Blog「自給知足がおもしろい」

自給「知」足と称した、貧乏くさい暮らしを楽しむためのブログです。

完璧な自給自足は目指さず、「テキトー」と「いー加減」をモットーにあまり頑張りすぎない、
そんな暮らし方がこの頃なんだか、とてもオモシロイ!と感じています。
自給「知足」的な暮らしは言いかえると「貧乏臭い・ケチ臭い暮らし」でもあります。

でも「ケチ臭いビンボー暮らし」も、そう捨てたものではありません。
ビンボー暮らしは、お金をそれほど必要としない暮らしとも言えます。
そのため、お金稼ぎの作業や仕事に長時間、拘束されずにすみ、
その分の時間を、ヒトが暮らすための作業に使うことができます。

農的で質素な暮らし方が可能で、それにより身近なことで幸せを感じることができたりもします。
また、昔ながらの農的な暮らしは、ヒトも哺乳類の一種として自然の生態系の中で
虫や草や菌類など他のいきものたちと共に生きる暮らし方だったりもします。

そして、こうしたテキトーでいー加減な自給的な暮らしをうまくやっていくポイントは、「知足」? 
人間の欲望は際限がなくてお金をたくさん得られても、たぶんどんなお金持ちになっても満たされません。
でも逆に、小さなちょっとしたことでも、とても幸せに感じられることがあったりします……不思議です。

日々の暮らしの中から「自給知足的な暮らし」を楽しむためのヒント? 
のようなものを、紹介できたらいいなぁ、と思っています。どうか、よろしく。


虫草農園の野菜たちを日本一おいしい水?で育てるための埋設工事。

もしかしたらコレ、永遠に終わらないんじゃないか? とさえ思ってしまった畑やハウスの散水用配管、埋設工事……、ようやくやっと終わりました!

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最初に買った塩ビパイプが10本、1本が4mだから40m分。
でも途中で、あ、これじゃあ足りなそうだなぁ、と思い、もう10本買い足したのですが、それでも足りず、さらにもう10本追加購入。
結局、30本、買って、残ったのは2本。
ということは、4m×28本だから、112mの配管工事だったということ。なるほど、簡単には終わらないはずです。
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⇧ここだけでも30m以上ありました(せめても大雑把に測ってからはじめましょう!)

当初は……、ユンボで掘れるんだから楽勝、と思っていたのです。
でも、林の中とか建物や石垣の近く、とか、手掘りでなければ掘れないところも結構あって、そしてなにより、ユンボが機嫌を損ねてしまうことが多く、ユンボの修理にもだいぶ時間を費やされてしまったのでした。

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⇧畑の真ん中でエンジンがかからなくなったときには、このままオブジェにしてしまおうかと(笑)。

ユンボで掘ったハリガネムシ、ひとつ私にくださいな」とばかりにキジが加勢に来てくれたりもしたのですが、ユンボは相変わらずご機嫌ななめ。

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⇧ところでキジ、知らぬ間にすぐ近くまで来ていることがあり、ヒトに見つかると丸見えなのに、それでも首をすくめ背中を丸めて小さくなって、早足で逃げ去るのですが、その姿がなんとも可愛いかったなぁ。


配管の行き先ですが、最終目的地はビニールハウスです。
給水設備のないビニールハウスというのは、かなり厳しいものがあったのでした。
これまではなんとか水汲み&水運びをしてしのいできたのですが、さすがにこの先、死ぬまでこれをやり続けるのかぁ、それはちょっとつらい、ということで、ハウスまでなんとか給水配管を引っ張ろう! というのが工事のきっかけ。

そしてそれらの配管は当初、農園内の道路の下を通す予定だったのですが、逆に、畑の真ん中を通して、畑の真ん中にスプリンクラー用の水栓があると(いちいちホースを引っ張らずにすむので)便利そう、ということで、畑の真ん中を貫通させることにし、配管の真上には、耕すことのない宿根系、アーティチョークとか、セイジとか、ローマンカモミールなんかを植え耕さなくてもすむ不耕起畝としました。

 

配管には呼び径13の塩ビパイプを使用。塩ビパイプはビニールホースよりもはるかに安く(4mで300円前後)、耐久性でも優れているので常設でホースを使っている場所にもオススメです。

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⇧ただ、13φの塩ビ管は、保管の際、気をつけないと、ハチたちのホテルになってしまいます(写真手前は、たぶんクマバチ)。

なので、すぐに使わない場合はパイプにキャップをしておくのが正解。頭が丸いキャップの方が美しいけど、少し高価だったりします(それでも1個25円くらい)。また、このキャップは施工の際も多用途に使えるので、少し多めにあっても良いかも。1ミリの穴をあけると、噴水にもなります。

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⇧13φの塩ビパイプは逆に、こうして軒先に吊るしておくことで、バグホテルとしてもクマバチやオオハキリバチなどに人気だったりします。

 

