Blog「自給知足がおもしろい」

自給「知」足と称した、貧乏くさい暮らしを楽しむためのブログです。

完璧な自給自足は目指さず、「テキトー」と「いー加減」をモットーにあまり頑張りすぎない、
そんな暮らし方がこの頃なんだか、とてもオモシロイ!と感じています。
自給「知足」的な暮らしは言いかえると「貧乏臭い・ケチ臭い暮らし」でもあります。

でも「ケチ臭いビンボー暮らし」も、そう捨てたものではありません。
ビンボー暮らしは、お金をそれほど必要としない暮らしとも言えます。
そのため、お金稼ぎの作業や仕事に長時間、拘束されずにすみ、
その分の時間を、ヒトが暮らすための作業に使うことができます。

農的で質素な暮らし方が可能で、それにより身近なことで幸せを感じることができたりもします。
また、昔ながらの農的な暮らしは、ヒトも哺乳類の一種として自然の生態系の中で
虫や草や菌類など他のいきものたちと共に生きる暮らし方だったりもします。

そして、こうしたテキトーでいー加減な自給的な暮らしをうまくやっていくポイントは、「知足」? 
人間の欲望は際限がなくてお金をたくさん得られても、たぶんどんなお金持ちになっても満たされません。
でも逆に、小さなちょっとしたことでも、とても幸せに感じられることがあったりします……不思議です。

日々の暮らしの中から「自給知足的な暮らし」を楽しむためのヒント? 
のようなものを、紹介できたらいいなぁ、と思っています。どうか、よろしく。


きのこ散水用配管と水抜き

今年の冬は暖かく、林の中でいつもの年よりも早めにシイタケのツボミが顔を出し始めました。

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ありがたいことに土も溶け始めたので、このタイミングできのこ散水用の配管を土中に埋設することに。
これまではミストシャワーやスプリンクラーをホースで引きまわしていたのですが、ホースだと草と一緒に刈払機で刈ってしまったり、軽トラで踏んでカプラーを割ってしまったり、それにホースよりも塩ビパイプの方がメートルあたりの単価もはるかに安く、しかも土中に埋めた塩ビパイプは、塩ビのホースよりもはるかに長持ちするのでした。

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本当なら凍結深度(このあたりは約40cm)よりも深く掘って埋設すればいいのですが、林の中は木の根が縦横無尽に走っていて手掘りは大変だし、かといってユンボを入れるのも可愛そうなので、ホンの10センチほどの深さに手掘りで埋設。そのかわりにすべての配管には水勾配を付け、一番低い位置のバルブを開けることで、水抜きができるようにしました。

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邪魔にならなそうなところにバルブとワンタッチカプラーを出します。

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これでいちいち遠くからホースを引きまわす必要もなくなり、シメシメと思っていたのですが、このところは寒のもどりで、朝は再び氷点下になる日が続き、水抜きをするのが面倒になっていたのでした。

そしてある日の夜、林まで行ってすべてのバルブをあけ、圃場の水抜きバルブをひらくのが面倒で、「そうだ! 水を流しっぱなしにすれば管は凍らないじゃない!」ということで朝までスプリンクラーを作動させたのでした。

そして翌朝、ブラインドをあけたら、窓の外には、こんな景色が!

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せっかく大きくなっていたシイタケも、こんなありさま。

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りんご飴、ならぬ、シイタケのアイスキャンディーは、はたして美味しいのか……。

しかたないので今晩も、水抜きに行ってきまーす。

寒冷地で、冬もフレッシュサラダを自給する方法を探る

畑を7反(2000坪以上)もやっているというのに、冬は野菜をスーパーから買わなければいけない……、というのはなんとも悔しいのです。
そんなわけでこれまではビニールトンネルを駆使して、どうにか冬も自家製野菜のフレッシュサラダをいただけるようには暮らしてきました。


