太陽熱畜熱併用のハイブリット式・踏み込み温床

 現在、古民家再生中のやまのさんから、床下のコンクリート蓄熱層の厚みをどのくらいにしたらいいか?という質問をいただきました。他にも今ちょうど、床下畜熱を考えている友人が何人かいるようなので、ついでなので、ブログでお答えさせていただくことにしました。
 ウチがパッシブソーラーを作った頃は、まだ、そのあたりのデータがしっかり確立されていなかったので、多ければ多いほど暖かそうな気がしていまい、なけなしのお金をはたいて、床下に大量のコンクリートを打ちました。そんなわけで、我が家の蓄熱コンクリートの厚みは20cmもあります。でもこれは厚すぎだったようです。その後、OMソーラーハウスという専門業者が作るパッシブソーラーハウスがあることを知り、その仕様書を見せてもらったら、たしかそれは8cmでした。

↑軒下にある横長の穴から、空気を取り入れ、黒い屋根材でそれを加温して小屋裏トップに集め、中間ダクトファンを使って床下のコンクリートに蓄熱しています。吸気口には必ず、耐久性に優れたステンレスの金網を取り付けてください。さもないと、春、ここからスズメバチが侵入してきます。冬にはクサギカメムシたちの集団越冬場所にもなってしまいます。ウチの家族はカメムシスズメバチテントウムシもそれほど嫌いじゃないのですが、網を破られてからというもの、驚くべき数の虫たちが入ってくるように少々閉口しています。

↑文章よりも図のほうが分かりやすいですね。クリックすると大きくなります。
 床下の蓄熱層ですが、いったん厚くしてしまったものを薄くするのは難しいですが、もしも厚みが足りない場合、黒く塗った自然石を置くだとか、コンクリートブロックを床下に仕込むなどと言った方法で、蓄熱体自身はあとから補充可能です。熱交換機としての理想を言えば、空冷エンジンのようなものがいいのだろうから、床にひびが入ることや、コンクリートブロックのようなものを床下に入れることは、悪くないと思います。
 やまのさんの仕様は、「砕石ー防湿シートースタイロフォームー鉄筋ー架橋ホースー蓄熱モルタル」とのことでしたが、私は、防湿シートで失敗しました。これから施工される方は気をつけたほうがいいと思います。防湿シートというのは基本的に水を通しにくいものなので、その端が上にめくれていたりすると防湿シートの上に水が溜まってしまうことがあるようなのです。大雨が降ると、雨は地表を流れ、建物の基礎のところで堰きとめられ、基礎に沿って地中にしみこみます。その際、防湿シートの端が上にめくれていると、基礎に沿ってしみこんできた雨水を拾ってしまい、防湿シートの上に水を貯めてしまうのです。これは大失敗でした。というわけで、防湿シートの端の処理、要注意です(いまは基礎の周囲に溝を掘ることで凌いでいます)。
 それともうひとつ、蓄熱コンクリートは黒く塗装してあげるとより効果が高いのではないかと思います。「熱」というのは「赤」の外の目に見えない電磁波(赤外線)のことで、これは白色や鏡のようなものが表面にあると反射され、黒い色が一番内部に吸収されやすい(逆の放射の場合も同様)という電磁波としての特徴を持っています。太陽光などの可視光線の場合だと、この感覚はよく分かると思うのですが、人間の目には見えない赤外線だけだと、この感覚は分かりにくいかもしれません。魔法ビンの中が鏡であることや、普段は暗いエンジンルーム内のラジエター(一種の熱交換器です)が黒く塗装されていることなどからも分かると思います。
 ちなみに、マイクロウエーブというのは、その隣、電波との間に位置する電磁波のことで、電波と比べると波長がマイクロな波だということ。電磁波全体で見ると遠赤外線よりもさらに少し波長が長いのがマイクロ波です。そんなわけで薪ストーブの遠赤外線による過熱と、電子レンジによる加熱は、意外と際どいところにあります。
 逆に目に見える電磁波である「紫」の外側、赤外線とは反対側の電磁波に紫外線や放射線などのさらに細かな電磁波がいます。で、何が言いたいのか?というと、「電磁波」や「化学物質」といった感じで、言葉をあいまいに使ってしまうと、そのことの本質がぼやけてしまいがちで、なんだかもったいないな、と思ったりしています。
 ところで、ウチで一番最初に試したパッシブソーラーは、ポモナカートの上に、黒く塗装した自然石をたくさん並べ、それを昼間、日向において蓄熱し、冷える前に家の中に移動する、というモノ凄く原始的だけど、楽しいものでした。火鉢のように黒く塗った石に手を当てて暖めます。手は暖まるけど、部屋は暖まりませんでした。でもいまも、これに近いことを踏み込み温床などでは行っています。

↑これが我が家の踏み込み温床。踏み込んだ落ち葉の上に、黒く塗装されたコンクリートブロックが置かれ、その上に、苗箱が置かれています。

↑落ち葉、米ぬか、鶏糞、それに微生物たっぷりの浄化槽の汚水などを入れて、「人間ランマー」を使って踏みしめます。温床内側のコンクリートの内壁は黒くて、外側は断熱のために白いのが写真でわかるでしょうか?

↑黒く塗装したコンクリートブロックの表面温度は、80度を超えます。これを蓄熱体として落ち葉の上に置いています。

↑そんなわけで、温床内部は高温になりすぎるので、昼間、苗たちは温床から出し、その間に太陽熱で温床内部の温度を上げておき、黒く塗装したコンクリートブロックにできるだけ蓄熱しておく、というスタイルです。太陽熱と微生物による発酵熱の両方を使ったハイブリットタイプです。苗箱の出し入れが必要なので、家庭用の小規模な温床だからこそできるハイブリット、とも言えそうだけど、苗箱を車輪付きの台に載せ、一気に引き出せるようにすれば、大きめの温床でもいけるかもしれません。