ところで、寒冷地の給水配管で注意が必要なのは、冬季の凍結対策です。
すべての配管を凍結深度よりも深く設置できればいいのですが、それはかなり大変。しかもその場合には給水口には不凍栓(市販品はかなり高価)を付ける必要があり、費用もかさんでしまいます。
そこで今回採用したのは、晩秋くらいまではどうにか使えるけど、真冬は使用をあきらめ水抜きをする、という全行程、傾斜配管仕様。
配管に傾斜を付け、一番低いところに水抜きのためのバルブをセットするという作戦です。

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⇧この畑は、奥のJRコンテナ側にわずかに傾斜しているので、コンテナ側に水抜きバルブを付けることにしました。

で、その水抜きバルブですが、傾斜地の場合はそれほど問題ないのですが、上の写真のようにフラットに近いところでは、地中、ある程度深い部分にセットすることになります。専用のマスなどもあるようなのですが高価なので、一斗缶を流用して作ってみることにしました。クルマやトラクターを天ぷら廃油で動かしている家には、一斗缶がたくさん集まってくるのでした。

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⇧一斗缶ひとつでは、深さが足りないのでふたつを縦に連結。内側に合板(廃材)を抱かせて、外側からナベのタッピングで固定し接続部を補強しました。

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⇧腕を突っ込んで届くギリギリの深さの位置に配管のための穴をあけます(手が届かない場合は、棒などでリンクをつくり延長する方法もありそうです)。水抜きバルブはチーズを介して取り付けるので、穴位置は真ん中ではなくオフセットさせた方がバルブを操作しやすいと思います。

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⇧ほぼ完成。こんな感じのものが土の中に埋まります。一番下のタイヤは抜いた水が一斗缶から抜けるための浸透桝の役目。

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⇧で、さっそく設置。以前はタイヤにゴロタなどの石を入れ、つぶれにくくしましたが、今回はフォークリフト用のガッシリしたタイヤだったので、水が抜けやすいようにタイヤ内部は空洞のまま使いました。

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⇧タイヤがセットできたら、その上に底に水穴をあけた一斗缶を置きます。

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⇧一斗缶の内部はこんな感じ。バルブも塩ビ製のボールバルブ。
井戸の配管などで以前は鋳造のバルブを使っていたのですが、どうも塩ビバルブの方が柔軟で、凍結に対する耐久性があるように思います。そしてなによりも安いのでした(鋳造のバルブは1000円前後であるのに対し)、こちらはひとつ250円くらい。

 

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⇧廃材の畦板を積んだ石垣の下を貫通。そしてこの部分にも水抜きをつくりました。段差の近くの場合は水抜きのバルブの深さが低くて助かります。

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⇧ここは行き止まりなのでただバルブを付けるだけ。
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⇧ハウス内の引き込みもトンネルを掘って貫通させます。

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⇧そして水抜きバルブに向かって水勾配をとります。
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⇧配管は、畑を横断し、林の中を抜けて続きます。

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⇧この手の配管をユンボで掘る場合、一気に何本分も掘ってすべてのパイプをつないでから埋め戻すより、1本分、4mちょっと掘ったら、とりあえずパイプをつなぎ、つないでいない方の端部にはキャップをして土が入らないようにしてから、1本分を埋戻すという方法が正解、ということに終わる頃に気が付きました。
でもたぶんプロは、掘ったらバケットの土をそのままにキャビンを180度回転させ、その土で反対側を埋め戻しながら進むのだと思います(でも、穴が崩れてしまって私にはその方法ではうまくできませんでした)。

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⇧配管がどこを通っているか? 工事直後は覚えているのですが、1年もたつと見事に忘れます。で、目印にパイプの継ぎ目に梱包用テープを結びつけ、地上部にちょこっと出しておくことにしました。さらには埋め戻したあと、その部分に目印としてタイムを植えてみました。タイムがあったらそこは仮払わないので、梱包用テープを刈払機で引っ掛けないための策なのですが、はたしてうまくいうのだろうか?

■給水口いろいろ■
途中、蛇口(給水口)は7か所つくりました。
これが今回の目的であるハウス内の給水口。

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⇧味噌が仕込まれていた木樽でしょうか? 蔵を解体した際に出てきたかなり古いいただきもので漏れが心配だったのですが、水を含んだらピッタリ漏れは止まりました。さすがです。
ジョウロを使った潅水の場合は、蛇口から出た水をジョウロで受けるよりも、大きめの容器に貯水しておいて、そこにジョウロを沈めて給水するほうがはるかに早く効率的だったりします。

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⇧こちらは園路の途中に作った水溜め。底に穴のあいたステンレスの寸動鍋で、こちらもいただきもの。ステン用の溶棒があったので、アークで挑戦してみたものの、より穴を拡大してしまいうまくいかなかったので、ガラスクロスとJBウエルドで塞ぎ、補修。火にかけることはできなくなってしまったけれど、屋外の貯水容器としては、サビないし、これでも十分だったします。

