ヒトの脳はほかの生きもののものと比べるとかなり優秀ですが、しかしそれでも、人称を区別することが出来ないと言われています。
他人の悪口を言ったり、ネガティブな感情を強く意識してしまうと、それが他人のことであっても他人のこととは認識できず、知らぬ間に自分が傷ついてしまっている、ということがあるそうです。
そんなこともあって、人の悪口はできるだけ言いたくないのだけれど、福島でいまもたくさんのひとたちが不安を感じ、苦しんでいるというのに「東京は福島から250キロも離れているから安全です」なんてオリンピックの誘致のために平気で言ってしまえる日本の首相の行いを見ていると、ついついネガティブな感情が脳内に広がりそれに支配されてしまいます。それで慌てて「あーでもこれは、いまの私の現況とは違うからね、私はいま、とっても幸せに暮らしていますよ」と必死に自分の脳に言い聞かせたりしているのでした。
そんなわけで、なるべくマイナスなことは考えずに、彼のいいところを見つけてなんとか褒めてやろうなどとも思うのだけれど、それは枯れ葉の中からヒラタケを見つけることよりもはるかに難しく、仕方なしに、おいしい食べもののことだとか、お金や化石燃料に頼らない楽しい暮らし方のこと、なんかを考えて気を紛らわせるようにしています。
それと肉体労働、これも心の健康のためにとてもいい。体を動かすことは細胞の老化防止ということでもいいらしいけど、これが脳にとっても一番のご馳走のようにも思えます。
昨年は麦のタネまきが遅れてしまし、さんざんな結果になってしまったので、できればジョウビタキの姿を見る前に蒔きたい。少なくとも10月中にはタネ蒔きしたい。と、あわてて畑の準備をしています。残っていた小豆を刈り取り、地上部の草を芝刈機で粉砕し、その後、それらを鋤きこむようにしてトラクターで耕運。ケチなので元肥はなしで、鶏糞や生ごみを嫌気発酵させて得た液肥を追肥で与える方式で育てる予定。
早朝から耕していたのですが、出かける時間になってしまい娘にバトンタッチ。年代物のポンコツトラクターなので、クセをつかむまでが大変、などと思っていたのに、最近では娘のほうが要領が良かったり……。このトラクターも2タンク式で天ぷら廃油を燃料として使えるように改造されていたりします。
そしてこの日は、河川の水質調査の日でもありました。この地域の宝ものは天然水。南アルプス天然水やいろはす、などはこの地域の水を使って作られています。ところが、5年くらい前のこと、この山奥に灰溶融炉ができる、という計画が突然出現。少なくとも施設が出来る前のデータを取っておこう、と有志がボランティアではじめたのが今も続いています。
↑この日は、小雨で川も流量が多く、白濁していました。雨の後、このあたりの川の水が白いのは、てっきり空気を含んでいるからだと思っていたのですが、どうもそうではなくて川筋の砂が白いからのようです。測定のために取水し、それをしばらく放置すると、白い砂が底に沈み、水は澄んできます。このあたりの沢筋には御影石が多く、それが粉砕されて白い砂になるのですが、それによって濾過された水がおいしいミネラルウォーターになってくれているようです。
↑取水のために釜無川を少しさかのぼった林道脇で撮ったカット。今年は紅葉の当たり年。写真だとちょっと色あせてしまうけれど、目がさめるような美しさでした。
自然環境に恵まれたところに住んでいると景色を見るためにわざわざどこかに出かけるということが少なくなってしまうのですが、水質検査は半ば強制的に川を訪ねるのでいろいろな発見があります。これまでで一番感動的だったのは、河原に温泉が湧きだしているのを見つけたこと。一面の雪原の河原でそこだけ雪が溶け、真冬だというのにクレソンが生えていたりしたのでした。
自然の中で暮らしていると、うれしい発見だとか、気持ちのいい体験とかが突然やってきます。脳の健康のためにはもしかしたら、これが一番かもなぁ。