私がいま、欲しいもののひとつに放射線計校正用のガイド物質があります。たとえば、セシウムに499ベクレル汚染されてしまっているお米、100グラムでいいから欲しい、と思っている人、全国にたくさんいると思うのです。
「個人所有の放射線計の値は校正が行われていないので信用できない」などという情報を国民生活センターを使って流すくらいだったら、校正用のガイド物質となるものを希望者に配ればいい。
「多くの国民が汗水たらして稼いだ大切なお金をたくさん支払って測定器を購入した」ということをもっと重大に、そして深刻に受け止めて欲しいと思います。本当に国民のことを考えているのであれば、子供の内部被曝を少なくし、風評被害をなくしたいと思うのであれば、校正用の基準となる測定ガイド物質をみんなに配ればいいのです。
セシウムにちょうど499ベクレル汚染されてしまっているお米があれば、それは少なくとも3年間くらいは校正基準になるはず。それを測ってみて、各自で自分の持っている放射線計がどのくらいの精度でどのくらいものまで測れるかを知ることができます。
あるいは、国が総力を挙げて、高性能な放射線測定器を格安で作り、希望者に分けるくらいのことを考えてもいいのではないでしょうか? それぞれの家庭で仕入れた食材を各家庭で測定し放射線がないことを確認できるような体制を作ることが、福島を初めとした原発周辺の生産者を守ることにもなると思うのです。日本人の教育水準は高いし、学ぶことに勤勉です。国民ひとりひとりのことをもっと信用して欲しいと思います。そしてこれだけ放射性物質が拡散してしまったのだから、放射線について実践的に学んだり、正確に測定する機会をたくさん作り、それぞれの人が自分で判断できるような下地を作って欲しいともおもうのです。隠せば隠すほどに疑わしさは増してしまい、そしてそのことが農業者や漁業者の不利益にもなっている、と思うのです。生産者も消費者もいずれも共に、今回の事故の被害者です。両者を分断することで、本当の加害者をカモフラージュするような政策は、一刻も早くやめてもらいたい!
↑おでん研究家でもある新井由己さんが手に入れた、食品を収納することのできるスペースの付きの放射線測定器。(撮影:新井由己)