おいしいパンをいただくために、麦のタネまきをしました……。
なーんて書くと大げさだけど、実のところ、ほとんどの大事な部分は、植物や微生物たちが勝手にやってくれます。ヒトはほんのちょっと手助けさせてもらうだけ。
↑お湯につかってふっくら膨れたコユキコムギの玄麦。よく見ると、チョビっと白い芽(根)が出ていたりします。
麦やお米はタネまきの前に、種子消毒することをオススメします。それによって玄麦の汚染によって発生する裸黒穂病などの罹患を防ぐことができます。
とはいっても、特別な薬品を使う必要はありません。使うのは、お湯だけ。それでも十分に効果がある方法が知られています。やりかたにはいくつかあるのですが、ウチではゆっくりとお湯に浸かってもらう方法を採用しています(一般に、風呂湯浸法と呼ばれています)。
ちょっと熱め、45度にしたお湯に玄麦を10時間浸す方法で10時間後に20度くらいであることが望ましいと言われています。今の時期のウチのお風呂だと、10時間後温度が20度よりもだいぶ下がってしまうので、スーパーでいただいてきた発泡スチロールの容器を玄麦用のお風呂にみたて、45度のお湯をつくって、そこに10時間ほど入ってもらいます。しっかりフタのできる発泡スチロールの容器だと10時間後ちょうど20度くらいになります。その後、ザルにあけて乾かします。
冷水と温水に交互に浸けるという短時間でできる方法などもあるのですが、風呂湯浸法だと、時間はかかるけれども、手間はあまりかからないし、玄麦が水を十分に含むので発芽がそろうというメリットもあったりします。
畑の方の準備はというと……、このところの連作で収量がかなり減ってきているので今回は、鶏糞をまきました。麦は案外、肥料喰いなのです。ということで遺伝子組み換えでない飼料を使って平飼いしている鬼塚さんの鶏舎で鶏糞を掘らせていただき、まずはそれを撒いてから、トラクターをかけました。さらに、家じゅうのアメリカセンダングサを抜いてきて乾かしてから焚き火をし、途中で土をかけて炭にしそれを鋤き込みました。でもこれはちょっと失敗だったかも? これ以上センダングサが増えないようにやったつもりだったのですが、乾かしている途中でタネが熟し、耕した地上にこぼれ、逆にセンダングサのタネを畑に蒔いてしまった可能性もあります(来年になればわかることですが……)
その後、米ぬかも一面にまき、最後に管理機(小型の耕うん機)で表面にある草の残渣を鋤き込みます。
↑管理機をかけると、こんな風に縦にスジができるのでそれを目安にタネをまくことができて便利なのでした。
↑手まきとゴンベイ(播種機)と両方でまいてみました。ただ、やっぱり権兵衛の場合は、草の残渣があると機械に引っかかってしまいタネが塊になりがちで、ひとりが播種機の前で草取りする必要があったりしました。面積が少ない場合、管理機の溝に手でまいてジョレンで土をかけ、その後、足で踏んだほうが確実かも。播種機は果たしてちゃんとに均等にまけているかどうか確認できないので心配だったりします。
ところでここでちょっと、宣伝させてください。平野部だと、これから12月くらいまでが麦のタネまきの最適な季節(……春まきという手もあるけど、春まきは耕してからまかないと雑草との戦いになります)。
チョビっと麦のタネをまいて、それが収穫できたらそれでパンを焼いてみませんか? というお誘いです。
製粉機がなくても麦は発芽させることで家庭用ミキサーを使ってパン用に粉砕することが可能だったりします。そのあたりのことも含めて麦の育て方から簡単な石窯の作り方、それを使った天然酵母パンの焼き方などを紹介した小冊子&麦のタネ少々をこちらのサイトで販売させていただいています。
100%自家製の麦で、というのは難しい(膨らまない)けど、市販の粉に20〜30%くらいのスプラウトやライ麦を混ぜたパンは、市販されているパンとはひと味もふた味も違ったおいしさがあります。パンを麦のタネまきからやってみると、新しい発見がたくさんあります。興味のある方、どうぞお試しください。