そんな折、ありがたいことに、近くの方から(撤去を条件に)ビニールハウスをいただけることになったのでした。

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これで冬もフレッシュサラダを食べることができる……と喜んでいたのですが、ビニールハウスは真冬の朝、意外と温度が下がることが発覚。

ハウス内の気温は外気とほぼ同じで、氷点下8度の朝は、ハウス内も氷点下7度にまで下がってしまうのでした。

でもまあこれ、考えてみれば当然のことではあります。断熱材なしで外と内があんなに薄いビニール1枚で隔てられているだけなわけですから。

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でも、せっかくハウスをいただいたというのに、このまま引き下がるのは悔しいので、冬の朝、ハウス内の温度を下げない方法はないものだろうか? とはいえ、できれば化石燃料は使いたくない、という前提の元、いくつか試してみることにしました。


まず最初に試してみたのは、蓄熱効果の高い素材をハウス内に置いて昼間、そこにできるだけ昼の温度を蓄熱しておいてその予熱で最低気温をできるだけあげる、という作戦です。
蓄熱効果が高い比熱の大きな物質で手軽に手に入るものとして「水」と「石」があります。

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⇧一斗缶の一面を黒く塗装し、その面で太陽熱の吸収を高めた上で中に水を入れ、そこに昼間の太陽熱を蓄熱しようという作戦。水に触れていない部分の黒く塗られた一斗缶表面は手で触れなくなるくらいに熱くなります。

それと同時に、

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田んぼの改修工事の際にいただいてきた畦板(畦畔ブロック)を随所に敷き、石に昼間の太陽熱を蓄熱しようという作戦。これは管理用の踏み石としても便利でした。

はたまた……、

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廃タイヤの中に落ち葉や鶏糞、米ぬかや生ゴミなどを入れ、発酵させることで発酵熱で暖房しようという装置。

このタイヤのコンポストもなかなか良さそうだったのですが……、

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でも最終的には、ハウス内で大々的に堆肥を作るというのが効率がいいことが分かり、タイヤを使わず、もっと大量に堆肥を作ることになりました。

また、タイヤに土の詰まったものは蓄熱体としても優秀であることが分かり、タイヤを積み上げ、ロックガーデン風のスペースも作ってみることにしました。

まずは仮組み。

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⇧タイヤを少しずらして組むことで、ロックガーデンのようなものができないものか、いろいろ組み合わせ中。タイヤをずらして積むと、上の段のタイヤの底を下のタイヤでふさぎきれない場合があるのですが、その場合は石でフタをしたり肥料袋などでふさぐことで上の段のタイヤの中の土をこぼさずに積み重ねることができることが分かり、タイヤ積みの自由度があがりました。

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⇧廃タイヤは側面にまでしっかり土を入れると安定します。しっかり詰めて積み重ねれば土留めなどにも使えます(詳しくはこちらを参考にして下さい)。
Earthshipなどではハンマーで叩いていたりするようですが、この程度の積み上げだったら、長靴のつま先を使うのが正解。土をトーキックで中に詰め込み積み上げました。

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⇧とりあえずこんな感じになりました。

で、いまはこんな感じになっています。

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⇧将来的にはタイヤウォールの部分はリッピアなどの地被でカバーしたいと思っています。

石垣いちごならぬ廃タイヤいちごも花をつけてくれました。

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そしてなぜかコプリーヌこと、ササクレトヨタケも。

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シイタケのほだ木を入れてみたら、真冬だというのに、こんなに発生。ハウス内は湿度が高いのでキノコの発生には適しているようです。

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また、北側の妻面には、太陽光や赤外線のリフレクター効果を狙い、ビニールの内側にアルミの反射シート(100円ショップで2m×1mが108円)を貼り、光量の確保(屋根以外のビニールは中古で透明度が悪いので)と温度低下を抑えるようにしています。
発泡断熱材の付いた反射シートですが、ビニペット用レールにビニールと共に一緒に挟み込むことができ便利でした。

