天ぷら廃油の濾過装置


 我が家のポンコツジープ(77年式J36)は、天ぷら廃油を燃料として走っています。燃料を暖める装置を自作することで、植物油をベースに精製したBDF(バイオディーゼルフューエル)と異なり、ストレートの天ぷら廃油(SVO)を燃料としています。熱交換器を自作したり、それを取り付ける手間などはかかりますが、このシステムの場合、精製が不要なのでグリセリンなどが廃液がでず、洗浄のために大量の水を使うこともありません。でもストレート天ぷら廃油の場合、天カスなどのゴミも含まれているので、それを取りのぞいてあげないと燃料フィルターがすぐに詰まってしまいます。

↑これが熱交換器。普通はラジエターの温水と熱交換するのですが、このジープの場合は排気熱を使って燃料を暖めています。SVOの仕組みもそのうち、回をあらため少し詳しく紹介させていただこうと思います。

 現在、大企業が進めているように、土地や人件費の安い途上国で燃料用に(効率はいいけど有毒で食べられない)植物油を生産し、そうしたバージンオイルを燃料のベースにすればこうした濾過は不要なわけですが、それでは途上国の食料問題をさらに悪化させてしまう可能性があります。現状でも食料が足りていない地域がたくさんあるというのに、貨幣価値が大きく違うからといって、我々の便利さのために途上国の貴重な農地で自動車用燃料を生産してしまっていいのでしょうか? そんなこともあって我々は、使用済みの天ぷら油、「廃油である」ということにこだわっていたりします。
 そんなわけで天ぷら廃油で走る仲間は、そのための濾過装置をそれぞれ工夫して自作しています。コスロンと呼ばれる料理用の天ぷら油フィルターやティッシュペーパー(意外なことに、これが油に溶けない)、それに遠心分離機などを使っている人もいます。我が家では、使い古しのフィルターエレメントを流用しているのですが、これが結構調子がいいので、紹介させていただきます。

↑これがその装置……と言っても、ホームセンターで売っているプラスチックケースを三段重ねたスタイルです。素人の自作品なので、トラぶったときすぐに分かるように、中身が見えるということが大切だったりします。

↑一番上のプラスチックケースには、このジープのエアクリーナーの中古がセットしてあります。プラスチックケースの底の部分に二箇所穴をあけ、ひとつにはブラインドナッターをかしめて、エアクリーナーエレメントのパッキンがケースの底面に密着するように長いネジで締め付けています。もうひとつの穴にはホースエンド(タケノコジョイント)をねじ込み、エアクリーナーエレメントを通過したオイルが下のプラスチックケースに落ちるように導かれています。これを作ってみて思ったのは、メーカー純正部品というのはとてもよく出来ているということ。エレメント上部のパッキンの接点が二重の同心円になっているのが写真で分かるでしょうか? パッキン全体で幅広く接地するのではなく、外側と内側の二点で線接触するような構造になっているのです。たとえ外側でシール出来なかったとしても減圧後の内側のパッキンでシールする構造(ラビリンス効果?)のようです。

↑二段目には、このジープの燃料フィルターエレメントを濾過用のフィルターとして使っています。これも中古です。詰まるたびに何度も洗浄して再使用し、最後は洗浄してもエンジンの回転があがらなくなってしまったというくらいに酷使し目詰まりをおこしているエレメントですが、その分、天ぷら廃油をきれいに濾過できる……のではないかと密かに期待しています。モノはとことん、使いつぶす方針です。でも濾過スピードはかなりのろくて、ひと晩で10リットルくらいしか落ちません。でも、この「のろい(スロー)」ということは、いろいろな点で、かなり大切なことなのではないかと思っていたりします。
 取り付けは、エレメントの底部にホースエンド(タケノコジョイント)がねじ込めるように改造し、シール材としてホースエンドのネジ部にOリングをはさんでプラスチックケースの底面に密着させます。

↑レストランや食堂などからいただいてきた廃油は、当初、ヒシャクで汲んだりしておりました。でも時間がかかるので最近は、写真のような一斗缶を作り、大型のヒシャクに見立てて使っています。200リットルのドラム缶から汲み上げるときもコレがあると便利。60リットルの漬物容器から移し変える際もまずはコレに移し、そこからこの濾過装置に注ぎます。丸ではなく四角なので、カドがあり、細く注ぐ際にも便利。オススメです。

↑とまあ、そんなわけでこんな原始的な装置で濾過をしているのですが、ローテクなわりにはなかなか順調です。ただ一度、失敗もありました。これらの装置は道路を隔てた畑側の車庫にセットしておいたのですが、ある朝起きたら、ドラム缶の上にセットされていた装置が地上に落とされ粉々に破壊されていました。当初はイノシシの仕業かと思っていたのですが、「イノシシは200リットルのドラム缶の上に手を掛けるようなことはせず、おそらくドラム缶ごと倒すでしょう」とのこと。「……おそらくクマだと思います。」「ツキノワグマはハチミツと共に食用油が大好物で、浄化槽のフタを爪でこじあけて沈殿槽に浮いている油をなめたりするんですよ」と、クマ追いの専門家に教えていただきました。それ以来、濾過は扉の締まる家の一階の作業場で行なっているのですが、朝起きて始めてその部屋に入るときにはちょっと緊張します。
「はい、これからヒトが入りますよ!」と扉の前でひと声掛けてから入るようにしているのですが、まっ、ほんの気休めですね。

 その後、濾過装置少し改造しました。興味のある方はこちらをご覧ください。