Blog「自給知足がおもしろい」

自給「知」足と称した、貧乏くさい暮らしを楽しむためのブログです。

完璧な自給自足は目指さず、「テキトー」と「いー加減」をモットーにあまり頑張りすぎない、
そんな暮らし方がこの頃なんだか、とてもオモシロイ!と感じています。
自給「知足」的な暮らしは言いかえると「貧乏臭い・ケチ臭い暮らし」でもあります。

でも「ケチ臭いビンボー暮らし」も、そう捨てたものではありません。
ビンボー暮らしは、お金をそれほど必要としない暮らしとも言えます。
そのため、お金稼ぎの作業や仕事に長時間、拘束されずにすみ、
その分の時間を、ヒトが暮らすための作業に使うことができます。

農的で質素な暮らし方が可能で、それにより身近なことで幸せを感じることができたりもします。
また、昔ながらの農的な暮らしは、ヒトも哺乳類の一種として自然の生態系の中で
虫や草や菌類など他のいきものたちと共に生きる暮らし方だったりもします。

そして、こうしたテキトーでいー加減な自給的な暮らしをうまくやっていくポイントは、「知足」? 
人間の欲望は際限がなくてお金をたくさん得られても、たぶんどんなお金持ちになっても満たされません。
でも逆に、小さなちょっとしたことでも、とても幸せに感じられることがあったりします……不思議です。

日々の暮らしの中から「自給知足的な暮らし」を楽しむためのヒント? 
のようなものを、紹介できたらいいなぁ、と思っています。どうか、よろしく。


韓国・自作ストーブとオンドルの旅⑩「私はストーブだ」ベースバーニング

韓国・自作ストーブとオンドルの旅⑨「私はストーブだ」適正技術とワークショップからの続きです。


 韓国で行われた「私はストーブだ」、のイベント二日目。
 会場の片隅に、きのうまではなかった赤を基調とした洗練されたデザインのストーブがひっそりたたずんでいました。

 よく見ると、天板などの端にあけられている穴のデザインに見覚えがあります。なるほど、赤い鋼板の側壁がついてはじめて分かりました。この部分は単なる装飾ではなくストーブ側面で対流させた暖気の放出口でもあったのですね。
 韓国に着いた初日、Haja Centerで見せてもらった彼女のストーブでした。徹夜での作業にもかかわらず、イベント初日には間に合わず、でも、どうにか二日目には間に合ったということのようでした。

 そしてこれが典型的なベースバーニングストーブ。韓国・自作ストーブ業界?では、ロケットストーブ(キッチンロケットタイプ)から始まり、上から火をつけるTLUD(Top Lit Up Draft)に移行し、その後、燃焼室から下に炎をドラフトさせるダウンドラフト(Down Draft)になり、そしていま最も注目されているのがベースバーニング(Base Burning)、とのことでした。

 ベースバーニングは、ボトムバーニング(Bottom Burning)あるいはロワーバーニング(Lower Burning)などと呼ばれる燃焼方式で、燃焼方式としては比較的古くからある方式です。上から薪を入れる縦型のアンティークの薪ストーブにもこのタイプが多く、ルンペンストーブ(ストーブの中に働かずに休んでいる燃料がいるのでこの呼び名がある)などもこのタイプと言えます。古くからあるヨツール(Jotul)のシガーバーニング(Cigar Burning)ストーブはベースバーニングを横置きに変更したことが画期的だった、とも言えるかもしれません。

↑そしてこれが彼女のベースバーニングの(たぶん)プロトタイプの構造図。ロストルを傾斜させ、上から入れた薪が常にロストル下部に集まるようになっています。薪はベース部(ストーブ下部)で燃焼し、奥の部屋で二次空気を入れて二次燃焼させるという方式。

↑そしてそれのさらなる改良型が(たぶん)これ。奥の部屋でより熱交換が行えるように奥の部屋にもうひとつ隔壁をもうけ、一度上にあがった排気を今度はさげて熱交換させてから煙突に抜く、そして煙突部にも熱交換のための小型オーブンを取り付ける、というもの。燃焼効率以上に、熱交換率をあげ、少ない燃料で部屋を暖かくする、というところに韓国の新しいベースバーニングの優秀な点があるように思いました。

↑Haja Centerで我々に説明するため、彼女が床に組んでくれたレンガ。薪を入れる最初の部屋の密閉性に優れていること、それとアップドラフトを促す煙道に畜熱性に優れた耐火レンガを使用し、出口をしぼって流速を稼ぐこと、がポイントのように思われました(スミマセン、言葉が通じなかったのでこのあたり想像です)。

↑最初はちょっと心配そうな面持ちながらも点火すると、いい感じで燃え始めました。ただ耐熱塗料をスプレーしたばかりだったようで、塗料のこげる強烈な臭いが室内に充満しはしましたが。

↑点火直後は上フタはあけられないとのことでしたが、火が安定してからは、上ブタをあけても逆流することもありませんでした。吸気の開度にもよるのだろうけど、どちらかというと還元に近い酸素の少ない状態で薪を蒸し焼きにして、ウッドガスを放出させ、それを二次燃焼させているように思われました。

↑二次燃焼用の空気は、外からではなく一次燃焼室内の吸気口の近くから取っていました。このままの量で流しても、量が多過ぎて(冷えてしまって)燃えないだろから、奥でしぼってあるのかもしれません。Haja Centerで見たときは、このあたりをテストしながら試行錯誤しているようでした。

↑煙突に抜ける部分にも、オーブンのような仕掛けがあって、ここで焼き芋などを焼くことができます。
Drawn by 이재관(イ・ジェクァン I・Jefan)

↑技術的なことでちょっと気になっているのは、このイラスト。一次燃焼室から二次燃焼室に行く道すがらにベンチュリーと思われる構造物が描かれています。流速を部分的にあげると同時に、その後、膨張させることで気圧を一気に低くし、排気を効率よく上昇させる(日本のカラマツストーブはこの原理を使っている)と同時に、ベンチュリーの部分に3ミリくらいの径で暖められた二次空気の吐出口を作ってあげると、二次燃焼もさらにスムーズになるのではないか……。
 そしてさらに面白いなぁ、と思ったのは、このイラストの鋼板の下のラインが、このあとより大きな刺激を受けたオンドルのケジャリのラインと少し似ていること。よくよく考えてみると、この韓国の新しいベースバーニングストーブは、韓国独特のオンドルのノウハウとも重複しているように思えるのでした。


 というわけで、このあと、いよいよ、おんどる&ロケットマスストーブが登場します。

韓国・自作ストーブとオンドルの旅11「私はストーブだ」ロケットストーブにつづきます。