こちらは林の中の流し台。かなり前に友だちからもらったオールステンレスのシンクで、夏用に木陰で水仕事ができるようにセットしました。

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⇧実はこの水、知る人ぞ知る、松山沢川の伏流水なのです。地元の人たちによると日本で一番美味しいお水とのこと。というのも、サントリーがこの地に蒸留所をつくるに当たり、日本全国から美味しいと言われる水を集め、飲み比べてみたその結果、白州町の鳥原に蒸留所を作ることになったそうです。そのときの水が松山沢川の伏流水だったとのことで、まんざら大げさな話ではないのでした。その後、蒸留所には天然水の工場が併設され、ペットボトルに詰めて出荷されています。
でも市販されている南アルプス天然水は、伏流水ではなく、地下水。カンボジアのPKO以降、鳥原の上水道も地下水になってしまったのですが、農業用水はいまだに松山沢川の伏流水で、地元のお年寄りたちはお祭りなどで気を入れて「ほうとう」を打つときやあんこを煮るときには、こちらの伏流水の方を使ったりしています。
たしかに味が違うように感じます。ちなみに、虫草農園でお借りしている田んぼは、その松山沢川の最上流にあるので、ありがたいことに上から農薬や除草剤が流れてくることもありません。でも、水がきれい過ぎてか米粒は小さいけど(笑)。

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⇧こちらは畑の真ん中の給水口。ぐうたらなので、近い将来、スプリンクラーとタイマーをセットする予定。

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⇧そしてここが大元の蛇口。奥の赤いバルブを開くと、ビニールハウスまで水が供給されます。ジョウロの下の一斗缶が水抜きバルブのマス。
地面から少し浮かせるため、木樽の下にも廃タイヤが入っています。
この周囲にはサトイモやショウガなど、湿潤な土を好む植物をこの周囲に植える予定。

20年以上、農薬も化成肥料も使わずにやってきたおかげか、このところ土壌の微生物が元気で、土もだいぶ良くなってきた感じがします。その上、潅水設備も整ったので、今年は、美味しい野菜がたくさん収穫できる、かな?

カレハガ

リンゴをはじめとした品種改良された果樹には、他の樹木と違って驚くほどたくさんの虫がつきます。放って置くとあっという間に木は丸坊主
おいしさや収量を追求して品種改良すると、その他の部分には弱点がでるようにできているのだろうか? 

「誰かがひとり勝ちしないこと」、もしかしたらそれが地球の生態系を保つ上での大切な仕組みなのかもしれません。
そう考えると、ますます、ヒトの都合のいいように遺伝子を組み替えてしまうことに、恐ろしさを感じます。

とまあ、そんなわけで、果樹の多くは、殺虫剤や殺菌剤を使って育てられるのが普通なのですが、虫や草との共生をめざす虫草農園では農薬を使いたくないので、毎日巡回しては、心を鬼にして果樹につく虫たちを手作業で殺しています。


そしてきょうは、親子で忍法・隠し身の術をつかうことで知られている、カレハガの(たぶん)終令幼虫を発見。なんと体長は8cmくらいあります。

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しかも刺激するとこんな風に、おしゃれな姿にも。変わり身の術をもつかいます。

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そしてそのとき、どんな顔をしているかというと、こんな顔。

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やっぱり、殺せませんでした。
(カレハガはサクラでも生きていけるはずなので、そちらに移ってもらいました)。

女王バチと共に、冒険の旅に出る働きバチたちは誰が決めるのだろうか?

春爛漫。虫草農園の虫たちはいま、元気に活動を始めています。
ニホンミツバチはきょうで、三群目が分蜂しました。
そしてきょうも蜂球ができたのは、エノキの幹。
ヒトが作った蜂球トラップには目もくれません。

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⇧不織布とシュロ縄で作った蜂球トラップ(分蜂板)で休憩中のカメノコテントウ。
(蜂球トラップのトトカルチョの記事はこちら)

ということで、脚立に登り、エノキの幹の蜂球を観察していたら、そのすぐ横をオオムラサキの越冬幼虫が通り抜けていったのでした。

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あわててカメラを取りに行ったのですが、幼虫の歩く速度は案外速く、戻ってきたらだいぶ上の方の枝まで移動していました。


越冬から覚めてエノキの幹を元気に歩くオオムラサキの幼虫

 

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⇧そのすぐ横では、成虫で越冬したテングチョウがエノキの若葉に卵を産んでいました。

ところで、ミツバチのその年、最初の分蜂は、母女王が娘たちに住み慣れた巣箱をあけわたし、ある程度の数の働き蜂たちを引き連れて外の世界に出ていきます。その時の人選、というか、母女王との冒険的な運命を共にする蜂たちはどうやって選ばれているのか? ということに興味をもっていたのでした。
年功序列? 生まれた順なのだろうか……?
で、なんとなく感覚的にきょう思ったのは、その日の働き蜂たちの気分のような気がしたのでした。ヒトが「女王」をイメージする場合、権力者のようなイメージを持ってしまいますが、それはヒトの世界の場合の話で、ミツバチの場合は「卵を産むことに特化した個体」という見方もできます。女王が人選を決めている、というのはヒトの場合から類推した勝手な想像で、ミツバチの場合は女王の意志はそこには働いていない可能性があります。

 

