小麦のタネまきと、センスオブワンダー

 午前中、雨が本格的に降り出す前にあわてて、麦のタネまきをしました。去年まではお風呂に漬け込む「風呂湯浸水法」(古くからの消毒方法として知られています)だったのですが、今年は時間がなかったこともあって、「温湯浸水法」を採用しました。
 55度Cのお湯に5分キッカリ漬け込むという方法です。本当は「冷温水浸水法」と言って、冷水(18度C)に3時間漬け込んだあと、55度に5分が一番いいらしいのですが、雨が降り始めてしまったので、冷水は省いて55分に5分だけで省略しました。このあたりのことはかなりしっかりデータ取りされていて、冷水処理を省くと「なまぐさ黒穂病」の発病穂率が0.2%あがってしまうなどのデータがあります(事前に冷水処理すれば、発病率は0%に抑えることが可能。しかし0.2%の発病率でも、トリフルミゾール水和液を使った消毒の0.4%よりは効果があったりします。出典:平成13年農業研究所・病虫研究室データより。以下も同じ)。
 一方、お湯の温度も55度5分であれば発病率は0.4%ですが、45度に3分だと30.5%にあがってしまうとのこと。発芽率は温湯消毒も冷温水浸水も95〜97%で、10日後でもそれほど変わらないとのこと。しかも、冷温水法、温水法いずれも「なまぐさ黒穂病」のほか「裸黒穂病」「班葉病」「条班病」のいずれにも効果があり、浸水後の乾燥など少し手間はかかるけれども、種子消毒用のベンレート剤などと同等の効果があるとのデータがあります。

↑播種機を使用する場合は、浸水後、ある程度は乾燥させる必要があり、薪ストーブの前でザルにひろげ乾燥させました。
 少し雨に濡れながらもどうにかタネまきは無事終了。ゴンベイをいきなり走らせると、草が引っかかるので、一度「空」でゴンベイを走らせ通り道にある草の残渣をゴンベイに集めてもらってから、その後、同じところをタネを入れて走らせるという方法で草の引っかかりによるタネの掘り起こし&集中を防止をしています。
 その後、急いでお昼を食べ、天ぷら廃油のポンコツJEEPで、武川村のKUMAさんの家に向かいました。武川村には三種類のKUMAさんが住んでいます。ひとりは鉄の作家として知られるKUMAさん、それからフォトグラファーであり、パン職人でもあるKUMAさん、そして、もうひとりはこのあたりの森をアジトとする(本物の)熊さんです。
 きょう、お伺いさせていただいたのはフォトグラファーでありパン職人のKUMAさんで、そこで劇団オーガニックシアターによるレイチェルカーソンの「センスオブワンダー」の公演があったのでした。

 実は、タネまきなどの農作業をしている瞬間というのは案外、寡黙なもので、その分、頭の中ではいろいろなことを考えています。このところは畑を耕しながらも、ついつい福島の農家の方々の悔しさに思いがいってしまって、知らず知らずに涙がほほを伝っていたりしたのでした。
 今日見せていただいた、朗読劇センスオブワンダーは、そうした意味でもとても深く考えさせられる内容の劇でした。東京湾の埋め立てのため、千葉の富津の山を崩し、そのために海岸に咲いていたハマヒルガオの群落が絶滅の危機に瀕し、それを地元の人たちが救った……という実話をベースに、富津の病院に入院中の母親と医者、そしてレイチェルと担当編集者のポールとをそれぞれにリンクさせながら、圧力や障害に屈せず将来への希望を夢見るという素敵な内容でした。
 レイチェルは息子を残して癌でなくなってしまうのですが、一方で母親と医者は……あらすじをあまり詳しく書くとこれから観る方の楽しみを奪ってしまうので、これ以上は書きませんが、正しい情報を発するに際して大企業からの圧力があったり、いま人類の前には、ふたつの道があってどちらを選択するのか? などなど、311後の現在の状況に重なる部分が多くあり、家に帰ったあとも家族でいろいろ考える時間をもつことができ、とてもいい観劇になりました。
 この素晴らしい機会を作ってくれた、Kumaさんご夫婦、ナガノユキノさん、椿さんご夫婦、青沼さん、そしてジモリ卒業生でもあるRimakoさん(演奏もさることながら、曲も素敵でした)、ありがとうございました。