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⇧ビニールハウスにビニールを貼るためのビニペット&レールと言うシステム、なかなか優秀でいろいろ使いみちがありそうです。


蓄熱体であるタイヤを使ったテーブルも設置してみました。厳冬期でも、日が当たっていればハウスの中はポカポカ。

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⇧晴れた日曜日には昼間からビールを飲みながら……、といきたかったのですが、結局はそんな余裕もなく春が近づいてきてしまいました。

それでもハウス内の気温は厳冬期、氷点下になってしまうのですが、さまざまな蓄熱対策が功を奏したのか、ハウス外のように地面が凍りつくということはなく、そのおかげで今年の冬はさまざまな野菜たちをいただくことができました。

畑で凍えたいた苗たちをとりあえず移植。
植え始めたときは、こんな感じだったのですが、

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いまはこんな感じ。

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ところで、虫草農園の野菜はなぜか長持ちするのが特徴で、晩秋、霜が降りる前に路地で収穫したトマトが2月まで腐らず、カビも生えず、食べることができたりします。
また、秋に収穫したカボチャも冬至どころか、いまもまだ問題なく食べることができたりします。あるいは有機肥料をたっぷりすき込んだ畑では、路地でもパクチーやネギ、キャベツやレタスなどがどうにか寒さに耐えていて、冬はそれらをいただいていたりもします。
そんなわけで、意外と冬はまだ野菜があるのですが、一番厳しいのはこれからの時期。畑からの収穫物は5月にならないとないし、山菜が採れ始めるまでの今の時期が野菜不足になりがちだったのですが、ハウスをいただいたおかげで今年は3月4月にもフレッシュサラダをふんだんにいただくことができそうです。

芳村さーん、ありがとうございました! 大切に使わせていただきまーす。

うまくすると薪の消費量が半分になる薪ストーブの焚き方

今の時期だとカエデの樹液をを煮詰めたり、台所にお湯を供給したり、大活躍中の薪ストーブなのですが、薪の燃やし方にはちょっとしたコツがあって、それを知ると、消費する薪の量を半分くらい節約できたりします。
また、薪ストーブだけでなく、キャンプなどで使うカマドでの煮炊きでも同様。燃費も良くなるし、火持ちも良くなります。ぜひ、試してみてください。

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ところで、自動車のエンジンの場合「エンジンの燃焼効率がいい」ということと「エンジンがかかりやすい」ということとは、相反関係にあります。
一般に燃焼室がコンパクトで圧縮比が高い方が、燃焼効率には優れているのですが、圧縮比の高いエンジンは寒い朝、あるいはバッテリーが弱っていたりするとセルモーターが回りにくくエンジンがかかりにくかったりします。

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⇧左手で圧縮を抜くためのデコンプレバーを握りながら、右手のヒジを固定して体重を載せ、圧縮の高く、かかりにくい天ぷら廃油ディーゼルエンジンのクランク棒を回す娘。


で、エンジンの燃焼と似たことが薪ストーブの燃焼にも言えそうなのです。
学校のキャンプ教室などで教わる「焚き火への火をつけ方」は、まず、キャンプファイヤーのように薪を組み、その一番下に丸めた新聞紙を置き、その周囲に焚き付け用の細い枝をのせ、一番下の新聞紙に火をつけるという方法ではないでしょうか?
この方法、(風のある野外でも)火が付きやすいというメリットはあるのですが、残念ながら、このつけ方だと不完全燃焼を起こしている部分が多く、目にしみる煙も多く、燃焼効率も燃費も悪く、薪の持つエネルギーを十分に活かすことのできていない着火方法なのでした。

