この写真にもやられたなぁ。
生えているのはムカシヨモギだろうか?
ゴッホ、ゴーギャン、モネ、ロートレックなどの芸術家を魅了した禁断の酒「アブサン」を生み出したのもヨモギ。
そしてオウシュウヨモギはウクライナ語でチェルノブィリ。
たくさんのことを思ったけど、クズ、ヨモギ、セイタカアワダチソウ、カナムグラ……雑草と呼ばれている植物たち、それに菌類の力強さと共に美しさを見せつけられた写真展でもありました。
そしてそれと同時に、ときとして忘れてしまいがちだけど、「我々が住んでいる日本という国の中でいまなお腐海は進行中である」ということを忘れずにいる必要がある、という思いを強く持ったのでした。
中筋純さんの写真展は、7月6日まで、長野県の茅野市民館で行われています。
https://www.facebook.com/events/250418201994872/
茅野市民館は茅野駅から徒歩1分ほど。また併設の駐車場は3時間まで無料で駐車できます。
藤森氏などを審査員に、公開プロポーザルという形で古谷誠章氏によって設計された茅野市民館。各所にアイデア満載で美術館や図書館のあるこの建物自身も素敵だったりしました。
このあとの写真展の予定です。
大阪展 7月21日(木)〜27日(水)ニコンサロン大阪
北海道展1 7月22日(金)〜27日(水)函館市芸術ホール
http://www.zaidan-hakodate.com/gjh/geijyutu/
北海道展2 8月2日(火)〜7日(日)札幌市民ギャラリー
http://www.sapporo-shimin-gallery.jp
神奈川展 8月30日(火)〜9月4日(日)アートフォーラムあざみ野横浜市民ギャラリー
愛知展 10月18日(火)〜23日(日)名古屋市民ギャラリー
京都展 11月1日(火)〜6日(日)同時代ギャラリー/京都三条
<2017年>
長崎展 1月11日(水)〜15日(日)長崎県美術館 県民ギャラリーC
福島展1 3月7日(火)〜12日(月)郡山市ビッグアイ市民交流プラザ展示室
福島展2 3月14日(水)〜21日(祝)福島市テルサ福島4Fギャラリー
お近くの方はぜひ!
見て感じてください。