Blog「自給知足がおもしろい」

自給「知」足と称した、貧乏くさい暮らしを楽しむためのブログです。

完璧な自給自足は目指さず、「テキトー」と「いー加減」をモットーにあまり頑張りすぎない、
そんな暮らし方がこの頃なんだか、とてもオモシロイ!と感じています。
自給「知足」的な暮らしは言いかえると「貧乏臭い・ケチ臭い暮らし」でもあります。

でも「ケチ臭いビンボー暮らし」も、そう捨てたものではありません。
ビンボー暮らしは、お金をそれほど必要としない暮らしとも言えます。
そのため、お金稼ぎの作業や仕事に長時間、拘束されずにすみ、
その分の時間を、ヒトが暮らすための作業に使うことができます。

農的で質素な暮らし方が可能で、それにより身近なことで幸せを感じることができたりもします。
また、昔ながらの農的な暮らしは、ヒトも哺乳類の一種として自然の生態系の中で
虫や草や菌類など他のいきものたちと共に生きる暮らし方だったりもします。

そして、こうしたテキトーでいー加減な自給的な暮らしをうまくやっていくポイントは、「知足」? 
人間の欲望は際限がなくてお金をたくさん得られても、たぶんどんなお金持ちになっても満たされません。
でも逆に、小さなちょっとしたことでも、とても幸せに感じられることがあったりします……不思議です。

日々の暮らしの中から「自給知足的な暮らし」を楽しむためのヒント? 
のようなものを、紹介できたらいいなぁ、と思っています。どうか、よろしく。


(足場の必要な)外装・補修作業はひとまず終了!

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足場に囲まれた姿がしっかり板についてしまった我が家。


巨大なジャングルジムに囲われているようで、台風のときもちょっと安心だったのですが、しかし、いつまでもお足場を借りたままにしておくわけにはいきません。
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10月29日が足場解体の予定日で、前の晩までギリギリ、ヘッドライトを灯してこちらでやる作業(塗装やコーキングなど)を行い、やっとどうにか残っていた作業が終了させることができました。

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足場の上でヘッドライトでの作業だと、下がよく見えないので、高所作業でも恐怖感はなくなることを発見。でもホントはかなり危ない!


でも、予定日の朝、起きたら雨。

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さすがにきょうは足場屋さん、来ないだろう……と思って、雨でたくさん顔を出したきのこたちの収穫&出荷作業などをやっていたら、大型トラックのディーゼル音が!
てっぺん付近は晴れた日でも怖いのに、鋼板もパイプもツルツル滑る雨の日、しかも自分が乗っている足場を外し、あの重い足場板(大きなモノは10kgあるそうです)を両手離しで運びながらの作業。雨の中だったのに、あの量の足場を4人で1日で撤去してくれました。

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夕方近くになって雨は上がり、霧に覆われはじめた頃、半年以上、足場に覆われていた家は元の姿に。

きのうまでは巨大なジャングルジムに覆われていた姿を毎日見ていたので、すっかりそれに目が慣れてしまっていて、取り払われたその姿は、霧の中、なんだか寒そうでもありました。
しばらくすると霧も晴れ、いつにない夕焼けで空が染まりました。周囲の空気が赤くなると共に、ようやく家としての落ち着きを取り戻したようでもありました。

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事故もなく、どうにかここまで作業ができて良かった! 


作業をしてくださった職人のみなさま、ありがとうございました!
これからも大切に使いたいと思います。

あると便利! 軽トラ用プラットホーム

高さ60~70センチ前後でどうせ土留めをつくるんだったら、軽トラ用のプラットホームを兼ねたものを作っておくと便利です。

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生コンを練って擁壁を組んでもいいけど、コンクリート「ガラ」の小端積みなどでも作れます。
ウチでは圃場整備の工事現場で邪魔者とされていた間知ブロックと畦板をいただいてきて作りました。

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⇧間知ブロックはひとつが約40kgちょっと。一度に欲張って積みすぎると、ヒトも軽トラも壊れます。
で、出来上がったものはこんな感じ。目地にモルタルは流さず土極め。

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⇧間知ブロックの場合、三段くらいで積むと、軽トラ用のプラットフォームとしてはちょうどいい感じです。

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⇧アオリを道板に使う作戦。


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⇧アオリの板厚分、畦板をオフセットするといい感じ。
荷台のオーバーハング分を見越して、ちょうどいい位置に車止めを付けておく積み下ろし時の作業性があがります。

軽トラ用プラットフォーム、あるとやっぱりすごく便利です。

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おかげで、どうにかきょう無事に、お米の脱穀ができました!