燃費の良い薪の燃やし方の基本は「上から下へ」です。
これは韓国の自作ストーブの見せびらかし大会「私はストーブだ!」の講演でソンウォンさんから教えていただきました。点火の方法に少しコツが必要ですが、これだと燃費もよく、煙も少なく、火持ちも良くなります。
正確に言うと、「上から下へ」ではなく「排気口側に近い方から火を付け、だんだんと吸気口側に延焼させていく」ということになります。
「排気側に近い方に火を付け、火が徐々に吸気口側に移動していく」と聞いてピンときた方がいたとしたらそれは鋭い! そう、ロケットストーブやベースバーニングストーブのあの燃やし方と一緒なのでした。


文章だけだと分かりにくいので、わが家で毎朝やっている作業を写真とともに順番に解説させていただきます。


■薪の持つエネルギーを最大限引き出す薪の組み方と火の付け方■

まず、前日の残りであるオキを灰の中から救出します。薪を置くのに邪魔にならないところに移動します。量が多いときは大きめの十能のようなものに移し、いったんストーブの外に出すこともあります。

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⇧これをやらないと下から火がついてしまうのと、これをやればマッチやライターは必要ありません。

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次に、ストーブの燃焼室内に、まず太めの薪を並べます。

そしてさらにその上に、一段目よりも少し細い薪を載せます。

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⇧縦横交互に積んでいますが、二段目も一段目と揃えて横に並べてもかまいません。

 

さらにその上に、細めの粗朶(そだ)を重ねます。

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⇧一番下に太い薪、その後だんだん上に載せる粗朶を細くしていきます。

 

最初によけておいたオキを組んだ薪の一番上に載せます。オキがない場合は、スターターを使って火をつけます(後述)。

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⇧オキは分散させず、なるべくまとめておくと熾り(おこり)やすくなります。

 

オキが熾るまでの間、ガラスの掃除をします。濡らしたウエスに灰をつけ、とりあえずは濡れた灰をガラス面全体に分散させるように置き、その後、それをコンパウンドのようにして少し力を入れてこすります(この方法はウチのお隣でやはり薪ストーブを焚く小説家、樋口明雄さんに教えていただきました)。

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⇧濡れた灰は強アルカリなので、頑固な汚れも比較的簡単に落ちます。

最後の仕上げは新聞紙。

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⇧新聞紙に印刷されているインクの成分が油を分解し、ガラスにツヤを与える、と言われています。

 
そうこうするうちに、上に載せたオキが熾(お)きて来るので、そのタイミングでひと息、火吹き竹で風を送ると、ゴーという音共に炎が立ちあがります。

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⇧火吹き竹は節を抜き、出口側の節に3ミリ程度の穴をあけます。これは「高速で移動する流体の周囲には負圧が発生する」というベルヌーイの定理。細くても流速のある空気の動きがあると、その周囲の空気も引き込まれ、周囲の空気を巻き込み大量の空気を送るこむことができるのです(フイゴやウチワの比ではないので、木炭を熾すときなどもぜひ使ってみてください)。出口が絞られているので、ひと吹きで長い時間、風を送ることができます。酸欠や酸素過多で頭が痛くなったりもしません。

 

こんな感じで火が安定したOK。 

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⇧しばらくは吸気口を全開にして、燃やします。

 オキが残っていたとはいえ、ストーブ本体は冷えているので、燃焼室が高温になるまではエア全開で燃やします。

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⇧ウチは煙突のパイプに温度計を設置していて、煙突の温度が100度Cになるまで全開で焚きます。

ストーブ本体が温まり、排気管の温度が100度を超えたら、吸入口を絞ります。

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⇧こののストーブは、燃焼室の上に、小さな穴がたくさん空いたパイプが仕込まれていて、そこから二次燃焼用の空気が供給され、吸気口を全閉にしても、高温のパイプで加熱された二次空気が薪から霧化したガスと混ざり、燃焼してくれます。

二次燃焼のシステムがないストーブの場合は、ストーブ本体&燃焼室の温度が下がらないくらいに燃焼をコントロールし、吸気口の開度を調整してください。

二次燃焼システムがあるストーブの場合は、燃焼室の温度が高温になっていれば、その後は、一次空気の吸気口をかなり絞った状態でもストーブは温度を保ったまま、燃焼してくれます。

