Blog「自給知足がおもしろい」

自給「知」足と称した、貧乏くさい暮らしを楽しむためのブログです。

完璧な自給自足は目指さず、「テキトー」と「いー加減」をモットーにあまり頑張りすぎない、
そんな暮らし方がこの頃なんだか、とてもオモシロイ!と感じています。
自給「知足」的な暮らしは言いかえると「貧乏臭い・ケチ臭い暮らし」でもあります。

でも「ケチ臭いビンボー暮らし」も、そう捨てたものではありません。
ビンボー暮らしは、お金をそれほど必要としない暮らしとも言えます。
そのため、お金稼ぎの作業や仕事に長時間、拘束されずにすみ、
その分の時間を、ヒトが暮らすための作業に使うことができます。

農的で質素な暮らし方が可能で、それにより身近なことで幸せを感じることができたりもします。
また、昔ながらの農的な暮らしは、ヒトも哺乳類の一種として自然の生態系の中で
虫や草や菌類など他のいきものたちと共に生きる暮らし方だったりもします。

そして、こうしたテキトーでいー加減な自給的な暮らしをうまくやっていくポイントは、「知足」? 
人間の欲望は際限がなくてお金をたくさん得られても、たぶんどんなお金持ちになっても満たされません。
でも逆に、小さなちょっとしたことでも、とても幸せに感じられることがあったりします……不思議です。

日々の暮らしの中から「自給知足的な暮らし」を楽しむためのヒント? 
のようなものを、紹介できたらいいなぁ、と思っています。どうか、よろしく。


通路に出たこぼれ種発芽の作物たちは移植するのが正解!

今年は乗用草刈機の通れる幅でウネをつくったのでまっすぐのウネを作った畑は比較的楽に管理ができています。

f:id:musikusanouen:20200627233248j:plain

左寄りにあるのはゴミとして捨てられていた廃材で作った生ゴミコンポスト

問題は、こぼれ種を尊重してしまった畑。直線のウネばかりでは美しくない……などという天の邪鬼な思いから、こぼれ種発芽の作物を群落状に残してみたのですが、これが曲者。春先は良かったのですが、気温が上がり植物たちの成長が活発になると草刈り機はおろか人が踏むこむことも難しい畑?となってしまったのでした。ただし、フキだけはそれほど背も高くならず、他の植物も混ざりにくいので群落での栽培に適していると思います。

f:id:musikusanouen:20200627233606j:plain
⇧もし夏草が混じってしまいフキが負けそうになったら、上手いタイミングに根本から刈ると、他の草たちよりもフキは再萌芽性が強く成長も早いのでフキだけの群落を作ることができます。

来年のための備忘録として、書き記しておくのですが、邪魔になりそうな通路や道に出てしまったこぼれ種の作物は早めに直線の畝上に移植しておくのがよさそうです。

f:id:musikusanouen:20200627233859j:plain

道路上に出たライ麦は道路脇に一列に移植してみたところ、バインダーでの収穫もしやすそうでなかなかいい感じに生えています。
自家採種さえもしない、花を咲かせタネができてこぼれるまでそのまま放置する「ぐうたら・こぼれ種農法」これからもノウハウを探っていきたいと思います。

タモギタケが発生! 美味しい上に、アンチエイジング効果もあるらしい。

ミズキの樹液に朱色のコロニーをつくるファフィア酵母とか、あるいは落ち葉の間から顔を出したムラサキシメジとか、菌類には、自然の色とは思えないような派手な発色のものがいるけれども、この時期に発生してくれるタモギタケもそのひとつ。茶色が基調の雑木林の林床にレモンイエローのキノコが発光しているかのような鮮やかさでその存在を主張しています。

f:id:musikusanouen:20200626223818j:plain

タモギタケ 幼菌

梅雨時は湿度が高くきのこの発生には有利にも思えるけれども、意外とキノコは少なくて、キノコが大好きなわが家にとって、この時期発生してくれるタモギタケとアラゲキクラゲは(植菌時に)外せないキノコだったりします。

 


f:id:musikusanouen:20200626224414j:plain
⇧今年は梅雨らしい梅雨なので、アラゲキクラゲが巨大化してくれました。

f:id:musikusanouen:20200626224718j:plain

タモギタケ成菌 気温の高い時期なのでアッという間に大きくなります。

原木栽培のタモギタケは、香りも強く、一番のオススメはお椀。汁物でしょうか。
バター醤油炒めにする家中に幸せな香りが充満します。

しかもタモギタケには、コプリーヌことササクレトヨタケと同様、抗酸化物質であるエルゴチオネインが多く含まれていることが知られています。アンチエイジング効果や老化防止効果があるとのこと。