キノコの本伏せと備忘録

本当は梅雨明けまでにやらなければいけなかったのに、いま頃になってキノコたちの本伏せをやっていて、やっとどうにか終わりました。山ではもう、秋のきのこが出始めています。でもまあどうにか、まだ菌はほだ木の中で生きていてくれたようでした。

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菌作業をする早春は比較的時間的な余裕があるのでついつい欲張ってしまい、こんなにたくさん、ほだ木を作ってしまっていたのでした。その結果、本伏せの場所を作るだけでもひと苦労。これではぜんぜん「知足」ではないですね。

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⇧最初に本伏せしたのは、マイタケ。
ドラム缶で煮込んだ原木に植菌をし、その後、呼吸できるビニール袋に入れて菌を蔓延させたのち、土の中に埋め込みます。詳しくはこちらを御覧ください。

原木栽培のマイタケは舞い踊りだしたくなるくらいに香り高く美味しいのだけれど、でも手間もかなりかかります。しかも手間をかけてていねいにやったつもりでも、マイタケ菌は弱く、他の菌に侵されてしまうことも多く、マイタケの原木栽培は難易度が高かったりします。

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⇧白と黄色の菌が蔓延しているこれらはまあまあうまくいった方。途中まではうまくいっていたのに、夏の温度が高すぎたのか、今年は半分くらい失敗でした。

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⇧緑色の菌がでてしまっているこちらは失敗作。でももしかしたら中ではまだマイタケ菌が生き残っていて、復活していくるかも知れないので、いちおうこちらも埋めてみました。

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⇧穴を掘るにあたって今回は、小型の耕運機(ホンダのサラダ)を使いました。林の中ではユンボやトラクターよりも小回りがきくし、サラダで表面を掘り起こしてからだと、スコップが入りやすく、その後、ジョレンで土を掻き出す、というのが効率的でした。

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⇧マイタケは比較的穴を深く掘り、ほだ木全体を土の中に埋めてしまいます。

手間はものすごくかかるのですが、うまくすると、こんなことも起こります。

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マイタケ以外のキノコは、ビニール袋をせずに林の中に仮伏せしました。

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⇧黒い遮光シートを被せ、時々散水して、原木内に菌を蔓延させます。

シイタケ以外は短木栽培という方法で植菌していて、合いマークをつけたのち15~20センチくらいに玉切りにした原木の間に米ぬかやチェーンソーチップを混ぜたオガ菌をサンドイッチし、合わせめ部分にラップを巻いて2個1セットで仮伏せします。
詳しくは、こちらを参考にしてください。

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⇧これはヒラタケ。原木はクルミで、白くなっている辺材部分には菌がまわっているけど、芯材は菌に侵されにくいことがわかります。

今回は仮伏せの時、(ビニールシートの上にのせた)木のスノコの上に保管したものと、地面の上に敷いたビニールシートの上に置いたもの、それに地面に直接置いたものなど何種類かで違いがあるか試してみました。その結果……。

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⇧土の上に直接、置いたものはどうも雑菌が入りやすい感じで、木のスノコの上にのせたものは、スノコの側にも菌が浸潤していることもあり、ビニールシートに直接おいたものよりも菌がいい感じでまわっていたようでした(木のスノコ側にも菌がまわっている感じです。キノコが出たりして?)

ビニールシートを置いたあと、木のスノコを置いているのですが、次回は直接、土の上に木のスノコや廃材の構造用合板などでも試してみようかと思います。

また菌の種類によって、同じやり方で植菌し、似たような環境に仮伏せしてもかなり違いが見られました。

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⇧これはタモギタケ。ラップを巻いた部分全体に菌がまわっているものがいくつかあり、もしかしたら全体にラップを巻いてしまったほうがいいのかもしれません。
また樹種によっても、タモギタケの場合、サクラ(写真の中央)は菌のまわりがあまりよくなく、ケヤキやニレ(写真の左右の細めの丸太)が良さそうでした。
菌の種類によっても違いがあり、ムキタケはもしかしたらラップを巻かないほうがいい可能性があるのではないかというくらいに、原木がボソボソしてしまっていました。それがムキタケに侵された正しい状態、というのであればいいのですが。

