Blog「自給知足がおもしろい」

自給「知」足と称した、貧乏くさい暮らしを楽しむためのブログです。

完璧な自給自足は目指さず、「テキトー」と「いー加減」をモットーにあまり頑張りすぎない、
そんな暮らし方がこの頃なんだか、とてもオモシロイ!と感じています。
自給「知足」的な暮らしは言いかえると「貧乏臭い・ケチ臭い暮らし」でもあります。

でも「ケチ臭いビンボー暮らし」も、そう捨てたものではありません。
ビンボー暮らしは、お金をそれほど必要としない暮らしとも言えます。
そのため、お金稼ぎの作業や仕事に長時間、拘束されずにすみ、
その分の時間を、ヒトが暮らすための作業に使うことができます。

農的で質素な暮らし方が可能で、それにより身近なことで幸せを感じることができたりもします。
また、昔ながらの農的な暮らしは、ヒトも哺乳類の一種として自然の生態系の中で
虫や草や菌類など他のいきものたちと共に生きる暮らし方だったりもします。

そして、こうしたテキトーでいー加減な自給的な暮らしをうまくやっていくポイントは、「知足」? 
人間の欲望は際限がなくてお金をたくさん得られても、たぶんどんなお金持ちになっても満たされません。
でも逆に、小さなちょっとしたことでも、とても幸せに感じられることがあったりします……不思議です。

日々の暮らしの中から「自給知足的な暮らし」を楽しむためのヒント? 
のようなものを、紹介できたらいいなぁ、と思っています。どうか、よろしく。


駐車場にベレGのいる学園祭

 普通、高校生の娘の学園祭に親は行かない、と思うのだけれど、なぜか娘の学校では親が学園祭を見に行くのが極普通のことだったりします。そんなわけで私たちも自由の森学園の学園祭に行って来ました。
 で、普通、私学の学校駐車場には、最新の国産高級セダンや外車がずらりと並ぶそうですが、この学校はそのあたりもちょっと変わっています。駐車場には旧型ミニやパオ、ボロボロのワンボックスカーなどなど、天ぷら廃油で動いているクルマもウチのクルマ以外にもあったりします。教員も古いジムニーや軽トラ、それにバーチカルツインのオートバイ、などで通っていたりします。今回、最も目立っていたのがこのクルマ、娘と同じクラスお父さんが乗ってきたベレGでした。

 室内をのぞくと、インパネはアルミパネルで作り直されていました。レーシングカーのように油温計や油圧計、アンメーターなどがずらり。

こうなるとエンジンルームも気になるものです。お願いして、見せていただきました。

 このエンジンルーム、良く見てください。何か変でしょ! 旧車のエンジンルームはシンプルで美しいとはいうもののこれはシンプル過ぎです。ひとつには電線=ワイヤーハーネスがない。それだけでなく、ワイパーモーターもないし、ブレーキのマスターバックも、エアコンのコンデンサーもない。でもエアコンは付いているし、ブレーキもアシスト付きなのです。実はみんな付いているのだけれど、エンジンルームをシンプルで美しく魅せるため、見えない場所に移設されているのでした。
↓たとえばバッテリーとウインドウォッシャータンク。リヤのトランク内に移設されているのでした。

↓しかも、それが分からないように、バッテリーやウォッシャーも普段はしっかりカラクリ収納されているのでした。
↓さらにエアコンのコンデンサーは車体の底部に移設されていたるのでした。

 さらに、エンジンの仕様を聞いたらますます驚いたのでした。腰下は117クーペの2リットル用シリンダーブロックを使い、ヘッドはG180Wのツインカムヘッドを移設。その上でカムシャフトは作用角を変更。高回転までキッカリまわるようにオーバーラップを多くし、点火は同時点火。キャブも新しいウエーバーではなく、旧タイプのDCOE9(俗に言う「角なし」)というこだわりよう。まさに羊の皮を被った狼という仕様です。外観ノーマル、中身フルチューンというヤツ。渋すぎ、カッコ良すぎなのです。

 駐車場からして感動していたのですが、生徒たちの演出によるお祭りはさらに素晴らしいものでした。中庭で、サンバや民族舞踊、中国舞踊、ヒップホップなどの演技が行なわれ、それらに見とれていたらどんどん時間がたってしまいます。石釜(選択授業で生徒たちが作った)のいい臭いにつられて校舎の裏にまわると、そこには下の写真のような理科の実験装置風がありました。さてこれはなんでしょう?