中国では「楡黄蘑」と呼ばれ珍重されているタモギタケ。中国語の通り、ニレ科の木を原木として使用するとよく発生してくれます。ニレやケヤキトチノキユリノキの伐採木が手に入ったときにはオススメのキノコです。





 

刈草を使った腐葉土のつくり方。

刈り草を集めて作る腐葉土づくりと、生ゴミを発酵させてつくる生ゴミ堆肥とは分けて考える、というのがいいように思っています。
刈り草だけの発酵であれば、水分量もそれほどあがらないので、嫌な臭いが出たり、ミズアブの幼虫(=ウジ虫)が発生したりするということも少ないと思います。

ということで、刈った草や抜いた草を使って腐葉土を簡単につくる方法の紹介です。
などというほど、たいした方法ではなくて超簡単。地面にただ棒を突き刺すだけ。そしてそこに刈り草を積み重ねていきます。強いてコツがあるとすれば、空気が入りやすいように少し高めに積み重ねるということ(好気性微生物が活動しやすくしてあげます)。
そのため、センターに棒があると積み重ねやすく、高く積んでも風に飛ばされにくくなります。

f:id:musikusanouen:20200527002918j:plain
↑ちょっと分かりにくいかもしれませんが、これで高さは1mくらいはあります。

刈った草や抜いた草を熊手で集めて、棒にからめて積み重ねます。ウチでは細めな割に丈夫なので、ビニールハウスなどに使われている一番細いパイプ(外径19φ)を使っていますが、トマトなどのイボ支柱でもいいと思います。土が硬い場合は叩ける丈夫なものがいいかも。

上の写真のように、ただこのままでもいいのですが、背の高い雑草があれば、円錐形(上から見ると放射状)に屋根のように重ねると簡単な雨よけになります。多少は水分があったほうが腐葉土化しやすいのですが、水分が多すぎると内部が腐敗して臭いが出たりすることがあるので、いい加減に雨水がしみ込む雨よけが必要で、季節によってはこんなくらいがちょうど良かったりします。

f:id:musikusanouen:20200529230618j:plain
↑水が外周に滴りやすいようにオオブタクサを円錐形に被せたところ。雨の少ない時期はこれだけでも十分だったりもします。

でも雨が多い時期は、ライ麦の藁束など背の高い草の束があればこんな感じに円錐形に屋根状にしてあげると中に水分が入りにくくなります。

f:id:musikusanouen:20200529230910j:plain
ススキでやれば、まさに「茅葺き」。

で、これらはその後どうなるかと言うと、こんな感じになります。

f:id:musikusanouen:20200529231129j:plain
⇧一番奥の円錐形が、今年、積んでいる刈草堆肥。
真ん中の土が露出しているのは、去年積んだ刈り草。
そして一番手前の波板の下にあるのが(すでにだいぶ使ってしまったけれど)、3年くらい前に積んでいた完熟腐葉土腐葉土になってからも雨ざらしだと、普通の土になってしまうのが早いので、波板をかけて置くと3年くらいは腐葉土の状態が保たれます。

f:id:musikusanouen:20200529231544j:plain
よく見ると、カブトムシの幼虫の糞がたくさん!

f:id:musikusanouen:20200529231717j:plain
カブトムシの幼虫の糞は、団粒構造なので水はけがよく、しかも粒自体は保水性があります。ミミズたちの糞も、用土としてはいい感じです。つまりこうしてできた腐葉土はポット苗などの鉢植え用土に最適。

ただしこれをそのままタネまき用土として使用すると、さまざまな草のタネが芽生えてしまいます。タネまきして発芽したときにどれが目的の双葉だか分からなくなってしまう場合は、黒のシートと透明のビニールとの間に腐葉土をはさみ太陽熱で温度を上げてタネを殺してから使用したり、あるいは焚き火のときにドラム缶のフタで焼いたり、はたまた覆土や上部の土だけ市販のタネまき用土を使用するなどの方法で使っています。

この時期、やらなければいけない農作業が山積みなので、手軽にできる方法としてオススメです。

■追記■2020年9月3日
畑にモラン、登場。
身長2mオーバー。

f:id:musikusanouen:20200903185640j:plain



③水稲の栽培(毎年更新) 育苗から田植えまでの覚書

f:id:musikusanouen:20200515224407j:plain
八ヶ岳と鎮守の森に見守られながら、今年もどうにか田植えを終えることができました。このあと補植と(終わりのない)草取りが待ち構えているのですが、田植えが終わるとなんとなくひと安心。
田植えは一年に一回なわけですが、最近は1年たつといろいろなことをすっかり忘れてしまってしまっていることも多く、覚書として来年のためブログに箇条書きで書き留めておくことにします。
「①稲の栽培の備忘録(毎年更新)浸種から催芽まで」はこちら