 

ポイントは、下の方に太めの薪を組み、上にいくに従って細くしていき、できるだけ上(排気口に近い位置)から燃やす、ということ。

下から焚いてしまうと、上にのっている薪は加熱され、それによってバイオガス(未燃焼ガス)がでるけれども、それを燃えることができずに排気されてしまい、それが煙道で冷えれば煙突内壁でタールになってしまい、薪から気化したせっかくのバイオガスを未燃焼のまま排出してしまい、タールを煙突でつくることになってしまっている、ということだと思われます。

また、二次燃焼システムのある薪ストーブでは、できるだけ二次燃焼用の空気の吐出口近くに着火用の炎を用意してあげることもポイントのように思います。そのためには二次燃焼付近にときどき、火持ちの良い薪を火種として一本、供給してあげるといい感じで二次燃焼してくれます。

長時間燃やしたいという場合は、下の太い薪に燃え移る前に、タキツケか、それよりも少し太いくらいの燃えやすい枝を追加すると、下の太い薪から出るバイオガスも燃焼しつつ燃えるので、タキツケほどの細い枝なのに火持ちがしたりします。

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⇧二次燃焼はガスが燃えるので、青白い炎で燃えます。パイプに二次燃焼用空気口があいているのが分かるでしょうか?

■オキがない場合のスターターを使った火の付け方■
この焚き方で焚くと、火持ちがよく、たいてい朝までオキが残っているので、スターターをほとんど使わないのですが、それでも留守にしていたときなど、火が完全に落ちてしまうこともあります。
そんなときに備えて、スターターをつくっておくことをオススメします。スターターの材料は新聞紙や段ボール紙でもいいのですが、火持ちの良いスターターを用意しておくと、時間的な余裕ができて容易に着火することができます。

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⇧ウチで使っているスターターは、チェーンソーのカス(自動カンナの短いカンナクズでもOK・ただし長いカンナクズは使いにくい)に、天ぷら廃油と少量の灯油を染み込ませたもの。天ぷら廃油を添加することで火持ちがよく、灯油臭さも驚くほど少なくなります。これを缶に入れておいて使っています。

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⇧お気に入りのSOTOのライター(ガス充填可能)で点火。

スターターに火が付いたら、火の上に細い枝を重ねていき、火を大きくしていきます。

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⇧この際、慌ててたくさん細枝をくべると、空気の入りが悪くなってしまうので、火の様子を見ながら、火の上に重ねていきます。
火が安定したら、燃焼室の温度が上がるまで、吸気口は全開で焚き、温度が十分にあがり、一次空気を全開で入れなくても薪が加熱されてガスが発生し、それが燃えるようになればOKです。

今年は特に暖かい冬だった、ということもあるけれども、おかげで薪はかなり節約できました。この焚き方を始めた年は、その前年の半分くらいの消費量で済んだのですが、今年はそれよりもかなり少ないので、3分の1くらいだったかもしれません。

燃焼効率がいいからか、ススやタールの溜まりも少なく、煙突掃除もここ3年くらいしていません。薪ストーブを使わる方は、ぜひ試してみてください。

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メイプルシロップ2019

今年も、アオゲラがカエデの木を突つき、そのキズ痕から樹液が流れ、メジロがやってくる季節になりました。

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⇧いろんなビンで集めているけど、メイプルシロップを集めるビンにはなぜかゴードンが似合います。

 

きょうからは、10本体制で、カエデたちから樹液をいただいています。

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⇧ありがたいことにこれぜーんぶ、カエデ。

 

メープルシロップやウォルナッツシロップの採取の仕方などについては、昨年のこのページを参考にしてください。

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樹液のそのものは「ほんのりわずかに甘い?」という感じなのですが、薪ストーブの上で煮詰め、体積が約40分の1になると、こんな感じになります。

 