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⇧前回の分蜂では、取りこぼしのないようにできるだけ多くのハチを取り込もうと思って、エノキの幹をシリコンの縁で舐めるようにして蜂球を掻き取ったのですが、それによって蜂球を支えていた一番上の樹皮に取り付いていたハチ(かなりの力がかかっていたはず)の(一部の)体が引きちぎれてしまったのでした。その失敗の反省もあって今回は、取りこぼしが多くてもいいからハチの損傷のできるだけ少ない方法でネット(100均の扇風機カバーの不織布)に取り込むことを第一目標に作業を行いました。

三回分蜂した中で、きょうの蜂球が一番大きく、多くの働き蜂が参加していました。風はあったのですが、きのうよりはマシだし、ここ数日の中ではきょうが一番、分蜂日和だったように思えたのです。そのために、お供のハチも多かった?
(前回の分蜂の様子はこちらから)。

やはり今回は、取りこぼしが多く、取り込み後もエノキのわきの下には、取りこぼされた働き蜂たちが戻って集まってきました。

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⇧取りこぼしの働き蜂たち。取り込みの際、新しい巣の捜索に行っていたハチたちもいそうです。

これらの取りこぼしハチたちの一部は、女王のフェロモンに呼ばれたのか今回取り込んだネットの周囲に集まってきたのですが、それは一部で、よくよく観察してみると多くは元の巣箱に戻ったようでした。
なんとなくですが、「きょうの女王による分蜂」ということにそれほど重きを置いていなかったのではないか、という感じがしたのでした。

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⇧100均で買ったネット(扇風機の冬の間のホコリカバー)をこれまでよりも短くしてみました。蜂球がネット内に落ちる際の距離を短くすることで、押しつぶされてしまうハチを少なくするためです。

夕方、ネットから巣箱に取り込みました。

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夜になって、巣箱に底板を入れると同時に、巣箱の内部を撮影してみました。

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⇧隅で蜂球をつくって固まっていました。
話しかけると、蜂球全体で「ほわぁー」という感じで、音をたてて反応します。アナグマの威嚇音とちょっと似た感じです。

夜、エノキのわきの下を見に行ったら、取りこぼしのハチたちは一頭もいませんでした。

代わりに、エノキの梢で、風もないのにナナフシモドキの幼虫が揺れていました。

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ニホンミツバチの巣箱づくり(ワンバイ材を使った重箱タイプ)

ニホンミツバチの飼育にはたくさんの面白いことがあるのですが、そのひとつに巣箱づくりがあります。外来種である洋バチと違ってニホンミツバチは、昔から日本の自然の中で暮らしてきたわけで、住み慣れた環境下でかなり自由奔放に暮らしています。
つまりは、巣箱やその周囲の環境などが気に入らないと、簡単に家出してしまうのです。
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「飼育」とは言うけれど、実はヒトとハチとの関係は、借家の家主と店子(たなこ)のような間柄で、家を提供する代わりに家賃としてハチミツをいただく、という関係だったりもします。
そんなわけで、ハチに気に入ってもらえるように試行錯誤しながら、分蜂に備えて新居を作っているのですが、ある程度、形が定まってきたので、備忘録として記録しておこうと思います。

 

 


まずは巣門の形ですが、いくつか作って使い比べてみたところ、こんな形で落ち着きそうです。

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⇧一般的には、蝶番(ちょうつがい)を使った開閉式が多いのですが、扉が箱についたままだと内部の撮影の際などに不便だったいるすこと、それとハチを蝶番の部分で挟んで殺してしまう(それによって攻撃フェロモンが分泌されてしまう)ことがあるので、取り外し式になりました。蝶番を買わないで済むというメリットもあります(もっとも蝶番も金属の薄板や革などを使ってつくることもできるわけですが)。

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⇧とびらの受けは2本のネジで受けます。よっぽどトロいハチでない限り、とびらをゆっくり閉じることでこのネジとの間にはさまれてしまうことはないと思われます。

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⇧とびらは、木片(濃い茶色の板)で受けるのですが、とびらを周囲の門構えよりも少し出っ張らせておくと木片で受けたとき、ガタツキがありません。以前は扉側に受けをつくっていたのですが、写真のようなタイプのほうが扱いやすいように思います。

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⇧木片は反対側にもストッパーをつくっておくと、とびらのスムーズな開閉が可能です(さもないと開けるとき邪魔になりました)。

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ひとつ前のブログでも紹介しましたが、女王バチの逃避防止に、中国製167円(国際送料込)のスリットなどが使えるようにしてあります。

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⇧手前の扉をひらくことで、サイズの異なる二種類のスリットとして使用できます。

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⇧巣の底板は、巣内の温度が高くなる時期に換気を兼ね、開閉できるようにしています。底板の穴には3mmメッシュの金網が貼られています。抜き取った板も捨てずにとっておき、冬季の防寒対策に使っています。

 

重箱のサイズは、最初の群れをいただいた重田師匠のサイズに準拠しています。使用している木材は重箱部が1×6”(ワンバイシックス)で、巣門部分は1×4”(ワンバイフォー)。板厚はいずれも19.5ミリ。内寸235ミリ、外寸274ミリ(長辺274ミリ、短辺235ミリ)の正方形です。
重箱はたくさん作る必要があるので、こんな感じのバカ棒をつくりました。