●2条植えの歩行型田植え機は、曲がりやすいのだけれど、トラクターで代(しろ)かきした方向と直行する方向で田植え機を走らせると曲がりにくい(たぶんトラクターの轍に車輪が入ることがなくなるからだと推測)。

f:id:musikusanouen:20200515224951j:plain
⇧トラクターによる代かきは写真の左右方向に、そして田植えは上下方向にしました。

●苗箱はなぜか、コメリの格安の稚苗用(たしかひとつ98円)が他と比べてどの品種でも成長が良かった。中苗用苗箱よりも節伸びもせずいい感じ。稚苗用なので、穴が小さく、穴の数も少ないのだけれど、もしかしたら床土の肥料分が潅水によって流れ出にくいなどの要因があったのかもしれない。
床土も市販のものの場合はやっぱりコメリがよかった。グラスウールの肥料の入ったマットなど(いただきものではあるけど)も試したが、違いが確認できるくらいに成長が良くなかった(古かったからかもしれない)。あ、これらは、種籾の播種は、稚苗用としては一番少ないくらいの量での話です。

f:id:musikusanouen:20200515232746j:plain

●苗の水やりは、朝あるいは夕方などと一定の決まりをつくらずに床土の様子を見て、乾いていたり気温が高かったら(昼間でも1日に2回でも)あげる,というのがいいように思う。ただし、(いつも湿潤ではなく)乾き気味の時間もつくるというのが大切なようにも思いました。

●田植え機をUターンさせるときの変速モードは、「移動」ではなく「植付」でOK。走行モード「植付」でも油圧モードを「植付」にしない限り、苗取りはされない。(移動でやってしまったので、Uターンがかなり大変だった)。去年は「植付」でやっていたのだと思うのだけれど、そのことをすっかり忘れていて糸魚川から薪割り機を届けてくださった五十嵐商店(農機具店)の社長が教えてくれた。
f:id:musikusanouen:20200515233427j:plain
⇧「移動」は高速、「植付」は低速の意味で、変速モードが「植付」であっても、苗が送られて植え付けられることはない。五十嵐さん曰く、「これは表示がオカシイですよ」とのことでした(「低速(植付)」として欲しかった。

●最後の外周は、田んぼの縁に沿って外側から2周し、中との接点は補植で調整するというのが正解(田植えのプロである小野田さんもそうされていた)。

●四角い田んぼを丸く耕し、角は田植え機が植付状態でカーブできるくらいのアールにしておくと、バインダーでの稲刈りの際、四隅を手刈りせずに済む。
田起こしや代かきの際も、ロータリーを上げることなくカーブすることができれば、田んぼの四隅が高くなることも防げる(でも高くなったら、レーキで均すのもそんなに大変ではないことが判明)。

●曲がらないためにはやっぱり、田植え機の先端部に目印があると便利(自作する) 。

f:id:musikusanouen:20200515234943j:plain
⇧木の棒で作った目安の棒が付いているのが分かるでしょうか?(隣の畝のラインをトレースする目印をつくりセットしておく)。


●外周2周分の目安は、棒を立てるくらいで十分。ヒモを引いたりそんなにカッチリやらなくても、どうせカッチリできないのだから、この部分は手作業でリカバリーすればいい(中山間地の大きくない田んぼの場合です)。

 

f:id:musikusanouen:20200515235759j:plain
●苗箱あたりの種籾の播種量が少ないので、苗取り量の調整は、少し多めでいい感じ。上の写真の位置で2~4本くらい植え付けられていた。苗取り量が少ないと寝も傷んでしまうのか? その後、葉が丸まってしまうものが多かった。


●田植え機に苗をセットする際、水で濡れている方が滑りが良くなる。乾いている場合は水をかけるといい。新しく追加した苗箱との継ぎ目をしっかり密着させることで、田植えの際の欠株を防げてその方が捕植するよりはるかに楽(時間的な余裕があれば補植も楽しいけど)。