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⇧こちらは今年始めて打ったヌメリスギタケ。どの樹種が調子がいいか見るため、サクラやコナラ、クヌギなどに植えてみました。

マイタケとクリタケ、それとシイタケ以外のほだ木は、ほぼ同じ本伏せ方法。木口が出た状態で、本伏せします。

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⇧写真はヒラタケ。どのくらい埋めるかは、その土地の湿度などで変えるといいと言われています。だいたい3分の1~3分の2くらい埋まる感じで本伏せしました。
耕運機で耕転したあと、ジョレンで土を掻き出し、ほだ木をセットした後、剣スコで目地に土を入れる、という要領です。

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⇧ところどころに、収穫の際の足を置くためのスペースを作ります。これがないと収穫のとき、足の踏み場がなく困ってしまうのでした。

 

一方、シイタケは、単管パイプで背の低い鳥居を作り、そこにもたせかけています(ほだ木が密過ぎて単管パイプは見えないけど)。

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⇧毎年、少しずつ増やしてきたのですが、かなりの数になってしまいました。

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⇧散水は、とりあえずはスプリンクラー。空中湿度の高い状態を保つことがキノコのためにはいいので、時間ができたら、ミストノズルに変更しようと思っています。

そして散水をはじめて数日後……。

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ここまで遅くなってしまっては水を撒いても今年は出てくれないかもなぁ、と半分諦めていたのですが、なんとこんな時期なのにエノキダケが発生(本来は冬、雪の下で発生します)。
さっそくお味噌汁に入れていただきました。ダシの効いた、でも、とても優しい味のお味噌汁でした。原木の伐採からはじまり、作業は大変だけど、なぜかキノコは癒やされます。

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そしてキクラゲもツボミがふきだしました。菌にはホント、不思議な魅力があって、知らぬ間にズッポリはまってしまいます。侵されてしまったのだろうか?

 

中部横断道、八ヶ岳南麓ルートの環境影響評価の方法書に対する意見書

中部横断道八ヶ岳南麓ルートの環境影響評価の方法書が出され、それに対する意見書の締切が迫っています。
2019年9月17日17時15分まで。

宛先は、山梨県県土整備部都市計画課
toshikeiass@pref.yamanashi.lg.jp

現状で高速道路に近い信号のないインターチェンジタイプのフリーウエイがあるわけで、せめてもそれをうまく利用するなどしてこれ以上、道路を増やしてほしくない、と私は思っています。

とりあえず、虫好きとして、私はこんな意見書を出してみました。
記録として残しておきたいと思います。

①氏名と住所
わたなべあきひこ 〒408山梨県北杜市白州町……

②意見書の提出の対象である方法書の名称
「(仮称)韮崎都市計画道路1・4・1号双葉・韮崎・清里幹線、環境影響評価方法書」

③環境の保全に関する意見
こどもの頃から虫が好きで、虫好きたちのあこがれの地とも言えるこの地域に23年前に移り住むことができました。全国の虫好き(虫屋)の間で、北杜市という名前はそれほど知られていませんが、日野春という地名は知らない人がいないのではないかというほどに、この地域は虫の種類、そして個体数が多いという全国的にも珍しい虫好きにとってのあこがれの地域であり、この地域に新しくできるという高速道路に関して虫好きとして強い危機感を持っています。

ひとつは、この地域が日本で最も生息密度の高いと言われているオオムラサキという蝶についての影響です。
この蝶のオスはテリトリー意識が強く、自分の縄張りに他の動物や鳥などが入ってくると追い払うことが知られています。自分の体よりも大きなツバメでさえ、テリトリー内に入ってくると排除しようと体当たり、もしくは追尾します。
この習性によりオオムラサキは新しく道路ができると、生息数を減らしてしまいます。

フォッサマグマの最西、七里岩をつづれ折れで登るループ橋が開通して以来、道路の周辺、小淵沢・白州のオオムラサキは生息数を減らしてしまいました。最盛期にこの道路を走ると多くのオオムラサキが道路上に死んでいて、近くに住む虫好きとして、いたたまれないような悲しさを感じています。

これまで観察したところでは、最盛期には一日に十頭以上のオオムラサキが自分のテリトリーに入ってきた自動車に対して体当りしてしまい、道路上に死んでいたりしました。周辺の住民の方に聞き取り調査をしてもらえば、多くの人がそのことに気が付いていると思います。新しい道路が開通することで、この地域が未来に誇ることのできる掛け替えのない資産である国蝶オオムラサキの生息数を減らしてしまうことにならないかとても心配です。

