見てください! この十字レンチの回転スピードを……素人の小娘のくせに!
最近はエアツールが普及していて、どこのタイヤショップに行っても「シュー、ガタガタガタガタ」といって誰でも簡単にホイールナットを緩めてしまいます。でも、昔は十字レンチというハンドツールを使っていました。そして、優秀なメカニックは、唸るようなスピードで十字レンチを回転させ、お客さんたちはそれを取り囲むようにしてその姿を見て惚れ惚れしていたものでした。最近のタイヤショップのお客さんは、暖かい部屋でコーヒーなど飲みながら携帯をいじって待っているんですね、たぶん。
でもあのワザにはちょっとしたコツがあるのです。滑りやすいように「左手にだけ軍手をする」というのがそのトリックのタネあかしなのですが、それでも、かなりの熟練が必要ではあったのです。なのに、なぜ、小娘が……というお話です。これにはもう少し手の込んだトリックがあります。
↑必要な材料は「竹」です。写真のように節の間の詰まった根っこの近くがベストです。それをひと節、切ります。
↑次に、切った竹をふたつに割ります。竹をふたつに割るときには両刃の刃物が適しています。片刃だと刃が片側に偏りがちになります。今回のような大雑把な工作の場合はまあ、問題ないけど……。
↑節の部分を適当に削って(この部分が支点になります)、十字レンチにセットします。これで完成。
↑左手で竹の部分を持って、右手で横のバーを勢いよく払います。軍手でやるよりもはるかに簡単に、「ビューン」という音がするくらいの勢いで、ホイールナットをまわすことができます。慣れてくると、(ホースの取りまわしが不要な分)エアインパクトよりも作業性はいいかもしれません。
という感じで、きょうやっとようやく、娘に手伝ってもらいながらタイヤをスタッドレスに交換したのでした。
↑女性の場合は、横バーに写真のようにパイプを延長すると、固いナットも比較的楽に緩めることができます。ただし、締めるときまで延長パイプで力いっぱい締めてしまうと女性の力でもアルミホールを壊してしまいます。締める場合には規定のトルクで締めてやる必要があるのです。
↑それにはトルクレンチという道具を使います。市販品もあるけど、比較的簡単に自作できます。それにはまず50cm以上のパイプを用意します。パイプの先端にレンチを差込みレンチの頭の真ん中から50cmのところに印をつけます。
↑さきほどの竹の残りを使って、節をセンターにした写真のような半割り竹を用意します。これは50cmの位置に正確に力を加えるための道具です。
↑もうひとつ必要なのは体重計。作業者は写真のように体重計にのって作業をします。たとえば規定の締め付けトルクが8kgmだった場合。8kgmというトルクは、1mの位置を8kgの力で押したときのトルクだから、50cmの位置を押す場合は、その倍、16kgをくわえればいいわけです。16kgのオモリ(=ポリタンクに水を16リットルくらいいれるとか)を50cmのところにぶら下げてもいいのですが、でもそれは結構たいへん。そこで作業者が体重計にのるわけです。つまり彼女が体重50kgだったとすると、50kg−16kg=34kgだから、体重計の針が34kgになるように力を加えれば、50cmのところに16kgが加わったことになり、8kgmのトルクでナットを締めたことになるわけです。市販のトルクレンチなしでも結構簡単にしかもかなり正確にナットを締めることが出来ます。良ければ、こちらも参考に
ついでにもうひとつ……。
↑パンタジャッキのハンドル連結部にソケットレンチのコマを溶接しておくと便利です。ソーラーパネルで充電したバッテリーで溶接(100Vのアーク溶接よりも使い勝手はいいです)を行い、太陽光で充電したインパクトドライバーをジャッキに接続すれば、ゼロエミッションでオートジャッキが使えます。