●田植え作業終了後は、田植え機を水洗いし、可動部に浸透性の油スプレー(ノックスドール700)を吹き、燃料フィルターのコックを閉じ、保管庫(JRコンテナ)内でエンジンを全開にしてエンストするまでキャブ内の燃料を消費させる。最後にフロート室のドレンを引っ張る。エンストさせていてもキャブのフロート室内には若干ガソリンが残ることが分かった(これが蒸発してガム状物質によりキャブレタートラブルが起こる可能性はある)。

f:id:musikusanouen:20200515235549j:plain
⇧クボタの歩行型田植え機には、キャブのフロート室内の燃料を抜くためのノブが付いている。これを引っ張るだけでフロート室内の燃料を抜くことができるという親切設計。JRコンテナ内での保管であれば、燃料タンクの燃料までは抜かなくても大丈夫のようでした。

●同じ日に播種した場合、ハッピーチルドレン(バスバティ系香米)は成長が早く、コシヒカリと黒米は普通。モチ(ココノエモチ)は成長が少し遅い(節間が詰まり徒長しにくい)。同じ田んぼに同じ日に田植えする場合、播種日を調整するという方法もありそう。

●補植用の苗は、田んぼの外周を歩きながら、適所に適量を投げ込んでおくといい(したて投げで投げるときれいに根側から着地する)。

②水稲栽培の備忘録(毎年更新) (選別脱粒→催芽→播種→出芽→緑化)

①稲の栽培備忘録(毎年情報追加のこと) 浸種から催芽まで タネもみを何グラム水に浸けるか?」の続きです。最初から読みたい方はこちらをクリックして下さい。

量は少しなのですが、広島の秦さんからいただいたハッピーチルドレンという名前のバスマティ系香米を栽培しています。
ハッピーチルドレンは秦さんが、つくった品種。まだ形質固定がしっかりされていないので、千歯扱きを使って穂についているモミの状態を見ながら脱粒をしました。

f:id:musikusanouen:20200423231201j:plain

ハッピーチルドレンは福岡正信さんのハッピーヒルと、香り米の交雑種。ハッピーヒルの子どもたちということで「ハッピーチルドレン」と名付けられたのでした。
広島から白州に渡ってきて、4~5世代目だと思うのですが、収穫したお米はこんな感じです。長粒系、短粒系、色の濃いもの薄いもの、いろいろな形質のお米が混ざっていてこのまま食べても美味しいのですが、品種固定をするため、穂を選んで播種しています。

f:id:musikusanouen:20200423230214j:plain

これらすべてがハッピーチルドレンなわけですが、ウチではその中から、色の濃いきつね色をしたものを選り分けています。
(広島の秦さんは、どのタイプを残しているのだろう? もしかしたら広島のハッピーチルドレンと山梨のハッピーチルドレンとは違ったものになっている可能性があります)。

f:id:musikusanouen:20200423231057j:plain
手前が子孫を残す方の穂。奥は美味しくいただきます。

その後、温湯消毒。
種モミをお湯に漬けることで、いもち病、ばか苗病、立枯れ細菌病などの種菌を殺すことができると言われています。農薬を使うよりも効率もいい、との説も。

f:id:musikusanouen:20200423233646j:plain

種モミを入れたときに急激に温度が下がらないように、大鍋をかまどにセットし、温湯消毒を行いました。

一般に60度で10分、58度では15分などと言われていますが、今回は平均して59度くらいだったので、12分くらい漬けこみました。ただしモチ米(ココノエモチ)は、温湯に弱いとのことなので10分できりあげました。
このとき注意したいのは温度計の精度。
温度計は意外と誤差が大きく(特にバイメタルや放射温度計)、最低でも二種類の温度計をセットし、併用するのが良さそうです。

f:id:musikusanouen:20200423234518j:plain


温湯消毒が終わったら、次は水に種モミを浸け込みます。10度以上、13度未満の温度の水に7日~9日間、浸種します。このあたりのデータについて詳しくはこちらを参考にしてください。
いつもは玄関に置いているのですが、今年は暖かく13度近くあったので、半地下の作業場で浸種を行いました。

4月16日、7日間の浸種を終え、催芽に移りました。
催芽というのは、種モミに暖かな温度刺激を与えることで、発芽に向けて一斉に目を覚まさせる作業。手植えのときは半月から一ヶ月くらいかかって植えていたので、成長の早いものから植えることができたのですが、田植え機での田植えでは、一日で田植えが終わってしまうので、芽の出方を揃えておく必要があるのです。

f:id:musikusanouen:20200423234956j:plain
催芽は、コールマンのクーラーボックスの中に熱帯魚用のヒーターをセットし行いました。水温を30~32度に保ち、20時間行うとちょうどいい状態になるといいます。いまどきの熱帯魚用ヒータは1500円くらいのものでも、サーモスタッド付きで温度設定ができて優秀です。