もうひとつ、危惧しているのは、タガメと水棲昆虫に関してです。現在すでに絶滅危惧種として知られているタガメですが、タガメが生息数を極端に減らした背景には道路の新設による影響が大きいと言われています。

タガメは走光性(光に集まる性質)が強く、特に動く強い光に反応しやすいと言われています。そのために夜間の自動車のヘッドライトに反応してしまい、交通事故で全国的にその数を減らし、隣県長野県ではすでに絶滅してしまったのではないか?と言われるほどにその数を減らしてしまっています。

タガメオオムラサキ、その他にも、オオクワガタやゴマシジミヒメギフチョウゲンジボタルなどなど、ヒトが農的な暮らしを続けてきた期間が長いこの地域には、ヒトともに暮らすことが遺伝子に刷り込まれた、俗に言うヒトと共に里山に暮らす里山生物がたくさん生息している全国でも珍しい地域です。
そしてこうした、ヒトとの暮らしとリンクした里山に暮らす生物たちの多様性がいま、全国的に失われつつあり、地方が全国的に過疎化する中、農的な暮らしをするヒトが多いこの地域ならではの希少生物が失われることのないように十分に調査してほしいと思っています。

「どうしても必要な道路である」、というのであれば、少なくともこれらの多くの里山に暮らす生物たちに与える影響をしっかりと調査し、極力影響の出ない方法を探り、未来に向けて本当にこの道路が必要かどうか、改めて精査し、場合によっては作らない、という決断も選択肢のひとつに加えてほしいと願っています。

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エネルギー自給自走号に乗って、山口から宮木先生いらっしゃる。

はるばる山口からの旅の途中、宮木先生が我が家に寄ってくれたのでした。

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しかもソーラーパネルを載せた、自給自走の電動軽トラで。


いやぁ、こんな物理の先生と学生時代に出会っていたら、物理のことをもっと好きになっていただろうなぁ。
宮木さんと出会った学生たちは、幸せものです。


これまではネット上でのお付き合いだったのですが、実際にお会いしてみたらモノ凄いパワフルな熱血漢!

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⇧竹炭で作ったキャパシターに電気が貯まることを実演するため、食事のテーブルで発電機のハンドルを回し始めた宮木先生。いやぁ、面白かった。



圧巻は、尾白の湯の露天風呂でした。
22年もたつのにウチのお風呂はいまだに建設途上なので、近くの温泉に行くことになったのです。
クルマはもちろんEV。やっと走るようになったけど、でもまだフロントガラスは割れたままの我がポンコツi-MiEVでお連れしたのですが、ウチでも(燃料)自給自走カーを作ろう!という計画があって、その道すがらは質問攻め。

あっという間に尾白の湯に着き、露天風呂にでもゆったり浸かっていただこうと思ったのですが、でも、このお湯にはどうもストロンチウムが含まれるらしい、ということから放射線の話しが始まってしまったのでした。

 

「太陽からの紫外線も放射線も赤外線も、すべて電磁波(つまりは「波」)なわけです」
夏休み最後の日曜日で、渋滞を避けるためゆっくり温泉に入り、食事をしてから夜遅くに東京に帰る人も多く、尾白の湯の露天風呂は足を伸ばすとさわってしまうほどの満員状態。そんなみんなが注目する中で講義は熱く始まったのでした。

「波はね、媒体(伝えるもの例えば地球の場合は空気ですが)がなければ伝わらないのです!」

アゴまでお湯に浸かり、目を閉じ、でもときどき目を開いてはこちらをチラッと見る人の目などいっこうに気にすることなく、宮木さんは、茶色く濁った尾白の露天風呂のお湯の表面を叩きます。
「ほらね、こうして波が波紋となって次々に同心円状に伝わっていくでしょ!」
目をつぶっていたその人の口元にもその波は伝わり、鼻にも波は押し寄せ思わずむせてしまったのだけれど、宮木先生はそんなことにもまったく気が付くことなく話を進めます。
「ここにはこんなふうに茶色い水があるから、波はこうして伝わるわけです」。

