「暴走族のリーダーが暴走族取締り本部の本部長になるのと同じ」と言われるくらいにひどい原子力規制委員会の人事ですが、でもこれ、暴走族のリーダーに対して失礼です。暴走族のリーダーの多くは、(原子力ムラの住人のように)「金」や「個人の利益」を判断の基準にはしていません(そんな人は暴走族のリーダーにもなれません)。でも、委員長候補であるこの田中俊一というこの人、事故後の原子力ムラの村長クラスで、これだったら「最後は結局金でしょ!」のマラダメ氏が方がまだまし、というくらいの最悪の人事に思えます。
↑東京新聞より。写真をクリックすると大きくなります。新聞にも書かれている通り、規制委員会にもかかわらず脱原発派がひとりもおらず、推進派で固められています(本当は「脱原発派規制委員会」だったのか?)。
しかも、この「原子力規制委員会」という名前の組織は政府から独立した第三者機関。普通、第三者機関は、業界団体の代弁者である政治家から隔離させ、干渉できないようにして、中立公平を保つためのシステムとして設置されます。しかし今回は、原子力規制委員会という第三機関自体が、業界団体(原子力ムラ)の代弁機関になってしまいそうな人選なのです。
原子力規制委員会の委員長は任期5年、委員は2年と3年の各2名ずつで構成され、政府から独立した機関なので、その間、たとえ政権が変わったとしても干渉されません。「再稼働」「プルサーマルの是非」「放射性廃棄物の取り扱い」、それに「福島の被爆の問題」に関してまで、すべてこの5人に決定権が移譲されてしまいます。
ちなみにこの田中俊一という人は、年間100ミリシーベルトまで大丈夫、除染によって福島を復興しましょう、避難しての賠償請求なんてやめましょう(出典:田中俊一氏インタビュー”. 日本経済新聞2011年9月15日)と主張している、元原子力委員会委員です。このままいくと、原子力ムラによる原子力行政の独裁システムが完成されてしまいます。
田中優さんのサイトから、オンライン署名をはじめ「原子力規制委員会の人事に意義あり」の行動を起こす方法がいくつか紹介されています。ぜひとも多くの方に行動を起こしていただきたいと思います。わたなべもまずは、オンライン署名を行いました。
たいへんな事故が起こってしまったけれど、でもどうにかして、この「大変」をいい方向に「大きく変わるチャンス」に結び付けたい……と多くの人が思っていることと思います。「愛」の反対は「憎しみ」ではなく「無関心」だそうです。オリンピックの陰に隠れて、どんなことがいま起きているのか? できるだけ多くの人が注視し見張っていくことが大切なように思います。