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⇧これがそのバカ棒で、短い部分が短辺用。長いほうが長辺用です。

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⇧バカ棒は仕上がりサイズの板のサイズで作る方法もありますが、丸ノコの刃の厚み(2ミリ)を加え、仕上がりサイズよりも2ミリ大きくつくると線どおりに切ることができて正確に切断できます。

 

 

巣落ち防止の棒を入れる位置もボール紙でガイドを作り、それを目安にポンチを打ってマークをすると量産には便利です。

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⇧ボール紙を谷折りと山折に折って、その部分をコーナーに合わせ、オートポンチでマークします。

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⇧巣落ち防止棒用の竹ひごは、長めのバーベキュー用竹串などでもいいと思うのですが、竹が近くに生えているので両刃のナタで割ってつくりました。

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⇧巣落ち防止棒は、こんな感じで井桁状に組みます。

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⇧穴からはみ出した竹ひごは、片側のアサリを落としたノコ、または裏にガムテープを一枚貼ったノコで切り落とします。

巣箱作りにあたって一番面倒なのが、巣箱の一番上に乗せるスノコ(この部分にハチが巣を作り始めます)かもしれません。
ひとつの巣箱の中に7枚の巣板を作って欲しいと思っていて、スリット間は10ミリ弱。幅を22ミリ前後でスリットを作っています。スリット間は6ミリがいい、幅をそれに合わせて太くしてあげたほうがいい、などの情報もありますが。いろいろつくってみてそのあたりは検証してみたいと思っています。

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⇧まずはドリルで穴をあけ、それを丸ノコで溝状に拡大していくのですが、その場合も、穴位置をマークするためのガイド板があると作業がはかどります。

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⇧両端にあけた10ミリのドリル穴に沿って、丸ノコで溝を切ります。


ところで友だちの薩美さんから教えていただいたTritonのスーパージョーズというクランプ台、とても便利で重宝しています。

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⇧ワンタッチで開口部が固定できて、締め付ける圧力も任意に調整できます。あぶみのようなところを足で踏むと固定でき、ロックレバー(赤いレバー)を解除してからもう一度踏むと緩むという仕組み。

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⇧トップの黒い部分は反対返しにも取り付けることができて、サブロク板なども固定できます。
また、薪ストーブを使っている人の場合は、玉切り台としてもとても便利。軽トラからの移動にちょうどいい高さで、この高さで玉切りできると腰への負担も少なく、しかも片側を玉切ったことでバランスが悪くなっても倒れにくいというのもありがたかったります。

スノコはこんな感じのものを使っています。

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⇧ガイドのようなもので、これに沿って巣をつくってくれることが多い、というのと同時に、アカリンダニ対策で天井の上(このスノコの上)にダニが嫌いなメントールなどを置き、箱内に充満させる場合の置き場所にもなります。スノコの上に写真のような枠とメッシュ(100均で売っている鉢底メッシュ)を置き、その上にメントールの結晶を薄いお皿に載せ、新居を気に入ってくれた頃にセットします。

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スノコの真ん中あたりには蜜蝋を溶かして付け、巣作りのきっかけのようなものを作ってきたりもしました。この面が天井側、下側になります。

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⇧巣枠式で使われる三角形の角材をタッカーで止めたものなども作ってみました。果たしこれをハチが好むか? 半分だけ取り付けてどちらから巣を作り始めるか観察してみたいと思います。

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⇧あるいはこんな感じ。合板をくり抜くのではなく、無垢材で組み立てるタイプのスノコも作ってみました。これの方がかんたんじゃないかと思ったのですが、ハチがスノコよりも上(メントールを置くスペースに)入ってしまわないようにするには周囲に縁が必要だったり、ちょうどいい幅(22ミリ前後)の板材がないのでそれから作らなければならなかったりで、合板にスリットを開けるほうが簡単は簡単かも。どちらをハチが気に入るかもテストしてみたいと思っています。

そして完成。

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⇧主には、分蜂した蜂球の取り込み用ですが、もしかしたら自然巣の分蜂群が入ってくれる可能性もあるのではないかと期待して、できあがった箱たちはハチが好みそうなところに待ち箱として置いてみることにしました。

 



分蜂しました!

きのう(2019年4月25日)のことです。
道の駅への出荷が終わり、オフクロの家で雑用をしていたら、さとみさんから「始まったみたいよ」と連絡。
時間はたしか11時少し過ぎでした。
今年、初分蜂。
行ってみると、もうすでに蜂球ができていました。

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こんなのをつくったり、
こんなブログも書いて、

musikusanouen.hatenadiary.jp

どの分蜂板に蜂球をつくるのか?楽しみにしていたのですが、
……結果は、この通り。

 

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ハチたちを取り込みやすいように蜂球トラップなるものをいくつか仕掛けたのですが、蜂球ができたのは、近くのエノキの幹。我が家で「エノキのわきの下」と呼ばれている樹皮のゴツゴツした部分でした。

人工的につくった分蜂板(蜂球トラップ)であれば、取り外してひっくり返しにした巣箱で受け、その後、巣箱を180度回転させて戻す、という方法で対処できるのですが、エノキの幹は取り外すことができないので、自作のネットに取り込みハチたちを収集することになります。