「ところがですね、宇宙空間には何もないと言われているわけです。
そこをどうやって紫外線が伝わってくるのか? ねっ、不思議でしょ!」
この調子でその場にいた見ず知らずの人たちが引き込まれるようにして面白い話が続いたのですが、少ない脳みそをフル回転させていた私は完全にのぼせてしまいました。の時間にしたら15分くらいだったのだけれど、もしかしたらランダムに飛んでいたであろうストロンチウムに打たれたのかも知れません。
その間、途中で入ってきた人はいたけど、途中で出た人は誰もいなかったような。
私たちよりも前から浸かっていた人も何人かいたわけで大丈夫だったかなぁ? ちょっと心配、でも久しぶりに脳みそが沸騰しそうな楽しい時間でした。

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⇧途中で、引いていたトレーラーが故障してしまい、電トラ一台だけになってしまったけれども、それでも無事、ほぼ時間通りに到着した宮木自給自走電トラ。

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⇧今回屋根の上に載せてきたのは、125Wパネル4枚。この他にもトレーラーや展開式で停車時には125W×6直×6並列、なんと合計4500出力で電気を自給できるというシステムなのでした。

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⇧充電方法は、大型のチャージコントローラーで、中継用のリチウムイオン電池(鉛蓄電池に比べて同じ容量であれば20倍の放電率←これ放電率ではなく充放電速度でした。文末、訂正あり)に電気を蓄え(写真真ん中上のビニール袋に入った水色の物体)、そこから単相200Vで最大5000W出力可能な大容量インバーター(写真左上の水色/グレーの機械)で200V3000Wを出力させて三菱純正の充電ケーブル(200V15A)で200V充電する、というもの。また、走行中も中継用バッテリーがあるのでそこに蓄電が可能、というリッチなシステムでした。
一方、ウチで考えていたのは、100V6Aから充電できるというトヨタの緩速充電ケーブルを流用し、パワコンの停電時の自立運転モードを流用するというショボいプラン。まずは車庫の上にパネルを並べ、それで充電できるか試してみようと思っています。

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⇧MAX4800Wという巨大なMPPTタイプのチャージコントローラー。

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インバーターも200V5000Wという大容量の正弦波インバーター。昔に較べて安くなったらしいのですが、それでも……。

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⇧トレーラーが来れなかったので今回は少ないパネルでのデモンストレーションでしたが、それでもチャージランプが点灯。中継用に十分なバッテリーを積んでいるので少ない量のパネルでも一旦そこに蓄え、クルマの駆動用バッテリーにそこから充電することも可能だったりします。また中継用リチウムイオンは18650(普通は3.7V)の13直(48.1V)ではなく、14直51.8Vで組んでいるとのこと。48Vを超えてしまうけれども48Vシステム用にはこれがベストマッチとのことでした。

■追記■この記事を読んだ宮木さんからfacebookにコメントをいただいたので、ここにも付け足しておきます。

正確に伝える為に付け足しコメントです。
・『…波はね、媒体(伝えるもの例えば地球の場合は空気ですが)がなければ伝わらないのです!…』
→ これは、地球上で伝わる“音”の話しだったから正確には、「音波は空気を媒質として伝わる縦波です。」
くれぐれも地球上では、“電磁波”が空気を媒質とすると誤解しないように。
それで改めて太陽からの電磁波は、真空の宇宙を何を媒質にして伝わってきているのか?という問いをしたのです。この機会にじっくりと考えてみて下さい。

・『…中継用のリチウムイオン電池(鉛蓄電池に比べて同じ容量であれば20倍の放電率)に電気…』
→ 放電率の話しなら全体の容量に対して、鉛蓄電池100%→50%までの放電で、リチウム蓄電池なら100%→20%までは使えるよという話しでした。だから20倍の放電率ではありません。あえて言うと、20倍の充放電速度で出し入れ可能です。
鉛が1/20Cで、リチウムが1C充放電が可能と言う話しだったから、同じ容量の電池でも単位時間当たりに充放電できる電力量が、リチウムが20倍ですと言う話しをしたのです。

バインダーを使った麦刈りのコツ

天気予報とにらめっこしていて、「うん、きょうしかないね」と家族で合唱し、「梅雨の晴れ間」というか「梅雨の曇り間」に、麦刈りをしました。
この時期、あまり長く雨に当ててしまうと、無農薬栽培の麦ではカビが出てしまうことがあるのです。そして麦のカビ毒は侮れない毒性があり、この時期、鬱陶しい天気の日がつづくとなんとも気をもんでしまうのでした。