30度前後のぬるま湯に20時間前後浸けると、種モミは鳩胸状に膨らみ、ほんの僅か、白い芽(たぶん根)が出てきます。

白い根が0.5ミリくらい見えたら播種のベストタイミング。そのため20時間後が夜中にならないようにタイミングを見計らって催芽を始める必要があります。

●2021年4月22日追記
12度近辺8日間の浸種を終えたので、きょうから催芽に入りました。

f:id:musikusanouen:20210422221858j:plain

午後17時30分から催芽を開始。20時間後は翌日の午後13時30分頃になるように調整。
例年通りコールマンのスチールベルトを使い、熱帯魚用のサーモスイッチ付きヒーターで水温を30~32度の間に管理しました。
無線式の温度計のセットし、スチールベルトをいちいち開けなくても内部の水温を知ることができるようにセット。

f:id:musikusanouen:20210422222017j:plain

f:id:musikusanouen:20210422222121j:plain
熱帯魚用のサーモスイッチ付きヒーターの設定は30度では高すぎで、24度くらいでちょうどいい感じ。ときどき、種モミをもちあげ、酸素補給&ヒーターからの距離が均一になるように調整しています。


f:id:musikusanouen:20200424000340j:plain
催芽が終わったら苗箱に土を入れ、冠水した後、タネを蒔きます。

f:id:musikusanouen:20200424000545j:plain

この日は、ミツバチの採蜜などとも重なり、大忙し。
今年は苗箱で22枚、播種しました。ウチは自給用のため1反ちょっとで、一箇所あたりの植え付け本数も少ないので、苗箱の枚数は少ないのですが本格的な農家は数百枚播種、などというところもあります。


その後、床暖房のある、母の家に苗箱を移動。苗箱と苗箱の間にスペーサーとして木をはさみながら積み重ねて加温します。

f:id:musikusanouen:20200424001253j:plain
下からは床暖房、上からは電気アンカ+サーモスタットの組み合わせで加温しました。

f:id:musikusanouen:20200424001442j:plain

キャンプ用の断熱シートで覆い、温度をできるだけ一定にして出芽を促します。25度~30度くらいがいいとのことで、適温を保つことができると2日半(60時間)くらいで1センチ程度目が顔を出すと言われています。今年は、なぜかなかなか温度が上がらず、最初の日は20度弱で少し低めでした。

f:id:musikusanouen:20200424001547j:plain

そして3日後、上の箱はまだあまり芽がでていませんが、下の方はかなり出ていたので、これで終了。
f:id:musikusanouen:20200424001826j:plain
土も市販のものやガケ土、コンポストで作った自作倍淀などいろいろに変えて実験をしています。上の写真では右が市販の床土で左は自作品。
ちょっと失敗だったのは、途中で、上下を組み替えることをサボったこと。上の方はまだまばらなのですが、下の方はかなりしっかり出芽していました。

f:id:musikusanouen:20200424002124j:plain
これくらいに出揃ったら、積み重ねを解除し、苗箱を地上に並べます。去年までは路地にビニールトンネルだったのですが、昨年、ビニールハウスをいただいたので、今年からはハウスの中で育苗。

f:id:musikusanouen:20200424002437j:plain
それまでは暗闇で育ていたので、一気に、強い光に当てると生育障害がでることがあるとのことで、圃場にあった緑のメッシュを掛けることにしました。
ということで、やっとどうにか、出芽までたどりつくことができました。ほっ。
でも実は去年は、このあと、苗を強い日差しで焼いてしまい、大失敗しているので、このあとも気を抜けないのですが……。

ということで、お米づくりは、手間はかかるけれども、なんとか身のまわりにあるものを駆使すればお金はあまりかかかりません。2年目からは、タネも買う必要はなく、前年に収穫したお米がそのまま来年のタネになります。
家族が1年間食べる分のお米+醸す分のお米、それに豆があってそれらをうまく醸せば、ご飯とお味噌汁をいただくことができるのです。
そしてなにより、お米づくりは楽しい! 日本の地方はいま、高齢化が進んでいて休耕田や耕作放棄地が増えています。いまは「大変」なときですが、大変は「大きく変わる」とき。自分が食べるお米を自分でつくるこの楽しさをもっとたくさんの人が味わうことができるような世の中になると、いいなぁ。

お米づくりに関して、この先の作業は、また少し季節が進んだらアップしたいと思います。



 