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⇧これがそのネット。100均で売っている不織布の扇風機カバーとシリコンの洗濯物バケツで作りました。シリコンの洗濯物バケツは底を抜き、フチの部分をエノキの幹の3次曲線に追従する、というもの。

女王バチは最初から蜂球の中にいるわけではなく、途中で加わるので、蜂球ができてすぐに取り込むのではなく、できるだけ時間をあけたほうがいい、とのことで、脚立に登り、目と鼻の先で蜂球を観察していたのですが、目の前に女王と見られる個体が出現し蜂球の中に入っていきました。
女王を確認したのであわててネットで蜂球を捕まえました(あわてていたのでその瞬間の写真はなしです)。でもあとで考えるとオスバチだったかも。

捕まえた蜂球はこんな感じで逆さ吊りされ、しばらく放置されます(ザルと不織布の間に当初ハチがたくさん入ってしまったので、間に入らないように改良)。

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この場合も、できるだけジラしたほうが、新しい巣箱への入居率がいい、との説があって、巣箱への取り込みは夕方まで待って行いました。

ハチたちは上方に集まって蜂球をつくる性質から、巣箱への取り込みは、巣箱の底側から行います。

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⇧真ん中に四角い穴があり、縁が立ち上がった板を、ちょこっと改造した木工用ワークテーブルにセットします。

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⇧途中をしばってハチが出れないようにしてある不織布ネットをこんな感じにセットします。

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⇧その後、巣箱をセットし、縛っておいたヒモをほどいて開放します。

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⇧するとハチたちは、ぞろぞろと上に登り、箱の中に入り、箱の天井付近で蜂球を作ります。
ハチたちが箱側に入ったら、不織布を外して、底板をつけ、取り込み完了。


予定通りすべて順調にいったかというと、必ずしもそうでもありませんでした。
その日は巣門をフタしておき、翌朝、女王バチだけがでれないように、特殊な巣門を取り付けたのですが、その巣門の間隔が小さすぎたようで途中ではさまってしまう働き蜂が続出。このときのスリットのサイズは3.8ミリだったのですが、それではどうも小さすぎのようでした。

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⇧スリットから頭だけ出したハチたちでスリットは塞がれてしまい、パニックのような感じでした。
なんとも可哀想で仕方なかったので、女王が逃げてしまう可能性はあるのだけれども、手前のアダプターを外し、奥の4.0ミリのスリットだけにしてみました。

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⇧この中国製の巣門のアダプター、二種類のスリットを選ぶことができるのです。しかも日本のアマゾンからポチできて国際送料込で167円でした。


とりあえず、いまのところは、いい感じ。
出ていくだけでなく、帰ってくるハチもいるのできょうのところは逃げていないようです。


中国製女王バチ逃避防止スリットを試してみました。

ブレーキパッドの交換

春になって虫草農園も出荷物が増え、近隣の道の駅三店舗(はくしゅう、こぶちさわ、信州・蔦木宿)に、農産物などを出荷するようになりました。

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都会と違って渋滞はなく、信号も少ないので、思いのほか時間はかからないのですが、それでも一番近い道の駅「信州・蔦木宿(つたぎじゅく)」までは往復約10㎞。でも時間は往復で約15分。一番遠いいのは道の駅こぶちさわで往復20㎞弱。時間は約25分なのでした。
出荷だけでなく売れ残りの回収もあるので、下手をすると一日100㎞近く走ってしまうわけですが、リッター10㎞の燃費のクルマだと、出荷と回収だけで10リットルもの燃料を使ってしまうことになるので、できるだけ燃料代タダの天ぷら廃油カーを出動させています。
でも、それぞれのの道の駅には急速充電器があって、しかも「はくしゅう」と「こぶちさわ」は無料なので電動軽トラでもいいのですが、急速とはいえ充電時間がもったいないのと、家で昼間充電すれば化石燃料を使わず太陽光発電で充電できるので、廃油といういわば「ゴミ」で走ることができるセレナを使うことが多くなっています。

ただ、電動軽トラと異なり天ぷらカーには回生ブレーキはついていないので、アップダウンの大きなワインディングな田舎道ゆえ(一度谷底まで降りてから登る、道の駅こぶちさわは標高990m)、比較的エンブレの効くディーゼル車(圧縮が高い)とはいえ、ブレーキパッドの減りは気になるところなのでした。

そんなある日、道の駅の出荷から帰ってきた娘が「左の前輪になんか虫がいるみたいだよ。キーって鳴くようになってきた……」とのこと。日に日にその音は大きくなっていき、やはりもう限界か……ということで、仕方なしにブレーキパッドをネットで注文したのでした。


