これはきのう(14日)の朝日新聞に載っていた週刊誌の広告……いつからこんなことになってしまったのでしょうか?
文字や映像には、ただそれを黙読するだけで、たとえそんな風に思っていなくても知らないうちに深層心理に刷り込まれてしまうという効果があることが知られています。
これらの広告、満員の通勤電車に吊り広告としてぶら下がっているのだろうか? ああー。
たとえば、上の広告のなかで中国から流れてくる「殺人スモッグ」あるいは「殺人物質」とされている「PM2.5」に関して……。
いまから10年以上前に、日本ではノックス法(NOx法)という法律が施行されました。ディーゼル車の黒煙が健康被害を及ぼしているとのことで、その当時使っていたトラックのほとんどを強制的に買い替えさせるという(目先の景気対策しか考えていないと私には思えた)法律でした。
このとき新しく買い替えさせられたトラックのエンジンには、黒煙の排出量が少ないということで、コモンレール方式という高圧噴射のタイプの通称「クリーンディーゼル」が多く搭載されていました。
ただし、コモンレール方式にはひとつ、大きなデメリットがありました。燃料を超高圧で噴射することで軽油は超微粒子化するのですが、ナノ粒子化された燃料を燃やすとPM2.5と呼ばれるナノ微粒子の有毒物質は増えてしまう、ということが分かっていたのでした。少なくとも当時はそういわれていて、良心的な一部のモータージャーナリストはそれを指摘していたのですが、自動車雑誌の多くは自動車メーカーがスポンサーなのでそうしたことが大きく紹介される機会はほとんどありませんでした。
東京都知事がペットボトルに入れてシャカシャカ振って見せた黒煙カスではなくて、ナノ粒子と呼ばれる目に見えないPM2.5などの超微粒排気ガスが肺の細胞を通過し、あるいはそれを吸うことで花粉症などのアレルギーと関係が深いigE抗体値を上げるということは当時から知られていたことなのです。しかも、ガソリンエンジンからもPM2.5は排出されているのですが、なぜか新しく開発されたクリーンディーゼルと呼ばれるコモンレール方式のエンジンから排出されるPM2.5が特に悪さをする、ということが、少なくとも当時は言われていました。
にもかかわらず、ノックス法は強引に施行され、多くの商店主は愛着をもって大切に使っていたトラックを泣く泣く新車に買い替え、自動車メーカーは一時的に好景気に沸いたのですが、強制的に一斉に新車に買い換えさせてしまうと、その後、10年くらいは商業車はほとんど売れなくなる、という当然の結果に気が付かなかったのか? その後、自動車メーカーは経営不振に陥り、特にトラックの製造を主体としていたメーカーはひどい打撃を受けたのでした。
なにも生産的なことをせず、円安を進めて、為替差益だけで一時的に利益率をあげてしまうマネーゲーム(でもいずれ材料費も値上がりし利幅は変わらないのだから輸出企業が儲かるのは一時的で、日本は食料や燃料の自給率が極端に低いのだから庶民だけが苦しめられる結果になるのは目に見えている)よりはまだまし、といえるのかもしれませんが……。しかしホント、経営者にしても政治家にしても、日本の1%の連中はまったく懲りない面々ナノです。ああー。