自由の森学園の高校1年生が、体験学習に来ています。まずは、地面に穴を掘ってもらいました。そして大きなお鍋にお湯を沸かします。
彼女たちのこと「素晴らしいなぁ」と思ったのは、「何がやりたい?」と聞かれ、自らの意思でこれがやりたい、というのがあって、しかもその中でもかなり重たいテーマを選んだことです。
まずは近くの平飼いの養卵農家に行って、卵を産まなくなりつつあるニワトリを5羽分けていただきました。つまり鶏舎の中でトリを捕まえるというところから始まったのでした。卵を産まなくなったニワトリは廃鶏(ハイケイ)と呼ばれ、普通はお金を払って専門業者に引き取ってもらいます。かつてはツミレやハンバーグ、それにドッグフードなどに使われていたと言われていますが、最近では焼却処分になってしまうトリも多いとのこと。このあたりのこともしっかりと知っておかなければいけないことかもしれません。
そして次に、突然、一番きつくて大変な仕事が待ち受けています。いくつかやり方がありますが、今回は指導に来ていただいた佐藤さんから、左右の頚動脈を切るという方法を教えていただきました。これはトリに限らないことですが、お肉を美味しくいただく、つまり命を美味しくいただくためには、上手にしっかりと血抜きをするというのが決め手になります。切った後、ステンレスの筒に入れて血が抜けるのを待ちます。昔の人はこの血も無駄にはせず、効き目の高い肥料として使ったそうです。
その後、70度前後のお湯に1分程度漬け込み、毛をむしりやすくします。このあたりの具合は、実際に毛を抜いてみた感じで決めるといい、とのことでした。ただし長く漬けすぎると茹で鳥になってしまうので、それも命を美味しくいただく上ではマイナスになってしまいます。
手をときどき水で冷やしながら、毛を必死にむしります。ここまでが特にきつい作業。みんな、自然と無口になりながらも、本当によくがんばりました。
どうにかここまでこぎつければ、お肉屋さんで売っている丸鶏と外観ほぼ同じ形状。この先のバラし方も、佐藤さんに教えていただきました。丸鶏でいただく場合は、お尻の方から内臓を取り出します。このとき、腸を破らないように注意が必要。破けて糞がでてしまうと、肉にもその臭いが付いてしまうので、このあたりは特にていねいな作業が必要です。腸や心臓、レバー、肺、卵管などを下から取り出し、胃は首の脇に刃を入れ、そこから取り出します。胃も誤って破らないように注意する必要があります。このあたりが命を美味しくいただく上で大切な作業だったりします。
↑これが内臓、普通はほとんど捨てられてしまいますが、卵管や胃袋など美味しくいただける部分もあるそうです。一番手前の大きな臓器が胃。この中にはまだ未消化の草などが入っていました。
↑これは砂肝。中に本当に砂や小石が入っています。そしてその砂や小石をすり合わせて食べた物を消化します。砂肝もとても美味しい部位で、炭を起こし焼き鳥にしておいしくありがたくいただきました。
また、鶏の油は鮮度が命とのこと。魚以上に鮮度で美味しさが違ってくるそうです。特に水炊きなどはつぶしてすぐのトリで作ると美味しくいただけます。今回はスープをとることにし、鍋にガラを入れ、その日のうちに鶏ガラスープを煮出します。
↑↓ベンチレーティッドタイプのブレーキの廃品(自動車修理工場のゴミ箱をあさると見つかります)を使ったナチュラルアスピレーション(自然吸気)の薪コンロ。
↑ブレーキの冷却のため、ベンチレーティッドローターはディスク面が二重構造になっています。これをかまどの底板に使うと360度穴があいているので、風がどちらから吹いても吸気を効率よく取り込むことができ、安定した火を得ることができます(ただし、吸気の加減ができないので火力の調整は、くべる薪の量で行う必要があります)。