ユンボの修理(油圧シリンダーのパッキン&シール交換)の備忘録


 考えてみると……、このところのブログは、うまくいったことを選んで紹介する、という傾向に陥っていたように思います。でも自給的な暮らしの実際は、いつもうまくいくことばかりではなくて、けっこう失敗も多くて、ときには失敗の連続だった、なんてこともあったりします。
 概して、毎日が楽しい自給的な暮らし……なのですが、でも、いろいろなことがうまくいかず打ちのめされそうになる日もあったりするのでした。今回は、そのあたりのことも含めて紹介させていただきたいと思います。


まず、朝起きたら、なんだか家の中が臭い……。階下に降りたら、犬が素知らぬ顔。こうしたときは何かあるのです。恐る恐るシーツをはぐると、やっぱりありました。でもまあ、仕方ありません。顔は若いのですが、人で言うと、90歳以上の老犬なのだそうです。このくらいの歳になると本人が意図しないときに出てしまうことがあるようです。

 気持ちを切り替え、犬と共に外に出てみたら、薪棚が崩壊していました。

 ここは寒冷地なので、冬に地面が凍結して隆起するのです。そこでその分を見こして10センチくらい柱が隆起しても大丈夫なようにフレキシブルに柱を固定したのですが、それが裏目に出たのでした。この薪棚を作ったのは冬。暖かくなった今、逆に地盤がさがり、柱が枠から抜けてしまい、一気に崩壊してしまったのでした。目立つ場所なので、一番きれいに積んでおいたのに……。
 薪棚の崩壊は見なかったことにして、さらに進むと地面に黒いシミが。
ガマガエルの油汗のように、ユンボの油圧シリンダーから油が漏れていたのでした。あーあ。

 悩んでいても解決しないので、とりあえず、分解。
■まずは、ゆるみどめリングのツメを戻します■

↑ドライバーなどを使って、折られているツメの部分を元に戻します。

↑古いユンボの油圧シリンダーのゆるみ止めはこんな風になっています。なかなか合理的。
■次に、パイプレンチなどを使ってシリンダーヘッドをまわします■

↑以前、ユンボの修理のために購入した特大パイプレンチを使って、油圧シリンダーを固定しているフタの部分(ヘッド)をまわします。このとき注意するのは、もしもパイプレンチがはずれた場合のこと。パイプレンチのギザギザでピストンロッド(ピカピカの部分)を傷つけてしまったら大変。ピストンロッドを一番引っ込めた状態で作業ができればいいのですが、それだと今回のシリンダーの場合はレンチを掛けることができず、ピストンロッドの部分に布を巻いて、作業を行いました。
 でも、これそう簡単にはゆるみません。
■パイプレンチの柄を延長■

↑単管パイプが刺さればよかったのですが、このパイプレンチの柄の先端は太くなっていて、単管が入らないのでした。そこでチャンネル材を見つけてきて延長。持っているだけでもかなり重くて、レンチがはずれたら大変なのでこの作業はふたりでやったほうが良さそうです。
■油圧を抜いておく■←忘れがちだけど、これ極めて重要!

↑レンチを使わなくても手でゆるむくらいまでになったら手で緩めます、が、その前に操作レバーをカタカタやって油圧を抜いておきます。これ大切。
 今回はピストンロッドを一番縮めた状態でやろうとしてレンチがかからず、そこでエンジンをかけてピストンロッドを少しだし、そのまま(油圧がかかったまま)の状態になってしまっていたのでした。
 で、その状態でヘッドをまわし、ヘッドの最後のねじ山を超えると(シリンダーの中に油圧がかかっていたわけですから)シリンダーの中の作動油は爆発的に噴出します。
 残念ながら、このときの写真はありません。なぜなら、あの独特の臭いの作動油を大量に顔で受けとめてしまい、目も開けられない状態で水道に走ったからです。お気に入りのブルーのチェックのシャツも油でグチョグチョ。せめてもの救いはネジが固かったので作業をしていたのが娘ではなかったこと。「あの娘、すれ違うと、なんとなく重機の臭いがするよね」って言われずにすみました。
■服を着替えたら、ピストンロッドの固定ボルトをはずします■
 ピストンロッドを固定している36ミリのナットをはずします。でもこれもかなり固い。そこでここでも柄の延長。今度はラチェットハンドルだったので単管パイプが刺さりました。質実貢献なコーケンのラチェットにパイプを延長し、ナットをまわします。

 無造作に「グイッ」と力を加えたら、あっけなくまわりました。でもなんかオカシイ。よく見たらナットは緩まず、ラチェットが壊れたのでした。あーあ。

 内部のピンが折れてしまいました。力のかかるボルトを緩める際は、(たとえ1/2インチ角でも)ラチェットは使わず、十字レンチなどを延長して使った方がよさそうです。

↑仕方なく、ここでもパイプレンチ+チャンネル材。チェンネル材が重いのが難点ですが、この組み合わせ最強です。
■ピストンロッドをはずします■
 ナットが外れたら、ピストンロッドを固定しているシャフトを抜き取るのですが、このとき摺動部にシムが入っています。どこに何枚シムが入っていたかを確認しながら慎重にはずします(記憶したつもりでも忘れてしまいがちなのでメモしておいたほうがいいです)。

