韓国・自作ストーブとオンドルの旅12 アースバック&ロケットストーブの家

韓国・自作ストーブとオンドルの旅11「私はストーブだ」ロケットストーブと意見交換会からのつづきです。

 日本の山と較べて、韓国の山は小さな里山であっても、傾斜が急で尖っているように感じられました。だからどちらかというと、八ヶ岳南麓というよりも、丹沢あたりの山里、そんな風情の景色の中に、その家はありました。
 アースバッグハウスです。しかも女性がほぼひとりでコツコツと建てた、そうです。

 テーマパークにあるメルヘンチックな建物と違って、実際に暮らしで使われている「本物」ということが、そのたたずまいからにじみ出ていました。

↑サイドから見ると円筒形の家。構造的にはふたつの円筒形の家を棟木(むなぎ)でつないだような構造です。

 屋根の構造がまた非常にユニーク。垂木(たるき)が放射線状にでていて、その中央に、丸太がオモリのようにぶら下がっているのです。連想するのは日本の五重の塔の心柱。

 こけらは、製材の際にでる切羽(せっぱ)。少ないところで三重に重ねられていました。皮をむくのは少し手間かもしれないけれども、切羽であれば、製材所からタダでいただくことができるし、外皮側はノコで(繊維が)切断されてもいないので防水性にも優れていそう。日本に帰ったらぜひ真似してみたいなと思った技術でもありました。

 そして中に入ると、こんな幻想的な空間が広がっていました。考えてみたら、ろうそくって再生可能エネルギーですね。

 ロケットストーブのベンチに腰掛けている彼女がこの家をほぼひとりで建てたというこの家の主。こんなに立派な家なので、女性と言ってももっと体格のいい方かと思っていたので驚きました。アースバック(土の入った土嚢袋)を壁の上の方に載せるのは男でも結構たいへんだったりします。いろいろ工夫されたのだろうなぁ、と思いながら厚い壁をなでてしまいました。

 こちらはキッチン。工業製品になってしまっている市販のシステムキッチンと違って、手作りならではの暖かみがあります。

 そしてこの家で最も注目されるのは、このロケット(マス)ストーブ。実はこれは二台目で、この前のストーブは彼女が作ったのだけれども、これは知り合いが作ってくれた、とのことでした。第一作目も、いいストーブだったのだけれど、なぜかあるとき突然、煙が逆流するようになってしまい、仕方なしにバラしてみたら、鳥が中で巣を作ってしまっていたとのこと。
 それに早く気が付けば、壊さなくてもすんだのに、ちょっと残念そうでした。ただ、以前のロケットストーブは一日9本の薪が必要だったけど、今度のロケットストーブはさらに燃費が良くなって、朝に2本、夜に2本ですむようになった、とのことでした。しかも、ベンチはもちろん、家全体がこれで暖かくなるのです。

 熱エネルギーを持った排気の滞留時間を長く取ること。ポイントはどうも、煙突先端に取り付けられいる電動ファンと、煙突の元の部分にある写真のバルブのようでした。火をつけるときにはバルブをあけ、ファンもまわし、火が安定してきたらバルブを閉じて、ファンも止めるという仕組みのようです。

 そしてこちらはコンポストトイレ。大小を分離することが、コンポストトイレのポイントなのですが、コンポストトイレを水洗トイレの隣で使うという発想は思い浮かびませんでした。こうしてふたつを並べておくことで、大小分離の問題はある程度解決できます。シンプルなアイデアだけどこうして実際に目にしないと、なかなか気が付かないことでもあります。

 木で手作りされた箱の上に便座が載ります。木の箱の中にはプラスチックのペール缶が仕込まれています。すぐ横には、おがくずの入った容器があって、用をたした後、そのおがくずを上から足すという仕組みです。

 とはいえ、必ずしもいつも、ことが順調に運んでいる、というわけでないようでした。こちらはアースバックの失敗作とのこと。傾斜地を使って地下貯蔵庫を作ろうとしたのだけれど、湿気の遮断に失敗しアースバックが湿気を吸ってしまったので作り直すつもり、とのこと。ここまでやるだけでも大変だったでしょうに。「作り直さなくちゃね」と簡単に言えてしまうところに彼女の素晴らしさと強さを感じたのでした。

 部屋の壁にあけられていた細い穴。これは夏用の換気システムだそうです。

 外と貫通していて、一番外には虫よけのメッシュがはめ込まれていました。冬は内側から布などを詰めて塞ぐのだそうです。

 家づくりという大きなプロジェクトの中にあっても、こうした瀟洒なセンスが随所に見受けられました。こじんまりとした韓国の山里にある心暖まる空間でした。
 そして次はいよいよ、オンドルです。
韓国・自作ストーブとオンドルの旅13 プラスチックの煙突」に続く。