真空管式太陽熱温水器なら寒冷地でも使える、のだろうか? その3 「組み立て編」

 連日、氷点下5度以下、ときにマイナス10度以下と、南アルプス山麓は厳寒期を迎えています、が、真空管タイプの太陽熱温水器、氷点下の季節風が吹きすさぶ中も、けなげに温水を作り続けてくれています。どくらいの温度まであがるか?と言った具体的なことは、「真空管式太陽熱温水器なら寒冷地でも使える、のだろうか? その2」をご覧ください。順番がちょっと前後してしまいますが、今回は、真空管タイプの太陽熱温水器の「組み立て」を紹介させていただきます。
 このタイプの太陽熱温水器の特長は自分で組み立てることができる、ということ。エコロジーという視点からもこれは大切な要素ではないでしょうか。
 ただ実際にやってみたら、失敗もいろいろありました。思わず笑ってしまうような大失敗もあったのですが、それらも含めてレポートすることで、これから組み立てる人の参考に少しでもなれば……、とも思って書き留めておくことにします。ちょっと長いレポートですが、興味のある人は、時間のあるときにでもどうぞ!

 さて、組み立て。まずは架台の骨組みを組みあげます。変則的な場所に施工するのではなく、ただ既定のものを組み上げるだけであれば、穴をあけたり材を切ったりする必要はありません。スチールラックを組み立てる要領で、あいている穴にボルトを通し、ナットを締めれば架台は組みあがります。ボックスレンチを付けたインパクトがあると仕事が速いけれどもなくてもどうにかなります。この時点ではボルト&ナットは完全に締め付けず、どうにか形を維持しているというクラゲのような状態で骨組みを組むのが正解だと思われます。

 温水器はこんな荷姿で届きます。オレンジ色の箱が真空管の入っているリターナブルな梱包容器。中身を取り出した後、運んでくれた運送会社が回収します。
 大きな段ボールが貯湯用のタンクで、その他が架台の骨組みや集熱板など、です。

 リフトダンプがあるので、フラットな道路で組み立て、こんな感じで屋根の上に載せました、が、屋根の上に施工する場合普通は、現場(屋根の上)でやるのが正解のように思います。 また、このタイプは、水道または井戸の水圧をタンクにかけることができるので、必ずしも屋根に設置する必要はなく、地上置きも可能です。
 ウチで設置した屋根は勾配が緩く(ギリギリの水勾配なので)、地上型の架台を使っています。普通は屋根に載せる場合、もっとゆるい傾斜の架台を使用することになります。また、太陽熱温水器は夏は熱くなりすぎて温水を捨てていることが多いので、冬に焦点を合わせ傾斜角を決めるのが一般的です。日本の場合、冬至の太陽の南中高度は30度前後なので、温水器の角度は45度前後が一般的ですが、より冬を優先するのであればそれ以上に立てた状態で受光する方が効率はいいと言われています(ただし、その分、安定性は失われるので突風などに対する養生が必要と思われます)。
 また、温水器はできるだけ長い時間、直射日光に当たっている、ということが有利で効率的です。そのため今回は、屋根の中で一番日当たりのいいところにセットすることにしたので、下に柱がない軒の部分に荷重がかかることになってしまうので補強の柱を入れることにしました。

↑近くの山からいただいてきたヒノキの間伐材の皮をむき、補強のための柱に使います。

↑柱の最下部は傷みやすいので、廃材のカナモノを適当に組み合わせ、錆止めにペンキを塗って塚にします。

↑柱に対しては長めのコーチボルトで固定し、コンクリートの犬走りに対しては、下穴を開けた後、コンクリートスクリューで固定します。

↑ジャッキスタンドを使って屋根を少し持ち上げた状態で、柱を挿し込み……。

↑上部は、コーチボルトでツーバイ材をあらかじめ柱の頂部に固定しておき、柱を挿し込んだ後、ツーバイ材を屋根の梁に固定する、という素人ならではのいい加減工法。
 そしてようやく架台がセットできたのでした。

