Blog「自給知足がおもしろい」

自給「知」足と称した、貧乏くさい暮らしを楽しむためのブログです。

完璧な自給自足は目指さず、「テキトー」と「いー加減」をモットーにあまり頑張りすぎない、
そんな暮らし方がこの頃なんだか、とてもオモシロイ!と感じています。
自給「知足」的な暮らしは言いかえると「貧乏臭い・ケチ臭い暮らし」でもあります。

でも「ケチ臭いビンボー暮らし」も、そう捨てたものではありません。
ビンボー暮らしは、お金をそれほど必要としない暮らしとも言えます。
そのため、お金稼ぎの作業や仕事に長時間、拘束されずにすみ、
その分の時間を、ヒトが暮らすための作業に使うことができます。

農的で質素な暮らし方が可能で、それにより身近なことで幸せを感じることができたりもします。
また、昔ながらの農的な暮らしは、ヒトも哺乳類の一種として自然の生態系の中で
虫や草や菌類など他のいきものたちと共に生きる暮らし方だったりもします。

そして、こうしたテキトーでいー加減な自給的な暮らしをうまくやっていくポイントは、「知足」? 
人間の欲望は際限がなくてお金をたくさん得られても、たぶんどんなお金持ちになっても満たされません。
でも逆に、小さなちょっとしたことでも、とても幸せに感じられることがあったりします……不思議です。

日々の暮らしの中から「自給知足的な暮らし」を楽しむためのヒント? 
のようなものを、紹介できたらいいなぁ、と思っています。どうか、よろしく。


田舎暮らしの喜び「アサマイチモンジとオオゴマダラ」

 ボルネオ島の北部にブルネイという小さな王国があります。昔、造園の設計を仕事としていた頃、その国の宮殿のテラスのデザインをする、という仕事をさせてもらったことがありました。細い柱にブーゲンビリアを絡ませ、上部でそれを球状に茂らせ、垂れ下がったブーゲンの奥に紺碧の空という情景を思い浮かべながらデザインしました。その近くには白い壁に沿ってガガイモ科のイケマも絡ませました。ボルネオではジャングルに生える雑草ですが、誰も気が付かなかったみたい。
 さすがに山梨ではブーゲンは茂りません。そこで代わりにスイカズラを、ブーゲンに見立てて柱に絡ませてみました。いままさに満開で、玄関のドアをあけるたびに甘い香りがあたりに漂います。

 日本庭園でよくつかわれるツキヌキニンドウはスイカズラの仲間です。そしてスイカズラもニンドウ(忍冬)と呼ばれることがあります。冬、雪が積もってもかろうじて緑の葉を残し冬を忍びます。
 スイカズラはまた、金銀花とも呼ばれることもあります。開花直後の花は白い花なのですが、時間がたつと黄色く色づき、ひとつの枝に二種類の色の花が咲く様子から金銀花とも呼ばれるようです。

↑手前の白い花が咲いてすぐの花。で、左の黄色味のある花がが時間がたったもの。そして手前はつぼみ。

 スイカズラが好きな理由はもうひとつあります。この植物はイチモンジチョウやアサマイチモンジの幼虫の食草でもあるのです。

 そんなこともあってか、このところイチモンジチョウやアサマイチモンジがこのあたりには増えてきたように感じられます。写真は雨で割れてしまったサクランボの蜜を吸いに来たアサマイチモンジ(第三室の白紋が発達)です。
 ヌガラ・ブルナイ・バルサラーム、永久なる平和の国ブルネイは、私が始めて行った外国でもあります。独立したばかりのその国の領事は、農大の先輩で、私が81番目の日本人入国者だと教えてくれました。
 そしてこの島には、フワフワっと飛んでは、すーっと滑空するオオゴマダラという優雅で大型のマダラチョウが棲んでいます。ブーゲンはこのチョウが大好きな吸蜜植物。アルカロイドを含むホウライイケマと呼ばれるジャングルの雑草はこのチョウの食草だったのです。若い造園設計者は、サーモンピンクのブーゲンの向こうに青い空と白い雲、そしてそこを優雅に滑空するオオゴマダラの姿を夢見て、このテラスをデザインしたのでした。図面を引いただけで終わってしまったのだけれど、どうなったかなぁ?……王様もチョウチョが好きだといいのだけれど。ちなみにオオゴマダラの蛹は黄金色をしています(←もしも、王様にばれたときの言い訳でもありました(笑))。幼虫が摂取したアルカロイドは成虫まで蓄積され、そのためこのチョウは鳥の襲われることがないので、優雅に滑空できるといいます。もしかしたら、蛹がとても目立つ色なのも学習効果を狙ったものなのかも……。