薪小屋のトタン屋根の上に、カタタン、コロコロ、ポシュと、クリが落ち始めました。
今年もちゃんとに、忘れずに秋がやってきてくれました。トマトは色付き、この間までおなかが黄色かったアカトンボも、トウガラシのように真っ赤に。
秋はせっせと、保存食を作る季節でもあります。トマトスープは時間をかけ、量が3分の2〜半分くらいになるまで煮込みます。すると、コクのある濃厚なスープができあがります。しっかり煮込んだトマトスープはピザ用のおいしいトマトソースにもなります。鉄の鍋だとトマトの酸で、スープが鉄臭くなると書いてある本もあったりするけど、しっかり使い込んだダッヂオーブンだったらそんなことはないように思います。そりゃあ、ルクルーゼだったら申し分ないのだけど……。琺瑯(ほうろう)は外で使うと割れやすいんだよなぁ。
ところで、側面が無垢のステンレスでできているお鍋のコマーシャルに出ている料理研究家(といわれている人)がいるけど、本当にそのお鍋を使ったことがあるのだろうか? ウチでは側面がステンレスのお鍋(ナベの底は多層構造になっている)を買って大失敗しました。側面がステンレスのナベは側面の熱伝導性が悪いので、ナベの側面とスープの液面との接触部分の温度があがってしまうので、スープの温度があがる前にその部分が焦げてしまいます。スープにコゲ臭を付けたい、というのであればいいのかもしれないけれど、お味噌汁を暖める場合なんかもう最悪。
ちなみに先日、豚骨スープを作っていたあの半寸胴は、鉄をステンレスの薄膜でオーバレイ・クラッドさせたクラッド鋼で側面まで作られているお鍋です。これだと酸にも侵されにくく、側面も熱の伝導性に優れ、なおかつ外気との遮熱性にも優れているので、少ないエネルギーでおいしい料理ができます。AGクラッド鋼という製品名で売られているものが多いかなぁ。クラッド鋼は異種金属同士の接触面が合金のように拡散結合しているもののことをいい、めっきよりもはがれにくいといわれています。
昔、アルミの羽釜を使うのが嫌で、鉄の羽釜の内側に琺瑯をひいてくれるところがないか探していたのだけれど、みんな断られてしまい断念した、ということがありました(あったら売れると思いませんか? 琺瑯びきの鉄の羽釜だとか、内側が琺瑯びきのダッヂオーブン……)。でも、AGクラッド鋼でできた羽釜でもいいですね。羽根の部分は無垢のステンレスでもいいわけだから、プレスで作って、あとからTIG溶接で羽根を付けるということであれば、プレスでも作れそうな気もするのだけれど……どこかで作ってくれないかなぁ……。
とまあ、そんなわけで、この手のスープを煮込む場合は焦がさず、じっくりと時間をかけることがコツです。とりあえず煮込んでいる間だったら、鋳鉄のダッヂオーブンでも大丈夫。もしその後、保管する場合には、琺瑯かモリブデンのお鍋がいい。煮込む際は、鋳鉄の厚手のナベなら、熱源に薪が使えるし、あまり火加減を気にしなくてもいいし、ときどき火が消えてしまっていても問題ないし、それくらいのほうがなぜかあとでおいしい感じがします。温度を高くしすぎない、ということとときどき温度をさげる、ということが味が染み込む上で大切なのかもねぇ?
さてさて、いよいよ、きのこのシーズンもはじまりました。
きょうは家のまわりでアカハツやハツタケが16個も採れました。今年の最高記録。アカハツやハツタケは下草刈りをしたアカマツの木の下にでます。だから秋においしいきのこをいただくためには夏の下草刈りが欠かせません。アカハツ&ハツタケは傷つくと、いずれもひだが緑青のように変色するのでとても見わけやすいきのこ。意外と人家の近くに出ます。
アカハツ&ハツタケはとてもウマミの強いきのこなので、白コショウの香りを効かせ、隠し味にお醤油をチョロっとたらしてバター炒めライスでいただきました。この料理は、学生の頃、馬車道にあるフランス家庭料理の店「ぼんふぁむ」で最初に教えてもらった「まかない」でもあります。遠い昔を懐かしむ、ちょっとほろ苦い味でもあります。
季節を通して感じることだけど、自然の恵み、ホント、ありがたいなぁ。