無農薬でイネを育ててみてわかったこと……それは「田植え」よりも、「草取り」の方がはるかに大変だ!ということでした。
殺虫剤も、除草剤も使わないで作ったお米は、普通に流通しているお米と比べるとかなり高いのだけれど、それでもあの労力の違いを考えると安いように思います。
というわけで、いまの時期、農的な暮らしをしている友人たちの間で、田んぼの草取りのことがしばし話題になるのでした。
↑これは田車(地方によって「田押しグルマ」あるいは「ハッタンドリ」などとも呼ばれます)。畝と畝の間は、これでやるのが正解のように思います。
↑爪が回転するのでかなり大きな草まで浮かすことができます。情緒のある木製と機能優先のアルミ製があるけれど、残念ながらアルミ製のほうがはるかに使いやすかったりします。
で、畝と畝の間はいいとして、問題は株と株の間、株間の除草なのです。
田植え機で植えると畝と畝の間は30センチに決まってきます。一方、株間は少し調整できるのですが、それでも20センチくらいが普通です。畝間と違って株間は隣と揃っていないので田車のような機械を直線状に通すことができないのです。それを避けるために田植え機を使わず、手植えで株間も30センチに揃える「正方植え(正条植え)」を行う友達もいたりします。
一方、我が家は今年から田植え機を調達し、それを使って植えたので畝間除草の他に、株間除草が必要。そこでいろいろ試してみました。
↑これは地元の元農家の方からいただいた手作りの熊手。真ん中が微妙に広くなっていて、ここに稲の苗を通し、その周囲の雑草を取り除くものではないか?と思ってやってみたのですが、でも試してみたら、これだと、雑草たちもスイスイ間をすり抜けてしまいます。どうやら畑用のようでした。
そこでこれならどうだ!?と試してみたのが、この金属製の熊手。
↑こんな風に幅の調整が可能で、幅を狭くすると、爪の間隔をかなり詰めることができます。これならすり抜けられないのでは?とほのかに期待。確かにすり抜けられない草もあるのですが、でもこれだと土も一緒に拾ってきてしまって、何度も押し引きが必要で使い勝手はあまり良くありませんでした。
↑だったら、小まわりが利いて株元除草にはこちらの方がいい感じだけど、でも腰をかがめなければならず、腰痛になりそう。
そこに新へーき登場。
アルミ製の三角クワ。柄と歯の角度の関係から、足元付近中心で少し離れたところの草が取りにくいのが欠点。
↑ただし、大物の一点狙いでは良さそうです。
↑こちらもアルミ製の草取り鎌? 刃をギンギンに研いであげると、作業性はよいのですが、でも根こそぎ取るといのではなくて、根際で切る、という感じ。
そしてこの草取り鎌が思いの外使いやすいのでそれに似たものとして、思い出したのが、柄を延長したノコギリ鎌。
田んぼように角度を少し修正し使ってみたところ、思った以上に使いやすくこれはかなりオススメです。
↑こんな感じで株元に刃を入れ、土の中1センチくらいのところをスライドさせるようにして引くと、ノコギリ目に草が引っかかって抜けてきます。
でももっと使いやすいものがあるのではないかと、いくつか思いついたものを作ってみました。
これはハッタンズリと呼ばれる株間除草機をアレンジしたもの。以前からどうにか使えないかと思って取っておいた自動車用ワイパーゴムの芯を研いで刃をつけたものが木の板に取り付けられています。
木がフロートの役目を担いスムーズな除草! が、できるのではないかと期待して作ったのですが、残念ながら浮きすぎてしまって返って使いにくく、しかもフトコロがもう少し深くないと土が詰まってしまい、草は土になぜられるだけの道具でした。
そこで失敗した点を踏まえて改良し出来上がったのがこの草取り。宇宙農民さんたちの「らくらくと〜る君」を参考にさせていただきました。だいぶ形は違うけど。
作り方は簡単。太めの針金を株間よりも少し狭めに曲げ、フラットな部分をハンマーで打って板状にします。
さらにその部分をグラインダーで研いで、刃をつけます。
そしてこれがなかなかにいいのです。使い方は簡単。「針金ハンガー君」を株元に滑り込ませます。そして土の中2センチくらいのところを引いてくるだけ。これで根ごと草を土から分離することができます。
草はこんな風に水面に浮いてきます。
ただ、弱点は針金の部分に草が絡みつきやすいこと。1〜2回に1回、水の中で激しく振って絡みついた草を外す必要があります。それを怠り、外すのをサボっていると、ガンガンに絡みついてしまい、外すのがかなり大変になってしまいす。
スーパーカブには柄の長い農具をひとつ取り付けられるようになっているのですが、カブに乗ってひとりで田んぼに行く際、選ぶ道具は……、
やっぱり「のこぎりナギナタ君」が多かったりします。
株間除草道具の考察2につづきます。