完璧な自給自足は目指さず、「テキトー」と「いー加減」をモットーにあまり頑張りすぎない、
そんな暮らし方がこの頃なんだか、とてもオモシロイ!と感じています。
自給「知足」的な暮らしは言いかえると「貧乏臭い・ケチ臭い暮らし」でもあります。

でも「ケチ臭いビンボー暮らし」も、そう捨てたものではありません。
ビンボー暮らしは、お金をそれほど必要としない暮らしとも言えます。
そのため、お金稼ぎの作業や仕事に長時間、拘束されずにすみ、
その分の時間を、ヒトが暮らすための作業に使うことができます。

農的でていねいな暮らし方が可能で、身近なところで幸せを感じることができたりもします。
また、昔ながらの農的な暮らしは、ヒトも一種の哺乳類として自然の生態系の中で
他のいきものたちと共に生きる暮らし方だったりもします。

そして、こうしたテキトーでいー加減な自給的な暮らしをうまくやっていくポイントは、「知足」? 
人間の欲望は際限がなくて、いくらお金を得られたとしても、たぶんいつまでたっても満たされません。
でも逆に、小さなちょっとしたことでも、とても幸せに感じられることがあったりします……不思議です。

日々の暮らしの中から「自給知足的な暮らし」を楽しむためのヒント? 
のようなものを、紹介できたらいいなぁ、と思っています。どうぞ、よろしく。


夏の山の恵み、チチタケとチタケソバ(うどん)

 いまの季節は畑の作物が充実していて美味しい収穫がたくさんあります。ズッキーニなんかは食べきれないくらい……。
 そんなわけで、いまの季節は山に食材を探しに行くということはほとんどないのですが、「山を食べる」というテーマで取材をしたい、との要請があって、その下準備にチタケそば(うどん)を作ってみました。
 チタケソバは栃木の伝統料理。栃木ではチチタケ類をチタケと呼び、311前まではチタケ狩りで遭難する人が毎年のようにでる、というくらいに人気があった料理でした。いまは岩手から冷凍品を取り寄せ、かろうじて伝統料理を守っているところがあるとのことです。

 これがチチタケ。この写真のチチタケはGさんからいただいたもの。Gさんは食べないそうです。

↑傷つくと写真のように白い液体がでてきて褐色に変色するのが特徴(でも白い液体の出るキノコは多いのでそれだけで判別するのは危険です)。この白い液体は天然のゴム成分と同じとのこと。手につくと油脂分の少ないハンドクリームのような感じがします。
 香りはそれほど強くないのですが、チチタケからはとてもいい出汁がでます。チタケそばが人気郷土料理だった栃木では、江戸時代から珍重され、チチタケは乱獲によって収量が少なくなっていて、一時はマツタケ以上の高値で取引されていたこともあったとか。

↑チタケそば(うどん)の特徴は、ナスと共に炒めること。チチタケの出汁のうま味をナスにも吸着させるのがポイントのようです。その後、水を足して煮込み、最後にお醤油と日本酒、それにお砂糖をいれてそばつゆを作ります。
 ところでナスと一緒に食べれば毒キノコも当たらないという迷信は、もしかしたら栃木のチタケそばから来ているのかもしれません。しかしこれはあくまで迷信。毒キノコをナスで炒めても毒は消えません。

 チタケうどんの完成。動物性タンパク質は入っていないのに、しっかりとした独特のコクのある出汁でした。そしてナスやキノコを食べると、さらに強く独特のうま味が口の中に広がります。

↑こちらは、ネギとミョウガを入れたバージョン。真ん中にのっているランのような白い花は山で採取した野生のミョウガの花(生でも食べられるけど、漬物にしたりもします)。具の種類を増やすと味にバリエーションがあっていいのだけれど、チチタケの出汁の味を堪能したいという場合は、あまりいろいろ入れ過ぎないほうがいいかもしれません。


 久しぶりにいただく野生のキノコの味でした。311以降、山からの恵みをありがたくいただくことのできない地域がまたまだたくさんあります。そうした地域で自給的な暮らしをしている方は、毎日毎日その悔しさに向き合わなければならず、苦しんでいる人たちがたくさんいます。そうした現実を噛み締めながら、ちょっとホロ苦い思いのチタケそばをいただきました。そのあたりのことを書けないのだとすると、雑誌でこれを紹介するのは厳しいかなぁ。