↑そして、架台をセットし「うまくいったぜ!」とばかりに、少し離れたところから架台を眺め、そのことに初めて気がついたのでした。
 この位置だと上の屋根からの落雪が見事に真空管を直撃するのです。この位置だとおそらくひと冬で真空管は木っ端微塵!
 そんなわけで結局のところ、軒を支える補強の柱は必要なかったのですが、気を取り直し、架台を屋根からの雪が落ちてこないところに移動し、タンクを載せてみました。

↑この時点ではタンクも仮止め。ボルトは締めすぎないようにしておきます。

↑柱の固定には、L型のアングル材を柱の下に敷き、面圧を分散させることにしました。このあたりの材料はキットには入っていないので、家にあった廃材を適当に切って塗装し使用しています。
 それとそうそう、あとで気づいたことなのですが、この下敷きのアングル材。屋根の傾斜に対して等高線上に取り付けてしまったのですが、水の流れをせき止めないためにも、水の流れの向きと平行にセットするほうが良かったように思われます。

↑屋根との固定は、貫通穴を開け、そこにタップリシリコンシーラントを流し込み、その後、ボルト&ナットで固定。いちおう、こちらにもアングル材を使って面圧を分散しています。

↑また、架台下側の支柱の下には角バイプを入れて、屋根の勾配分、タンクが前傾してしまう分を補正。
 架台がセットできたら、いよいよ真空管の組み立てに入ります。

真空管はこんな形状。底の部分はキューピーの頭のような形をしていて閉じた構造です。また、この部分がとても壊れやすいので取り扱いには注意が必要です。

↑一方、上側は、二重のパイプのような構造になっています。外側のパイプと内側のパイプに囲われた部分が密閉されていて、この部分が真空(に近い状態)になっていて、この部分で内部の放熱を抑えるという構造。つまりパイプの外皮が真空で、真ん中は真空ではなく、大気圧ということになります。そしてその真ん中の部分に、アルミ製の集熱板や銅製のヒートパイプなどを仕込みます。

↑これがアルミの集熱板。取説には集熱板にヒートパイプを通し、その後、真空管パイプにセットするように書かれていましたが、先にアルミの集熱板を真空管パイプにセットし、その後、ヒートパイプを入れるほうが集熱板変形が起こりにくく作業しやすいように思いました。

↑これがヒートパイプ。集熱板にセットする前に、シリコンのパッキンを挿しておき、その後、アルミ集熱板の真ん中に挿す、というのが組み立てやすいように思います。

真空管の組み立てが終わったら、まずは架台の左右両端に真空管を1本ずつセットします。これを基準にこの時点でタンクの位置や架台の歪みを修正し、真空管に無理な力が加わらないようにして、各部のボルト&ナットを本締めします。

真空管は先にタンク側を挿し、その後、下部を固定します。タンクには銅製?の穴があって、そこにヒートパイプの先端を挿入します。つまり、真空管側は完全に水とは隔離されていて、熱くなったヒートパイプの熱をタンクの雌穴に熱伝導させてタンク内部の水を温めるという仕組みです。そのため、タンク内が水で満たされている状態で、真空管が割れてしまったとしても、水が外に漏れ出すことはないわけです。

↑タンク側に差し込んだあと、下部をプラスチックでできた大型のスクリューで止めます。このプラスチックのスクリューのネジ山がなめやすく、この部分も慎重に行う必要があります。ウチで購入したのは、真空管が22本のタイプなので、この作業を22本行えば完成。
 ということで、温水器本体の組み立ては素人でも、それほど難しい作業ではありませんでした。このあと配管作業があるのですが、配管は、太陽熱で暖めた水をボイラーで追い焚き可能なようにするのか? あるいは凍結防止策が必要な寒冷地かどうかで難易度が違ってくるように思います。とりあえず今回の紹介はここまで。次回は、真空管太陽熱温水器なら寒冷地でも使える、のだろうか? 最終回「配管編」の予定です。