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⇧これはライ麦。人の背よりも高いので刈るのはちょっと大変ですが、お米用のバインダーでもどうにか刈ることができます。

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⇧こちらはスペルト。まだ緑色の部分が見えたりで、もうちょっと後の方が良さそうではあるのですが、今年はカビの恐怖の他にスズメによる食害がひどく、軒下にハサガケすれば追熟するだろう、ということでスペルトも刈ってしまいました。

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⇧こちらは黒小麦。茎にもアントシアニンを含んでいるのか?茎も赤紫色をしています。育てている麦の中で、一番美味しいのか? この麦を狙ってスズメはやってきていて、ほとんど食べられてしまいました。次回の種採り用が確保できるか微妙なほど。自然の美しいところはそれだけ、自然が厳しいところでもあるのです。

 

で、バインダーを使った麦刈りのコツです。忘れないうちに備忘録として書いておきます。

まずひとつは、刈る前に、刈払機で麦の根本(片側だけ)ギリギリまで草を雑草を刈っておくこと。
それでも雑草が混じってしまうので、バインダーのハンドルに体重を載せ、フロントをウイリーさせながら刈るといい感じでした。

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⇧背の低い雑草をよけるため、ハンドルに体重を載せてフロントを浮かし気味にして刈ります。

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⇧刈り取った後は、こんな感じ。かなり高い位置で刈られていることが分かります。

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⇧刈り取る際は、バインダーの左側の縁がギリギリで麦を拾うようにすると(右側は雑草が刈られているので)、麦の束に雑草が入りにくくなります。

そして一番のポイントは、麦が詰まり、麦束の排出がされなそうなときには、すぐにクラッチを切ってバインダーの歩みを止めること。

バインダーの前進を止めたら、刈り取り&結束レバーはオフの状態で、シフトレバーを後退に入れ、刈り取り装置は動かさずバインダーを少しバックさせます。

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この状態で走行シフトをニュートラルに戻し、アクセルを全開にして、刈り取りレバーを入れ、その場で刈り取り装置だけを作動させるとうまく排出されることが多いと思います。それでも麦束が排出されない場合は、麦束を押さえているステーを外側に、カチッという音がするまで引くと排出されると思います。
今回は、一度も詰まることなく、結束ミスも2束だけで、スムーズに麦刈することができました。
バインダーは詰まる直前に、「ウッ」というような小さな音を発します。その声を見逃さず、瞬時にバインダーの動きを止めること、が一番のポイントだと思います。またこの方法は、麦に限らずお米の場合でも有効です。

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⇧結束ミスも少なく、半日でどうにか終えることができた麦刈り。
ただし、この日はハサガケまではできず、軽トラをフル動員し、荷台に山積みにして、とりあえず軽トラを屋根下に収納することにして、雨が止んだらハサガケすることにしました。
しかしそれにしても、もう数日、雨が続いたら、今年の麦は壊滅的だったと思われます。麦を刈る上での一番のコツは、天候の見極め、かもしれません。

エントモファーガと伝統農法「こしゃり」

草の茎や木の枝に、しがみつくようにして死んでいるバッタの姿を見たことがある人は比較的多いと思います。
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これはエントモファーガ・グリリと呼ばれる昆虫寄生菌の仕業。
この菌の凄いところは、どうも宿主であるバッタたちをコントロールして草や木に登らせている、と思われること。頂上まで行き着いたところでしっかりと茎や枝にしがみつかせ死亡させる、のです。


娘が小学生だった頃、学校から帰るとよく木登りをしていました。娘が「おとーさーん、たいへん! ウコギの木の上でバッタがたくさん死んでる」と血相を変えて畑にやってきたことがありました。彼女がいつも登っているミズキのすぐ隣にあるウコギの木のテッペン付近がミズキの木に登るとちょうど目線あたりに見えるのですが、その枝先にたくさんのバッタがいて、枝にしがみついた状態で皆、死んでいたのでした。なんとも恐ろしい光景。
グリリは、できるだけ高いところにバッタを登らせ、そしてそこで茎や枝にしっかりしがみつかせた状態で成仏させる、のです。グリリの胞子をできるだけ高いところから広い範囲に拡散させたいからではないか、と思われます。グリリという菌は、寄生することで宿主をコントロールすることができるようになるとしたら、それは凄いことであると同時に、我々のような宿主の側からすると恐ろしいことでもあります(菌だけではなく、アオムシコマユバチのような大きな寄生虫でも、交尾に有利だからか、支柱などを登らせ、高いところに宿主を移動させる傾向にあるように思います)。