2020年、春

ウメとアンスは終わってしまったけれど、いまは、サクラとモモが満期。
f:id:musikusanouen:20200417223217j:plain
そして野良坊菜の最盛期。

f:id:musikusanouen:20200417223339j:plain


この季節が巡ってくるたび、毎年、いまが最高! と言っていたのだけれど、
今年は、言えません。

 

それでも季節の進行により、今年もいつものように田んぼの準備が始まりました。

f:id:musikusanouen:20200417223505j:plain
種モミの浸種と催芽が終わり、きょうからは播種の作業。

 

虫たちの活動も活発になってきました。

f:id:musikusanouen:20200417223756j:plain
玄関の前ではコツバメが待ち構え、人が通るたびに周囲を飛びまわって歓迎してくれます。


ミツバチたちの活動も活発になり、冬を越せなかった群れの採蜜と並行して、蜜蝋用に蜂の巣を蒸し、きょうは分蜂用待ち受け板を4つ吊るしました。

f:id:musikusanouen:20200417224147j:plain
この軒先のすぐ下に巣箱があります。

f:id:musikusanouen:20200417224329j:plain
こちらは、ハチたちが止まりやすいように、木を剪定してしまいました。人の都合のいい場所にネット付きの集合板を吊るし、もう一箇所は、いかにも蜂球を作りそうな幹の周囲の枝を切り落として目立たせると同時に、木の高いこづ枝に集合できないように、木の上部をバッサリ。自分の家の木だからできることとはいえ、モミの木には申し訳ないことをしてしまいました。

断崖の七里岩の雑木林たちがなんとなく全体に少し赤みを増してきました。芽吹く直前、落葉樹たちの芽は、少し赤みを帯びたつぼみのように色づきます。
f:id:musikusanouen:20200417225148j:plain

虫やヘビやクマのことが好きではない人もいるだろうし、自然とお隣り同士の暮らしはお金では解決できないことも多く、「足るを知る」、あるいは「不便を楽しむ」というくらいの心意気が必要だったりはするので、誰にでもオススメ!という生き方ではないかもしれないけど……、でもヒトは、もう少し分散して棲息した方がいいような気もします。

煙突ボックスの補修2

補修工事の途中で煙突が崩壊し、下敷きになって死んでしまったのではないか? と心配している人もいるかも知れないので「煙突ボックス補修1」の続きを紹介します。まだ、どうにか生きてます。

f:id:musikusanouen:20200322173742j:plain
⇧なんだかブカブカする、ということで表面のサイディングを剥がしてみたら、構造用合板と主柱であるツーバイ材は溶けてなくなっていた……という煙突ボックスの補修作業の続編です。
キツツキがあけた無数の穴から雨水が侵入し、木材腐朽菌により材が醸されると同時にシロアリの餌食となり、なくなってしまったものと思われます。

f:id:musikusanouen:20200322173756j:plain
⇧崩れて落ちてこないようにとりあえず単管パイプを添わせ、唯一残った石膏ボードの上に構造用合板を二重に貼って補強。二重であれば石膏ボード側からビスを打ったとき、コーススレッドの効きがいいのです。

f:id:musikusanouen:20200322173809j:plain
⇧補強後、どこまでウエハースが続いているのか? サイディングを切り取って確認します。サイディングや屋根材は下から貼るのが基本なので、はがすときは本来は上からなのですが、足場を撤去してしまったので上からはがすことはできず、仕方なしにビスが打ってあるであろうところをカットして、下から強引に剥がしました。いろいろやってみたけど、金属サイディングのカットは、丸ノコにチップソーが一番いいようでした。とはいえ、4m以上の高さの脚立の上で、薄板とはいえ金属板を切るのはかなり厳しい作業でした。

f:id:musikusanouen:20200322173836j:plain
⇧サイディングを1スパン、取り除いた状態。ようやくウエハースではないツーバイ材が現れました。もうこれ以上は届かないということもあり、ここまででどうにかすることにしました。

f:id:musikusanouen:20200322173844j:plain
⇧一気に柱を入れ替えたいところなのですが、それをやると崩壊の危険性があり、傷んだ部分を少しずつ切り取っては健全な材と入れ替えるという方法で作業を進めます。13尺(4m)の脚立の上で……。

f:id:musikusanouen:20200322173901j:plain
⇧全部壊して、ゼロから作ったほうが早いんじゃないだろうか? という思いと戦いながら、地道な作業が続きます。

