恐れていたことがついに始まってしまった……という感じです。
とは言っても、再臨界のことではありません。「金属と反応して水素が発生した……ということは、格納容器に使われている金属が水素ぜい化を起こしてしまっている、ということであり、しかもその上、さらに塩水を入れてしまっている……」容器内の温度がさがってきたとはいえ、まだそれほど安心できる状態ではないと私は思っているのですが、今回の「恐れていたこと」というのは、そのことではありません。
●水素脆性(ぜいせい)……自動車レストアを趣味とする人にとっては、おなじみの言葉。部品のサビを取ろうと(塩酸などで)酸洗いをすると、サビは取れてきれいになるけど、金属内部に水素が入ってしまって金属はもろくなってしまうという現象です。それを知らずに自動車の足まわりの部品をめっき(前処理で酸洗いが必要)をしてしまったりすると、バネがボッキリ折れたりします。今回は水が超臨界水(強酸と似たような性質を持つ)になって金属と反応し、水素分解されてしまったということだと思われます。
でも恐れていたことというのは、このこと(水素脆性による格納容器の破壊)ではありません。総務省による「ネット規制に関する法案」の閣議決定です。震災のドサクサにまぎれて、まさか民主党がこんなことを行うとは思いませんでした。それによると……。
「震災後、インターネット上の流言飛語について関係省庁が連携し、サイト管理者等に対して、自主的な削除を含め、適切な対応をとることを要請する」とあります。
テレビでしか情報を取れない人と、主にネットから情報を仕入れている人とでは、原発事故の情報に関して、内容があまりにも違ってきてしまっています。
たしかにネット上には酷い書き込みがあるのは事実です。でも、むやみやたらに原発の安全性を煽るテレビの情報よりも、まっとうと思える論理的な情報も少なくありません。しかし何を基準に流言飛語、あるいは風評と判断するのか? 基準など示せないわけで、国や政府によって都合の悪い情報の排除に使われてしまう可能性があり、これはとても危険なことのように思います。
流言飛語やプロパガンダに惑わされない情報の取捨選択能力を身につけること。そして学校がそうした教育を行うこと……これまでのように記憶力を競わせて、管理しやすい従順な人間を作る、ということを続けていたのでは、70年前の日本が再来してしまう可能性があり、残念だけど、今後、何度でも悲劇は繰り返されてしまうのではないか?と思います。
下の映像、消されないうちに、ひとりでも多くの人に見ていただきたいです。津波の映像は衝撃的でしたが、私にとってはそれと同じくらいにこちらも……衝撃的でした。