ところで、当時はタミフルのせいにされてしまったけれども、タミフルを飲んだあとで異常行動を起こした場合と、タミフルを飲む前、あるいはまったく飲んでいないのに同様の症状がでた場合とで、統計的には有意の差がないことがいまは知られていたりします。インフルエンザというウイルスが直接ヒトに異常行動を起こすとは必ずしも思えないけれども、間接的に何かに作用させて感染者に異常行動を起こさせる可能性もあるのではないか? などと思ってしまうのでした。

 

ところでエントモファーガ(昆虫寄生菌)では、グリリに並んで、マイマイが有名です。

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⇧こちらのカラフルなかたがマイマイさん。ブランコ毛虫としても知られ、愛嬌のある顔をしているのですが、ときに大量発生することがあります。ちなみに、成虫の鱗毛には毒があり、卵や若齢幼虫はそれに守られているのですが、写真の幼虫くらいの大きさになるとそれもなくなるので、普通は素手で触っても大丈夫(なはず)です(ただし最近では、成虫の鱗毛にも毒はなかった、という説もあります)。

話を戻します。エントモファーガです。エントモファーガ・マイマイ(ガ)は、マイマイガの幼虫に寄生する昆虫寄生菌です。
マイマイガは周期的に大発生を繰り返すことが知られています。
最近では2007年のペンシルベニアでの大発生が有名ですが、マイマイガは食性が広く、雑食なので、木が1本、丸坊主にされるだけでなく、山全体が丸坊主にされてしまうくらいの大発生をすることがあります。

 でも、自然の場合は、これが自然なことでもあったりします。毎年、平均的な発生数を繰り返すよりも、大きな環境変化が続いた場合、定期的に大発生をする、ということが種の存続のために有利だったりするようです。そのために、セミなどは地上に羽化するまでの期間が7年だったり、13年だったり、17年だったり素数なのではないか(公約数がないことが大発生を誘引することができる)と推測されていたりします。


⇧そのあたりのことを詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。

 

 

で、エントモファーガですが、エントモファーガには、エントモファーガ・アウリカエ Entomophaga aulicaeと呼ばれる菌類がいます。アウリカエも、それぞれ個々に分離して調べてみるとそれぞれに選択的な毒性をもっているようで、アウリカエの中の一種がエントモファーガ・マイマイガのように思われます。分類されていないというだけで、アウリカエの中にはさらにいくつか独立した種がありそうで、冬虫夏草などもそうですが、それぞれの菌種による選択性はかなりしっかりしていそうです。

ところで、エントモファはラテン語系で「虫」の意味。エントモファーガになると「虫に寄生する菌」という意味になります。
昔の日本人は、ひとつひとつの虫こぶ(五倍子=フシ)にまで個々に固有名詞を付けていたというくらいに虫に対する観察眼に優れた人たちでした。そんなわけで日本には古くから、エントモファーガに対応する呼び方がありました。

日本では昆虫寄生菌のことを「コシャリ」または「カツゴ」と呼んでいました。
一番注目されていたのはカイコにつく「コシャリ」=「白彊菌(はくきょうきん、この漢字をそのまま「かつご」と読む場合もあります)」で、この菌が発生してしまうと、カイコが全滅してしまうのでとても恐れられていました。と同時に、この菌の仲間を使った農法なども知られていて、それのことも「こしゃり」と呼ばれていたりしました(ここでは農法はひらがなで表記することにします)。

話は変わりますが「夜盗虫(よとうむし)」と呼ばれている虫がいます。ヨトウガやハスモンヨトウなどの幼虫のことなのですが、ある年、虫草農園で大発生してしまったことがありました。実はこれ、待ち構えていた事態でもありました。

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⇧こちらがヨトウムシ。食欲旺盛で、ヨトウムシも雑食性で多くの植物を食べることができるのですが、特に十字形植物を好むようで、わが家の野良坊はこの年、どこも葉脈標本のようになってしまっていたのでした。

 これだけ大発生すれば、エントモファーガを見つけられるに違いない、と探したのですが、当初はなかなか見つかりませんでした。
しばらくしてようやく見つかり、幼虫を飼育すると共に、培養を試みたのがこの写真。