実はこれまで旧式の対向ピストンタイプは何度か、バラしたりオーバーホールしたことがあったのですが、今式のフローティングタイプは初めてなのでした。
ということで前置きが長くなってしまいましTが、ブレーキパッド交換の備忘録です。
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⇧まず、フロントをジャッキアップします。油圧ジャッキという代物は「こんなゴムのパッキンでこんなに重たいものを持ち上げて保持して置けるなんていうのは奇跡」とも言える構造。必ずウマ(リジットラック)をかいましょう。
ところで下の写真で、フックにウマを掛けていますが、吹っ飛ぶことがあるのでここは危険との指摘をいただきました。なるほど、です。木などの柔らかなカイモノをしてロアアームの付け根付近がいいのかなぁ。

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⇧次にタイヤを外します。
これがフローティングタイプのブレーキキャリパー。ロータに対してのキャリパーの位置を固定せず、スライドピン上を動くことで、パッドを押すピストンは片側に1個ついているだけなのに両側のパッドでローターを同じ力で締め付けることが可能、という画期的な構造。ローターをはさむ両側にピストンのある対向ピストンしか知らない昭和30年代生まれのオッサンからすると、(ホイールとのクリアランスも稼げるし)かなり画期的な構造だと思うのですが、スピード狂(完全な死語ですね)たちは、なぜか対向ピストンを愛しているようです。

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⇧で、タイヤが外れたら2本あるキャリパー取り付けボルトの下側のボルトを外します(セレナは14ミリでした)。裏側からついているから、表側から見て「の」の字が外れる回転方向です。熱が加わっているボルトやきつくしまっているボルトは一発目を叩くようにして一気に力を加えるのが舐めないポイントです。

下側のボルトを外すと、キャリパーのピストン部分が上に開くのでホースが折れないように気をつけながら上に開きます。
この状態になったら、パッドが外れるので、マイナスドライバーなどでこじって外側にはずします。
その後、パッドと一緒についてきたシムをパッドからはずし、パッドカスなどを掃除した後、シムを新品のパッドに組み直し、摺動部分にブレーキ用グリスを塗って再び組み込みます。今回はブレーキラバーグリスしかなかったので、それを薄く塗って組み込んでしまいましたが、できればキャリパー用の専用品を使ったほうがいいのかもしれません。

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その後、キャリパーのピストン部分を戻すのですが、古いパッドが摩耗していた分、ピストンも内側に出っ張ってしまっていて、そのままでは元の位置に収まらないので、ピストンを戻してあげます。
上の写真のような専用ツールがなぜかウチにはあって、それを使ってもいいのですが、ない場合は、パッドを片側(手前側が便利)だけ付けた状態でパッドとローターの間にバールか大きめのマイナスドライバーを差し込み、ロータとパッド間のクリアランスを広げてあげると、ローターを挟んだ反対側にあるピストンを引っ込めることができます。
そしてこのとき、注意するのはブレーキフルードの量。ピストンを戻すとその分、フルードは増えるので、こぼれないように監視しておく必要があります。

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⇧もしこぼれそうになったら、ウエスなどに染み込ませて量を減らしましょう。今回は手元にウエスがなかったので、ゴミ箱の中にたくさんあった花粉症ティッシュに吸わせました。

ピストン側アッセンが所定の位置に収まり、外した取り付けボルトを組み付けたら、作業は終了。ついでにタイヤを山のあるスタッドレスから山のないスタッドレスに交換し、試走してみて問題がないことを確認します。
今回購入したのは、社外品のアウトレット物でパッド4枚で2,000円弱という破格値でした。


外したパッドを見てみたら、残量ほぼゼロで危険な状態(これはマズイ……これ以上になるとローターが傷ついていしまいます)。

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今回の教訓、「ブレーキパッドの残量はときどき点検すること」。
「音が出てからも、タイヤ交換をするついでになどと言って、作業を先延ばしにしないこと」。
また「長距離ドライブの前などには点検を行い、必要になりそうな場合は早めにパッドを注文をしておいて新品のパッドをクルマにのせておくこと」。
気温が高くなり、作物の出荷は忙しくなってきたのですが、それと同時に、天ぷら廃油の粘度も下がってきて、鳴く虫もいなくなり、オートマの滑りも少なくなりつつあり、気温とともにクルマの調子は徐々に良くなってきてくれています。







ミツバチ分蜂用の蜂球トラップの品評会

ニホンミツバチは、春、新しい女王バチが生まれると同時に、巣分かれによって群れを分け増えていきます。その際、巣箱の近くに「蜂球(ほうきゅう)」と呼ばれる、ハチの塊りをつくります。
これがそれ。

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社会性のあるミツバチは、巣分かれの際、巣の近くに群飛する前の集合場所として蜂球をつくります。新たな巣をどこにつくるか、偵察隊が持ち込んだ数種類の提案の中から引越し先をみんなで吟味し、最終的には多数決で決める、と言われていて、蜂球の状態のときにそれらの判断を行います(このときに行われるハチたちによる意思疎通のダンスも少しずつ解明されてきています)。


ついでに言うと、このときのハチはこれまで集めた蜜を携えて引っ越しするので、お腹の中は蜜で満腹。そのため「蜂球に手を突っ込んでも刺されない」と言われるほどにおとなしく、ヒトを襲うようなことはまずありません。そんなわけで、もし、こうした蜂球を見つけても、引越し先が決まるまでの一時的なものです。なので殺虫剤などを噴射したりしないでいただけるとありがたいです。殺虫剤を吹きかけたりするとさすがに怒って、群れで攻撃してくる可能性もあります。