ハチミツ用に手に入れた糖度計があるので、測ってみたら糖度は約75度でした。

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これでカエデの木3本からの2日分。

本物のメイプルシロップが高価なこともうなずけます。
早春の林の甘露、ありがたくいただいています。

 

廃材で作る、上広がりの収納棚

近くを通るだけで、木の枝が落ちてきたり、これはどうにかしなければ……、ということで時間を見つけては作っていた作業場の収納棚が、やっとこさ、ほぼ完成。

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材料は、朽ちたパレットや古民家の解体材などなど。
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⇧材料が足りなくなり、二枚重ねで継ぎはぎしたり……。

廃材の釘抜きから始めたので思いのほか時間がかかってしまいました。

本当はこの中に収める引き出しも、木や一斗缶で作りたかったのだけれど、
ハチの巣箱もそろそろ作り始めないといけないし、
きのこの菌打ちも、それにまだお醤油も絞れてないし……
ということで、今回は時間切れ。
引き出しは市販のプラケースになってしまいそうです。

 

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⇧廃パレットには見たことのない木目の南洋材らしきが使われていたり、帯ノコではなく丸ノコで製材されたらしき板があったり、そんなことにいちいち感心しているからね、時間、かかります。

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⇧人の頭よりも上の空間も有効利用したい、ということで、上広がりの棚になりました。

 

さて、これだけモノを整理して収納できるようになれば、果たして、モノを探している時間が少なくなるのだろうか? 結果をまた報告します。 

ただ積み上げるだけという「いい加減なコンポスト」

ついに地面からフキノトウが顔を出し始めました。
春の予感はやっぱり嬉しいもので、心はウキウキときめくのですが、その一方で農閑期にやろうと思っていたことが思いのほかできていないくて、まずいなぁという焦る思いも入り乱れ、鼻水と共に複雑な面持ちで日々を過ごしています。
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今年は雪がほとんど積もらなかったので、枯れ草たちがペシャンコにならず、まだ立ち上がった状態のまま。このまま春を迎えそうで、ちょっと困っています。
というのもミツバチたちにとって、冬を迎える前の最後の吸蜜植物がアメリカセンダングサだったりもして、おかげでアメリカセンダングサを昨秋は極力残し、刈らなかったので、タネたちがいまかいまかと、ヒトが通るのを待ち構えているという状況。

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⇧とても美しいのだけれど、ひっつかれたまま洗濯してしまうと、下着にまで針が刺さってしまったりして不快なので、洗濯前には取り除く必要があり毎日のことだとちょっと面倒だったりします。


仕方がないので、大鎌で刈り取って処理することにしました、といってもモッタイナイので、それらの枯れ草も堆肥として活用するのですが。

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⇧刈った草はまとめ、転がすようにして畑の真ん中あたりに集めます。

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⇧集まったらできるだけ上に積み上げます。
必ずしも畑の真ん中でなくてもいいのですが、畑の真ん中だと、あとで堆肥になったとき撒くのが楽ちんだったりします。そう、虫草農園は「ぐうたら」と「モッタイナイ」が基本。いかにしてアルモンデ、手抜きをするかを最優先しています。

そして、積上げる際のポイントがコレ。

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⇧真ん中に鉄の棒を刺します。これに絡げるようにして積み上げると、狭い場所に高く積めるし、風が吹いても飛んでいきません。雨が多くて水分が染み込みすぎる場合は、藁束を上にかけると、藁葺き屋根になり、適度に雨も染み込んでいいかんじ。
分解を早めたり、肥料効果を高めたりしたい場合は、窒素分の多いもの(鶏糞など)を添加します。

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⇧こちらは果樹の根本に積んだ例。少しこなれてきたら天地返しをすると共に、場所を移動すると、雑草による草止めマルチにもなったりします。


こちらは数年前に積んだところ。

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⇧もう土に近い状態なので肥料分が流出してしまうとモッタイナイので、波板を被せてあります。

で、この波板を取って、ちょっと掘ってみると……。

じゃーん! こんなのがたくさん。
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⇧はてさて、これはなんでしょう?