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⇧虫の体から、子実体のようなものがでているようにも見えます。

そして胞子もたくさん出ました。
虫の体を、そーと横によけてみるとこんな感じ。

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⇧胞子で幼虫の体の形が転写されたかのようになっていました。

伝統農法こしゃりでは、感染した幼虫をたくさん集め、それをすりつぶしたのち、水で薄めて散布したり、死骸を集めて感染がない他の畑に散布していたらしいのですが、この方法でも胞子を集めることはできそうです。

試しに胞子を集め、撒きやすいので水に混ぜて散布したのですが、それが功を奏したのか(それとも元々パンデミックを起こす要素があったのか、そのあたりは不明なのですが)、ヨトウガが大発生したように、エントモファーガ・アウリカエも大流行し、野良坊菜はどうにか冬前に持ち直して冬を越え、春には美味しい菜花のお浸しをいただくことができました。

コシャリにやられることなくカイコを育てる方法を発見した人として、永井紺周郎(江戸末期の養蚕家)という人が知られています。そしてその方法は、温度を下げないことでした。カイコに感染する「コシャリ」は、暑さに弱いらしく、夏も囲炉裏で火をたきながらカイコを育てる方法が永井紺周郎が提唱した飼育方法でした。
ヨトウガに感染するエントモファーガの場合も、どうもその傾向にあるようです。気温が25度以下になると活性化すると言われ、このときも秋になって気温が下がると共に、菌は活性化し、幼虫は大幅に数を減らしました(カイコの場合は逆なので幼虫が減っては困るわけですが)。

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⇧自然状態で感染した、もしかしたらハスモンヨトウ? 本来、ハスモンヨトウには緑彊菌という緑色の胞子を産む菌に侵されるとのことなのですが、この個体の胞子は白く、白彊菌のようでした。

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⇧普段、昼間は土の中に潜っていて目立たないはずのヨトウガの幼虫がこんな感じで昼間から葉先にいたりします。寄生菌になにかをコントロールされてしまっている、ということでしょうか? 右側の白い個体はすでに病死したもの。バッタに寄生するエントモファーガ・グリリ同様、野良坊菜の頂上付近で死んでいる個体を多く見かけます。


この出来事があったのは、2017年の夏から秋にかけてなのですが、その後、ヨトウガも幼虫の姿はあまり見かけませんが、全滅してしまったわけではなく、食害されたと思われる野菜の苗の根本を掘ると土の中にはいるので、いつもの年のようには棲息してはいるようです。
また、ヨトウムシが大発生していたときにはほとんど見かけなかったモンシロチョウの幼虫を、野良坊菜の復活とともに見かけるようになりました。ヨトウガに大感染する白彊菌(はくきょうきん)は、モンシロチョウには感染しないようです。

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バッカク菌系の冬虫夏草もそうですが、どれも似た同じ仲間の菌ではあるにもかかわらず、宿主に対する選択性はしっかりしてい、たとえばセミタケはニイニイゼミの幼虫に寄生はするけれども、アブラゼミには寄生できず、アブラゼミに寄生するのはオオセミタケと呼ばれる別の冬虫夏草だったりします。エントモファーガに関しても似たようなことが言えると思うのですが、正確なところは分かりません。

気になるのはヒトへの影響ですが、ヨトウガに寄生するエントモファーガが人に感染するという情報やあるいはそれらを食べる、という情報はないのですが、カイコのエントモファーガである白彊菌に侵されたカイコの幼虫の死体は、白彊蚕(はくきょうさん、もしくは「びゃくきょうさん」)などと呼ばれて、漢方薬のひとつだったりします。白彊蚕は、鎮痛剤として知られていて、インフルエンザに伴う異常行動のひとつでもある熱性けいれんの緩和にも効用があるとのこと。関連性があるかは分かりませんが、ちょっと気になるところではあります。

 

種は定期的な大発生というメカニズムを使って大きな環境変化が起きても、種としての遺伝子をなんとか残そうとする一方で、自然の生態系は、大発生による個体数バランスの崩れを平衡に保とうと、選択性の高い感染症などを使ってその種の棲息密度に応じて個体数コントロールをしているようにも見受けられます。

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⇧エントモファーガの最盛期は各所でこんな感じでした。
ヒトも地球の生態系からすると現在、大発生中であることはあきらかで、ヒトのパンデミックを想像すると、ちょっとぞっとする光景でもあったりします。