ミツバチの愛好者にとって、蜂球は宝もの。まさに宝玉だったりします。蜂球を捕まえ、半ば強制的にヒトが用意した巣箱に取り込むことで巣箱を増やします。
蜂球は、元の巣箱の近くで、止まりやすいことからデコボコした木の幹などに作られることが多いのですが、周囲に障害物があってうまく箱に取り込めなかったり、あるいはハシゴを使わないと届かないような高い位置に蜂球ができてしまうこともあり、ハチまかせだと蜂球ができたからと言っても必ずしも巣箱に取り込むことができるとは限らないのです。

そこで登場するのが、蜂球用トラップです。
いかにも蜂球をつくりやすそうな形状や臭いなどを付けた板をあらかじめ用意しておき、そこに蜂球をつくってもらうことでより確実に巣分かれした群れを巣箱に取り込もうというもの。ニホンミツバチ愛好者の間では、秘伝の蜂球トラップなどというものがあったりするようです。

ということでいくつか蜂球トラップをつくってみました。


エントリーナンバー1番 ■合板に金網

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蜂球は持ってみると分かるのですが、中までハチが詰まっているので、思いの外、重いのです。運動会の組体操ではないけれど、よくもまあ、あんな重いものを一番上のハチたちはぶら下げておけるものかと驚きます。
そんなわけで、金属という人工物ではあるけれど「ぶら下がりやすい」ということで金網が意外とミツバチたちに人気がある、との噂があります。
カナケを嫌う場合もありそうなので、いちおう、蜜蝋を溶かして金網に塗ってみました。

巣箱への取り込み方は、底の抜けた巣箱をひっくり返した状態で用意しておき、女王バチが蜂球に加わった頃を見計らって、蜂球トラップを単管パイプからはずし、底なしの逆さにした巣箱(つまりその状態では天井がない状態)に合板のトラップを被せ、その後、トラップを底板として巣箱をひっくり返すという方法。はたしてそんなにうまくいのだろうか?


エントリーナンバー2番 ■無垢板にシュロ縄

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こちらは自然素材系。据え付けも単管パイプではなく、自然の木の枝に取り付けています。周囲にあるクリーム色のものは、100均で買った扇風機用の不織布でできたカバー。ハチたちが蜂球をつくったら、すかさずトラップ上部にある扇風機カバーを広げておろし、蜂球を扇風機カバーの中に閉じ込め、しばらく様子を見て、もし蜂球がそのまま蜂球でありつづければ女王はその中にいるものと判断し、翌日までそのままにしてジラしたのち、巣箱に取り込む、という方法(ジラした方が人工巣箱を気に入ってもらえる可能性が高いとのこと)。もしも女王が入っていない場合は、働き蜂たちは蜂球を崩し、外に出ようとするので、逃してあげると元の巣にもどります。

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⇧このオバQ(なんて言われても多くの人は知らんですね)は、予定していない場所に蜂球ができてしまった際に蜂球を取り込むためのものですが、「無垢板にシュロ縄」も、形としてはこんな感じで蜂球を捕まえます。ハチたちが中に入ったら、下の方のヒモを縛って、ハチたちをしばらく閉じ込め様子をみます。

 

エントリーナンバー3番 ■ドラゴンBeeキャッチャー■

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中国にもニホンミツバチと同じ種類であるトウヨウミツバチが棲んでいるからか中国には専用品があったりします。値段はなんと中国からの国際運賃込みで799円。
広げると、下の写真のようになります。
取説などは一切なしだったのでどうやって使うのかがよくわからない部分もあるのですが、たぶん、こうしてまくしあげてセットしておくのではないかと思われます。
最上部にフックが付いているのですが、そこでぶら下げるのかと思ったのですが、そうすると風でブラブラしてうっとうしいので、板をかまし、固定方法を少し変えました。

 

エントリーナンバー4番 ■エノキのわきの下■

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我が家で勝手にそう呼んでいるだけなのですが、巣箱を置いてある後ろには大きなエノキの木があって、その幹の一部にちょうどわきの下のような部分があり、樹皮がゴツゴツしています。
去年、孫分蜂したハチたちはいずれもここに蜂球を作りました。
実績があるので、ブックメーカー方式の場合、オッズがもっとも高く、配当率は低くなってしまうものと思われます。

巣箱とそれぞれのトラップの位置関係はこんな感じです。

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⇧左端の黒いかたまりが「ドラゴンBeeキャッチャー」で、奥の単管に固定されているのが「合板に金網」、右側の木の枝の板が「無垢板にシュロ縄」で、その枝の根元側、巣箱よりも少し後ろ側に「エノキのわきの下」があります。「エノキのわきの下」だけ巣箱の後ろ側で、ほかは巣箱(巣門)の前側に位置しています。

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ということでサクラも咲きだし、農作業も佳境。いよいよ来週あたりは分蜂も起こりそうです。さて、どのトラップにハマってくれるのでしょうか? 楽しみだなぁ。