虫嫌いな人は、この先、要注意です。

いちおう警告しましたからね。


いいですね。

 

 

じゃーん。

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⇧丸々と太ったカブトムシの幼虫。
触ると、「ギュッ」と体を固くするのがカワイイ!

さきほどの黒いタブレットはカブトムシの幼虫の糞で、この黒いタブレットは水分をふくみやすい上、団粒構造で、肥料分もあって、最高品質の鉢植え用土になります。

 

こちらは果樹の苗木と苗木の間に積んでいる堆肥。オートマチックに施肥もできるという寸法。

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⇧天地返しし、真ん中に穴をあけ、そこに新たに枯れ草を投入したところ。このあと、枯れ草の上に堆肥を被せます。
普段はシート(奥の黒いもの)を被せているのですが、このところは乾燥気味で水分が少なめなので、ひと雨当てる予定。潅水も雨にお願いするという「ぐうたら」ぶりなのでした。


「ぐうたらな堆肥作り」や「いー加減なコンポスト」に興味がある方は、こちらのページをご覧ください。







信州・蓼科「親湯温泉」のこと。

我が家にとってここは、秘密の温泉宿なのです。
だから本当は、あんまり大々的には紹介したくなかったのです。

でも、先日初めて知ったのですが、ディズニーランドの入場料が大人ひとり7400円とのこと。人によっては遊園地というのも面白いところなんだろうなぁ、とは思うけれども、まさかこんなに高価だったとは知りませんでした。人を呼ぶための広報にお金をたくさん使っている、というところがどんどん儲かってしまう、というのはなんだかなぁ、と思ってしまったのでした。

(歳のせいかもしれませんが)同じくらいのお金を払うんだったら私たち家族の場合は「温泉宿」の方がいいなぁ、と思うと同時に、せめても似たような考えの人たち間でこうした楽しみ方を共有したいと思い、勝手に広報したくなり、紹介させてもらうことにしました。
だから今回の記事は、親湯温泉に対しての熱い思い入れたっぷりですが、ペイドパブではありません、いちおう念のため。

ということでさっそくですが、これが親湯温泉のロビーです。
どうですか? 

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⇧写真はごくほんの一部で、この数倍の面積と本があります。蔵書の数は3万冊以上、とのことでした。ゆったりとしたソファーの他に、外の景色を楽しみながら執筆作業のできるような素敵な机なども用意されています。
チェックインは15時からですが、少し前に行って、部屋の用意ができるまで、ここでくつろがせてもらうのがオススメです。


ウエルカムドリングとして、美味しいスパークリングワインや生ビールなどをいただくことができます。ゆったりとした雰囲気のBGMと共に、もうそれだけで、体の疲れは緩み、贅沢な時間を堪能することができます。
というのも、ここは信州・蓼科の奥なのですが、ウチからだと(下道で)ちょうど1時間で行ける距離だったりします。午前中、目一杯、土方仕事や農作業で筋肉を酷使し、お昼も家で食べ、食器も洗ってから、さあ~出発。それでもチェックインタイム前に到着できるのでした。

今回、泊めていただいたのは、こんな部屋でした。
障子が三方にあって、その縁取り越しに見える雪景色が素敵でした。

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オフシーズンの平日であり、家族4人で一番安い部屋を予約したのですが、アップグレードしてくれた可能性があります、が、特にそうしたアナウンスはありませんでした。そのあたりも奥ゆかしくてなんだか、上質、という感じ。

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寝室はこんな感じでした。やっぱり本がたくさんあります。
我が家は田舎の家なので、都会と違って間取りに比較的余裕があるほうで、オマチのシティホテルとかに泊まると、狭苦しく感じてしまうことがあるのですがここは違います。