f:id:musikusanouen:20200322173932j:plain
⇧一気に削れないので少し削っては、新しい材と入れ替えます。ところによっては、見えなくなってしまうのがモッタイナイような複雑な寄木細工の壁になりました。

f:id:musikusanouen:20200322173941j:plain
⇧ひとりで作業をしているので、助っ人はパンタジャッキ。強力な助っ人なのですが、相手がウエハースの場合は、力を込めるとドンドンめり込んでしまうのが難点。

f:id:musikusanouen:20200322173957j:plain
⇧こんなクサビをたくさん作り、隙間にそれらを打ち込みながらの地道な作業。

f:id:musikusanouen:20200322174034j:plain
⇧でも、手を動かしていれば少しずつは進みます。

f:id:musikusanouen:20200322174057j:plain
⇧4mの脚立の頂上付近で、無我夢中でコーススレッドを水平打ちしていると、壁が自分から離れていくことがあります。壁は動かないわけで、動いているのは人間側。つまり脚立が倒れようとしているのでした。どうにか倒れずにすんだけど、かなり危ない瞬間でした。それ以降は面倒でも長めのコーススレッドを打つときにはなるべくした下穴を開けることにしました。

f:id:musikusanouen:20200322174123j:plain
⇧石膏ボードに添わせて合板を2枚打ってしまっているので、壁の厚みの関係もあり、ツーバイフォー材を横にして貼り付けるようにして格子を重ねていく作戦にしました。素人ならではのちょっとヤリ過ぎの感があります。

f:id:musikusanouen:20200322174150j:plain
⇧格子の中にはグラスウールを詰め、合板でフタをします。

f:id:musikusanouen:20200322174204j:plain
⇧北側の壁の剛性が確保できたところで、西側にも取り組みました。

f:id:musikusanouen:20200322174218j:plain
⇧こちらも土台から材の入れ替えが必要でした。

f:id:musikusanouen:20200322174247j:plain
⇧床組の外側の2✕10材はほぼウエハースでした。

f:id:musikusanouen:20200322174300j:plain
⇧内側の2✕10材にも菌は進行していましたがその部分はグラインダーでていねいに削り取ります。

f:id:musikusanouen:20200322174319j:plain
⇧CCAの2✕10材がたまたまあったので、それを組み込みます。

f:id:musikusanouen:20200322174350j:plain
⇧自分へのご褒美を兼ねて今回の工事用に買ってしまったマルチツールと呼ばれる電動工具。薄い歯が振動することで入隅部の切断が可能という製品。コードレスでもあり、なかなか画期的な道具でした。

f:id:musikusanouen:20200322174408j:plain
⇧西側の壁は煙突ボックスメインテナンス用に扉をつけることにし、マグサを入れます。
f:id:musikusanouen:20200322174452j:plain
⇧マグサが入ったところで内側の石膏ボードをマグサぎりぎりで切り抜くのですが、市販されているジグゾーの刃では石膏ボードに届きません。そこで……。

f:id:musikusanouen:20200322174429j:plain
⇧金鋸の刃の端の部分を改造して長い刃を自作。手前はマキタ純正の刃。取付け部をマキタの刃に似た形状にグラインダーで削ってあげると、たいていのものを取り付けることができます。

f:id:musikusanouen:20200322174510j:plain
⇧切り抜くことができました。ところで煙突ボックスのこの部分、奥のグレーの壁(ケイカル板)との間にスペースをつくって、そこにパッシブソーラー用のパイプを通していたのですが、この部分、人が入ることができず、掃除ができずに困っていました。しかもこの部分は薪ストーブのすぐ裏にあたるので綿ぼこりが貯まるとそれに火がついてしまう可能性があるのです。そのため薪ストーブ側にメインテナンスホール(白い部分)を作っていたのですが、そこからでは完璧な掃除は難しく……そんなわけで外から掃除ができる扉を作ることにしたのでした。

 

f:id:musikusanouen:20200322174556j:plain
⇧西側の壁の上部。こちらは、石膏ボードに当板をしていないので、ツーバイフォー本来のやり方に近いかたちで補強することができました。

f:id:musikusanouen:20200322174654j:plain
⇧グラスウールをぎっしり入れ、構造用合板でフタをします。

f:id:musikusanouen:20200322174707j:plain
⇧やっとどうにか安心できるようなカタチになってきました。

f:id:musikusanouen:20200322191959j:plain
⇧二度と木材が濡れることがないように、入念に透湿防水シートを貼ります。

f:id:musikusanouen:20200322192133j:plain
⇧そしてその上から、サイディングを貼るための支えとなる1✕4材を貼りました。

サイディングを横張りして仕上げの予定なのですが、その場合、角の部分の雨仕舞をどうするか? 悩みどころだったのですが、ちょうどありがたいことに半端者の定尺サイディングがあるとのこと分けていただくことができ、入隅も出隅も1本ものでそれを縦張りすることができました。

