シカの骨のレストラン

 角スコとママダンプを持って、こぶダイニングへ。Facebookを見ていたら野中さんがひとりで雪かきに苦戦しているようだったので、ちょっとのぞきに。
 着いてみたらすでに雪は、見事にかかれていました。おじさんがひとりでやったとのこと。もっと早く来るべきでした……。
 さすがに厳冬期。きょうはゆっくりカウンター席でかぶりつきで食事をいただくことができました。

 こちらはチキンソテーのハンガリー風。ハンガリー風とのことだったので、パブリカ&チリが効いたパンチのあるものかと思ったら、ホワイトソースベースのまろやかな感じ。キノコたっぷりのソースの中からこんがりとローストされたチキンが出てきます。素材の味の引き立つ美味しさでした。

 こちらは鹿肉のシンプルハンバーグステーキ。鹿肉は脂が少ないので少し焦がし気味に焼くのがコツとのことでした。分量は合い挽きで挽いたひき肉半分、鹿肉半分とのこと。おじさんの店の合い挽きはたしかナナサンだから、鹿5,牛3.5,豚1.5の合い挽き、ということのようです。
 ただそれでもそのときの鹿の具合によって、脂の感じがかなり違うので、その都度、調整をしているとのこと。以前、伺ったときには、ハンバーグの上にクレピネットが被っていたりもしました。ウチで先日、解体したシカの内蔵にも脂のネットが付いていたので、使い方を教えてもらっていたら、こんなモノを見せていただきました。

 これらはなんと、シカの骨のロースト。

 焦がさないように、時間をかけて焼いたものだそうです。臭いもカツオ節のような香ばしい香りがあって、嫌な臭さが少しもありませんでした。鹿肉は赤いので、しっかりローストすると黒くなるのです。

 そしてこちらは、シカ肉のスジや筋膜の部分のロースト。臭いが強いので、いままでウチでは捨ててしまっていた部分でもあります。ついついすぐに臭いを嗅いでしまうのですが、でもこちらも嫌な臭いがぜんぜんしませんでした。生きものの命を奪っていただくのだから、ていねいに余すことなく大切にいただく、という姿勢に感服。

 コンロには大鍋がかかっていて、デミソースが煮こまれていました。机の上には、3日後までの時間配分が記載されたメモ用紙がありました。フォン・ド・ヴォー(正確にはフォン・ド・ジビエ)を作るに当たってのタイミングなどが記載されていて、焼いたり煮たり、冷ましたり、3日以上かけて作っているようでした。
 フランス料理のフォン(ソースのベース)には、白色系のフォン・ブランと茶色のフォンブリュンがあります。茶色のフォン・ブリュンは、素材を焼くことでメイラード反応(アミノ酸を加熱した時に起こる非酵素反応で抗酸化成分が生成されると同時に香りも良くなると言われています)により茶色のフォンになります。さきほどのローストされたシカの骨などもこの中に入っていて煮こまれていたりします。
 おじさんがちらっとボヤいていたのですが、最近は牛すじなどのソースの素材が手に入りにくくなってしまっているとのことでした。これは、デミソースをフォンから作るような洋食屋さんがなくなってしまったことと、牛すじは工場のようなところでドッグフードなどに加工されて使われるので、小売店には出まわりにくくなっているのではないか、とのことでした。暖かな時期はお客さんが多く、忙しくてなかなかゆっくり話ができないのですが、厳冬期のこぶダイニング、オススメです。



追伸:野中さんからのメッセージ「スタッフ募集中。洋食が好きで、野中さんの技術を覚えたいという方、一緒に働いてみませんか?」とのことでした。