 ぶらさげられた茶漉しの中にはザラメが入っていて、それがマブチモーターでまわります。そしてその下にはアルコールランプ。スイッチを入れるとあら不思議、蜘蛛の糸のようにワタアメが出てくるではありませんか! 
 そしてその横でニコニコしながらミッキーが生徒たちの様子を見守っています。あっ、ミッキーというのは理科の教員の後藤さんのニックネームです。実はこの学校には先生はいません。校長を始め、多くの教員があだ名で呼ばれ、「先生」という単語が交わされることは滅多にないのでした。
 ワタアメを作っていたら、手にワタ化していない液体のお砂糖の小さな粒が飛んできました。
「あちぃー」と手を引っ込めた生徒に、ミッキーが「そうそう、ワタアメは割りばしを垂直に立ててすくうのがコツなんだよ。でもなんでこんな小さな砂糖の粒がすごく熱いか分かる?」と生徒に質問。
 液体が冷えて固体になるのは、気化熱の逆の現象が起こり、熱が発生する、のだそうです。普段の授業もどうもこんな感じのようで、子供たちの興味を引き出すのが実にうまい。

 この学校は中高一貫で、これは中学生のクラス企画の一部なのでした。石釜はフル回転で、まるで魔法の調理器のようにさまざまな食べものがそこから出てくるし、その横では鉄道研究会が小さな鉄道(でも人が乗れる)を「線路は走るよ」の生演奏と共に運行。
 クラス企画のほかにも、部活や有志の企画がたくさんあります。運営や進行、PAなどの機材の運用、学園祭全体の会計などなど、ほぼすべてを生徒がやっています。

 この学校の理科準備室は骨部屋と呼ばれています。生徒たちが作った骨格標本がずらり並んでいるので、そう呼ばれるようになったとのこと(と、簡単に言ってしまうけれども骨格標本を作るのは、その臭いだけでも想像を絶するものがあるように私は思うのですが……)。でも最近は、骨だけでなく、皮や毛皮なんかも扱っているようです(ますます臭いそう……)。写真のキャプション、読めるでしょうか? 「皮のなめし方」を紹介するひとコマで、そこには「皮に脳味噌を塗る」と書かれています。かつて甲州印伝などで使われていた「脳なめし」という方法で皮をなめした、ということのようです。そう言えば以前、「シカの脳みそが欲しい」ということになってウチにも連絡があったのですが、でも普通はシカの脳みそなんて持ってませんよね……。でもその後の経緯を聞いたら、娘の隣のクラスの女の子が電車でシカの頭をふたつ、持ってきてくれたとのこと……驚きました。

 で、娘は何をやっているのだろうか?と恐る恐るのぞくと……、「キャラクラ」でした。
 文字通り、キャバクラからとったネーミングだそうです。内容もまあ、それほど大きく違わない?とのこと。キャラクターを設定し、お客さんとソフトドリンクを飲みながらお話をするという内容です。途中で、ショータイムなどもあったりします。
 校長の鬼沢さんが言っていた『生きる力とは、個人の中に力を蓄えることではなく、他者とつながる力』という言葉を実践する企画なのだそうです。で、娘にお客さんとはどんな話をしたの?と聞いたら、娘は「虫取り人」というキャラクターで、お客さんとはとにかくトコトン虫の話をする、という設定だったそうです。具体的には、「スズメバチネジレバネの不思議」や「ガスを噴出さないカメムシの上手な持ち方」、なんかの話をした、とのことでした……。



 ということで、もしもこの学校のことに興味を持った方がいらしたら、近く、この学校の社会科の教員スガマン(娘の担任でもあります)による公開授業が11月13日に東京・蒲田の産業プラザPIO1階AB会議室 (京浜急行京急蒲田」駅 東口改札 徒歩約4分)で行なわれます。
 時間は午後2時50分〜午後4時まで。
『世界のできごとを「他人ごと」から「自分ごと」にする』がテーマ。なかなか重いテーマではありますが、菅間さんらしい切り口でのめりこみ夢中になり、大人の場合はこんな授業を学生時代に受けたかった……と羨ましくなったりします。
これは「東京・9条まつり」の一部として行なわれるもので、ジモリの生徒たちが立ち上げ、週間金曜日などにも紹介された「普天間基地撤去を求める高校生の会」のブースも出展するそうです。もしよければどうぞ遊びに行ってください。スガマン(菅間正道さん)の授業、公開研では立ち見がでるほど。生徒たちにもなかなか人気なのです。