自由の森学園は、清流、名栗川のすぐ近くにあります。学校にはトイレがあるわけですが、そこにあるトイレは水洗トイレで、そこで排泄された「うんこ」や「おしっこ」は、浄化槽という装置をへて、どうも川に流されているらしい……生徒たちはそのことをを嗅ぎ付け疑問に思ったようでした。この川の下流にはいくつか浄水場があって、そこで取水された水を埼玉県民や都民は飲んでいるのです。大人になると、なんとなく知っていても知らぬふりをして目をつぶってしまうことなのかもしれませんが、純真な若者たちにとって、これは見て見ぬふりすることのできないことのようでした。「うんこ」について考える選択授業「プロジェクトうんこ」はこうして始まったと言われています。
↑これは東京・中野区のとあるゴミステーションにある看板。なかなか強烈。近所の人が迷惑するので排泄物はゴミとして捨ててはならず「下水に流すように」と書かれています。川の上流部に暮らすものとしてはこれはかなり強烈なことなのですが、都会で暮らしているともしかして、これは驚くに値しないことなのでしょうか?
川の水を家の中に引き込み、それで野菜や食器を洗っているこの地のお年寄りたちがこの看板を見たら、驚くだろうなぁ……。
名栗川(入間川)の浄水場の件、埼玉県民や都民の方たちは、一瞬ドキっとしたかもしれませんが、でも大丈夫。安心してください? 埼玉や東京に限らず似たようなことは全国各地で起こっているはずなのです。
私は南アルプスの麓に住んでいるのですが、この地には膨大な量のミネラルウォーターを世界中に出荷している有名なウイスキー工場があります。あるいは世界一の規模と言われるジュース工場(コンビニで売られている各メーカーのジュースの多くがここで作られています)があり、この工場では世界中から集めた濃縮果汁をこの地の地下水で希釈し製品化しています。ここ白州町の地下水は、世界でも有数と言われるくらいに美味しい軟水で、でも、それらの工場の井戸はウチのトイレ(浄化槽)よりも下流にありますし、川のさらに上流域にはごみ焼却炉から出た膨大な量の焼却灰が積んであったりもします。さらには、その灰を溶かすための溶融炉を川の上流域に作ろう……などという計画が持ちあがったりもするのです。
プロジェクトうんこ「バイオガス編」に続きます。