 で、次にピストンロッドをシリンダーから引き抜くのですが、渾身の力でやって少し引き出せても、手を離すと戻ってしまいます。どうもバルブが開いていない様子。操作レバーをカチャカチャやって、圧を抜いてもダメ。いま考えてみると、ニュートラル位置ではなく、レバーはピストンを押す位置が良かったのかも? あるいは本来はホースをはずし、圧を抜くのが正解なのかもしれません。
 でもこのときはそんなことは思い浮かばず、エンジンを掛けてレバーを操作し、油圧で抜くという荒業に出てたのでした。
そしてこれも大失敗。ピストンが抜けると同時に、大量の油が滝のように流れだしたのでした。

↑ピストンロッドは抜けたけど……。

 地面には作動油の水たまりが……、あーあ。

↑ピストンロッドの先端部。つまりこの部分がピストンで、アメ色の部分がウレタンのパッキン。このパッキンがシリンダーとピストンとのスキマを埋めるシールになっていて、ピストンが押されたり引かれたりする際の受け(=ピストンリング=シール)になっているわけです。ただ、この部分はとりあえず問題なさそう。でもせっかくバラしたついでなのでこの部分のシールも交換することにしました。

 どうもダメなのは、シリンダーヘッドのシールなのですが、シリンダーヘッドをピストンロッドから抜くためには、ピストンをバラす必要があり、そのためには先端部のナットを緩める必要があります。そこで再び、ピストンロッドエンドにシャフトを通して固定し、ユンボのアームを治具にしてナットを緩めました。そしてこのナットもかなり硬く締まっていて、柄を延長したパイプレンチでやっととこさゆるみました。
■シリンダーヘッドの分解■
 これでようやくシリンダーヘッドをピストンロッドから抜くことができました。

↑サークリップをはずしてさっそく分解。

↑左が中から出てきたロッドパッキン。漏れの元凶はやっぱりココでした。壊れるのはたいていココと、その外側に付いているダストシール。

↑新品のNOKのIDI40 55 10(=内側摺動パッキンで、摺動ロッド径40 外径55 厚み10の意味でそれがそのまま品番になっています)に入れ替えます。値段は538円でした。この手のパッキンは汎用品なので自分で実測し、汎用品をパッキン屋さん(今回はここから取り寄せました)から個別に取り寄せると、とても安く調達することができます。
次はシリンダーヘッド外側につくダストシール。そしてこれがクセモノ。

↑スキマにタガネを打ち込み、シールを壊して取り除きます。

↑やっと取れました。
あれ、でもよく見ると、まだ何かある……。

↑こじったらクリップが。実はダストシールはクリップで固定されていたのでした。でも、かなりしっかり固着していたのでクリップを外しても壊さない限り取れなかった……と思いたい。

↑左が新品。これもNOKのダストシールで、DKB 40 52 7 10という汎用品に交換。

↑ゴムの部分を傷つけないように当て金を使い、斜めにならないように注意しながらダストシールを叩き込みます。

 この頃から日が傾きだし、どうにか暗くなる前に組み上げようと焦って作業をしたらまたまた大失敗。
 ピストンロッドにピストンを固定するナットには割りピンがあって、割りピン穴を合わせるためにはかなりのトルクで締める必要があるのでした。渾身の力でナットを締め、やっとどうにか割りピンが入ったと思ったら、なんとなんと、ピストンロッドにシリンダーヘッドを挿入しておくのを忘れてしまったのでした。
 再び渾身の力でナットを緩め、ピストンをバラし、ピストンロッドにシリンダーヘッドを挿入後、再びピストンを組んで、再び渾身の力で割りピン穴が合うまでナットを締めます。この頃はすでに写真を撮るほどの心の余裕がなくなっていました。

 写真で見ると、まだだいぶ明るようにも見えるけど、周囲はかなり暗くなり、ヘッドライトを頼りにどうにか組み付け完成。恐る恐るエンジンを掛け、試しに今回オーバーホールしたシリンダーを作動させてみたところ、油漏れはなし。
 大失敗はたくさんあったけれども、どうにかお漏らし油圧シリンダーの修理が終わったのでした……。
 翌朝、晴れ晴れした気持ちで、ユンボと対面。いちおう油漏れがないことを確認しておこうと地面を見たら、あろうことかシムが一枚、地面に……。

 ちなみにこのユンボ、ウチに来てからこれで、すべての油圧シリンダーのパッキンを交換したことになります。


ユンボの修理でキャタピラの修理方法はhttp://:title=こちらを!