このところ、天ぷら廃油カー(BDFのように精製の必要のないSVO)に乗る友達が増えていて、ろ過装置について聞かれることが多いので、我が家のろ過装置をブログで紹介させていただくことにしました。
とは言っても、こんなアナログで原始的なものですが。
フィルターには、自動車のエアクリーナーを流用しています。当初は自動車用のオイルフィルターなど円筒形をした背の高いフィルターを流用していたのですが、容器の低い部分で広い接触面積をえることができる、という点(と、値段の安さ)で、最近は廉価な大衆車のエアクリーナーのフィルターカートリッジを使っています。
↑円筒形のフィルターを流用していた頃のタイプ。これだと油の量が少なくなってくると濾紙との接触面積が少なくなってしまいます(しかもフィルターの下のほうがすぐに詰まってしまいます)。また、この透明ケースは劣化が早く、大惨事になりました。
構造は単純。透明のコンテナボックスの底面にフィルターを押し付けてセットし、そこを通った天ぷら廃油がコンテナボックスから下に落ちる、というだけのものです。
↑これが現在気に入っているフィルター。サニー用のエアクリーナーのフィルターで、日産純正ではない社外品。値段はひとつ305円。MonotaROなどで購入可能です。
↑もともとフィルターとして設計された製品だけに、シールとなるゴムの部分の当たり面を小さくして面圧を稼ぐなど、なかなかよく出来ています。
作り方としてはまず、コンテナボックスの底面にフィルターを固定するためのスタッドボルトを仕込みます。
↑コンテナボックスの底面にリムを避けて、ドリルでボルト径にあった穴をあけます。
↑そこに適当な長さのスタッドボルトを仕込みます。スタッドボルトから油が漏れてこないようにセットするのがポイント。スタッドボルトにはゴムのパッキンを入れます。
↑ゴムのパッキンは廃品のタイヤチューブを切って、ポンチで穴をあければどんなサイズでもすぐに自作可能です。ポンチで穴を開ける時には丸太の「木端」面で打つと失敗がありません。
↑念のためシール部分には液体パッキンを塗っておきます。お気に入りは信越シリコンのKE45T。弾性のある接着剤としても使用可能な1液室温硬化型のシリコンです。木の枝を斜めに切ってヘラを作り、ボルト軸やワッシャーの下面などにKE45を塗布します。
↑内側にもナットを入れて、コンテナ底面にスタッドボルトとして固定することで、コンテナ底面の歪みを少なくしようという寸法。また、こうした場合は写真のようなフランジ付きのナットが便利。なくても液体パッキンが塗ってあれば漏れることはないと思うけど。
↑油がしたたり落ちる穴は、ただの穴でもいいけど、シュラウド(ガイド)があったほうが周囲に「お漏らし」という失敗が少なくなります。簡単に作れるシュラウドとしてハンドナッターでナットを圧着しました。ホースエンドをねじ込んでもいいし、フランジ付きのパイプをシリコンで接着するなどの方法でもよいと思います。
↑適当なステーにスタッドボルトのスパンで穴をあけ、これでフィルターをコンテナボックスの底に押し付けます。当初はステーを二本にしていましたが、真ん中1本の方が逆にフィルターの密着性は良いようでした。
↑いちおう念のため、フィルターのシール部分にシックネスゲージをさしてみて、隙間がないことを確認します。
↑裏から見るとこんな感じ。
↑ついでに、コンテナボックスの上部に針金を通し、そこにザルをおいて、不織布をセットし、天カスなどの大きなゴミはここで受けることにしました。
ただしこの場合の注ぎ方にちょっとコツがあって、最初から大量の油を不織布に注ぐとザルはすぐに満杯になってしまいます。そこで最初のうちの上澄みは不織布を通さず、容器の最後方のゴミの多い部分のみ不織布で濾過する、というのが正解のようです。
で、完成するとこんな感じ。エアクリーナー用フィルターであれば、ひとつ通せば十分だと思うのですが、用心して二段濾過をしています。
またこの種のコンテナボックスにはいくつか種類があるのですが、リムの少ない廉価なものは紫外線などで劣化し、油の入っている状態で移動しようとして持ち上げたあ空中分解し、ひどい目にあいました。
木で枠を組み、ろ過後の天ぷら廃油は10リットルの広口ポリタンクに入るようになっています。
↑濾過した油は、大型のオイルジョッキに移し替え、保管しています。このオイルジョッキはフタ付きで、虫などが入ることもなく、タンクに燃料を注ぐ際はもちろん、ジョッキにオイルを注ぐにも便利な形状で重宝しています。
↑ただ、先端部にはキャップがなく、ここから虫が入ってくるので、先端部用に自動車用ヒーターホースを切り、それにガムテープを巻き、キャップを自作しました。
オイルジョッキに入りきらない濾過済み油は、一斗缶に保管しています。一斗缶用のフタは、amazonやMonotaROなどから調達できます。
↑長距離ドライブ用の携行缶も一斗缶を使っています。ただし密閉型の一斗缶はエア抜きの穴がないと脈動してしまい、うまく注ぐことができません。ろ過装置のスタッドボルトの固定と同様、タッピングビスにタイヤチューブでつくったパッキンを入れたエア抜き穴を作っておくとスムーズに給油を行うことができます。