f:id:musikusanouen:20200322192648j:plain
⇧溝のあるサイディングを縦張りすることでラビリンス効果も期待できるのではないか? との思惑もあって下地を縦張りしてみました。でも貼ってみたら案外スマートで、もうこれで仕上げで良かったのではないかとも思ったのですが、1本もので取れるものの数が限られていたので、やはり地道にこの上に横張りすることにしました。

f:id:musikusanouen:20200322192555j:plain
⇧いただいたサイディングはガルバリウムの薄板の下にウレタンが貼られているもので、ウレタンに切れ目を入れることで、入隅用は簡単に加工ができました。
f:id:musikusanouen:20200322193605j:plain
⇧一方、出隅はこんな感じ。内側のウレタンを四角くそぎ取り曲げました。金属には弾性があるので、直角に曲げる場合は、一度直角以上に曲げる必要があり、そぎ取るウレタンの量も直角以上が必要。それに気がつくまでなかなかきれいに曲げられず、ちょっと苦労しました。

f:id:musikusanouen:20200322193354j:plain
⇧メンテナンス用の扉の付く部分にはあらかじめ水切りを入れて起きます。

f:id:musikusanouen:20200322194414j:plain
⇧一気に下張りを終えたいところだったのですが、半端なサイディング材がでたらそれらをパッチワークするようにして下張りすることでゴミも出ないので、下張りと仕上げばりを並行しながら作業することにしました。

f:id:musikusanouen:20200322194541j:plain
⇧さすがに専用品。よくできています。上に重なる凹の奥にはパッキンが入っていたりします。

f:id:musikusanouen:20200322194829j:plain
⇧サイディングの切断ですが、当初は木工用の使い古しチップソーを使っていたのですが、途中から、金属も切断可能というチップソーを購入。

f:id:musikusanouen:20200322194804j:plain
⇧切れ味は劇的には変わらなかったのですが、付属品としてついてきたこのスポンジボールが逸品でした。写真の位置に取り付けることで、金属切り粉が顔めがけて飛んでこなくなります。

f:id:musikusanouen:20200322201329j:plain
⇧朽ち木の寄木細工修復と比べると、サイディング貼りは捗るし楽しい作業でした。ただ問題は、すでに貼られているサイディングとの接続部分をどうするか。クランク型の水切りを挟み込むのが定石で、当初はそのつもりでいたのですが、すでに貼られている上のサイディングも、これから下から貼り上げるサイディングもウレタンの肉のあるものなので、このウレタン部分を削り取ることで上のサイディングの下に下からのサイディングを挟み込めるのではないかと試してみることにしました。

f:id:musikusanouen:20200322211546j:plain
⇧結果、こんな感じで約10センチほど、入れ込むことができました。

f:id:musikusanouen:20200322211800j:plain
⇧角の出隅の部分は、同質のサイディングをL形に曲げ、平ワッシャーとコーキング材を組み合わせ、コーススレッドで外側から取り付けました。コーススレッドの軸の部分にコーキング材を付け、ある程度のスピードでコーススレッドをねじ込むと遠心力でワッシャーの周囲をきれいにコーキングできます。

f:id:musikusanouen:20200322212309j:plain
⇧メンテナンスホール用の扉も同質のサイディング材作りイリコになるようにしてはめ込みます。

f:id:musikusanouen:20200322212617j:plain
⇧そして、ようやく完成! 
サイディングも半端ものや誤発注品とのことでいただきものだし、合板と1✕4材以外は家にあった中古材や廃材なので、手間はかかったけれども、お金はあまりかからずにどうにかなりました。

f:id:musikusanouen:20200322212719j:plain
今回の作業でしみじみ思ったのは、家は平屋に限る、ということ。特に自分でメインテナンスしようと思っている人は、平屋で屋根の傾斜もあまりきつくしないほうがいいように思います。
それと同時に思い出したのは、最近ときどき耳にするタワーマンションの雨漏りの話。外壁のコーキング剤が劣化したり、微振動で外壁に亀裂が入るなどしてタワーマンションでも雨漏りをする物件があったりするそうです。脚立はもちろん、足場も掛けられないだろうからタワーマンションの外壁補修とか、どうやるのだろう? ゴンドラ? 想像しただけでも身のすくむ思いなのでした。