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⇧大正時代創業の老舗宿でもあり、ロビーのソファーもそうですが、調度品のひとつひとつが古くて質のいいものが多く、それらと現代風のオシャレな洗面台がいい感じでマッチしていました。
トイレは、至れり尽くせりの最新式。
部屋にお風呂(ユニットバス)も付いていたのですが、入りませんでした。ここは温泉で、素晴らしい露天風呂があるのです。
まずは食事の前に、ひと風呂。

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⇧この写真は親湯温泉の公式HPからお借りしたものですが、ちょうど雪景色の時期でもあり、まさにこんな感じでした。湯船の横に置いてある薪を浮かべると、針葉樹のいい香りが増します。

露天風呂もいくつかあり、翌日の朝、食事の前に入ったお風呂はこんな感じでした(この写真も親湯温泉公式HPより)。

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⇧こちらのお風呂は、こじんまりとしたヒノキ(もしかしたらヒバ?)の香りの木のお風呂。宿泊者はあらかじめ時間を予約して、30分間貸切りでつかうことができます。

そして親湯温泉のもうひとつの楽しみが食事なのです。
見てください、この満面の笑みを。

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⇧でも、これ朝食。

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こんな感じのシンプルな個室でゆったりと食事ができます。

実は、親湯温泉にたどりつく前、バイキングスタイルの温泉ホテルにいくつか泊まっています。好きなものを自分で選んで食べられるというのはいいのだけれど、飲み放題などというコースも併設されていることが多くお客さんの中には酔っぱらいもいたりして、残念ながらゆっくり食事を楽しむ、という感じではありませんでした。
ビュッフェスタイルながらも、ライブキッチンも充実していて料理も意外と美味しくて、温泉も充実していて、料金も安かったところ(たとえば石和のホテル新光)なんかもあったのですが、それでもやはり落ち着いて食事や会話を楽しむという雰囲気ではありませんでした。そのあたりのことも考えて、親湯温泉は個室にこだわったのではないかと思われます。

ではざっくり、夕食を紹介します。予約時に創作料理のコースと、山の幸のコースの二種類から選べるのですが、今回は創作料理のコース(蓼科キュイジーヌ)にしました。
まずは前菜の前菜? アミューズ・ブーシュから。

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⇧左上からフグとマグロとエビのスモーク(なるほどねー、山の奥で食べる海の幸なので燻製にするというこだわり)。
右はカモのロティ、オレンジ添えと、馬のタンのバルサミコ風味(馬の舌を生まれて初めて食べました)。
小鉢はつぶ貝と「お醤油のゼリー」(絶品でした)。
そしてその左が、ヤリイカと赤えび(上にのっていたのはサクランボのソース?)

 

前菜は、

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ホタテの貝柱のグラタン(ワインがすすみます)。

 

スープは、

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大好きな、オニオングラタンスープ。

 

魚料理は、

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寒ブリのナージュ仕立て。オリーブオイルのジュレ
(ニンジンの素揚げ?が絶妙でした)。

肉料理は、

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蓼科牛のソテー。シャリアピンソースと安曇野のきざみわさびの二種類でいただくことができます。時期外れのはずのトマトは、グラッシェしてありました。

そして最後に、蓼科スープカレー(匂いに誘われスプーンを手にしてしまい、写真を撮り忘れました)。
これは、おかわりができるらしいのですが、お腹いっぱいでおかわりはできませんでした。

続いて朝食。
朝食時はサラダバーがあって、サラダはビュッフェスタイルでした。

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採れたての美味しい野菜が食べたくて農的な暮らしをしているわけで、ハーブやサラダだけは負けない自信があるのですが、クラッシュアイスの上に置かれたシャキシャキの野菜たち、そして自家製のドレッシングたち、さすがはホテル、という気配りと美味しさでした。

そしてこちらが朝食(これが夕食でもいいくらい)。

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鯛の塩麹締めや野沢菜の炒めもの、ホタテの揚げ物、キノコの味噌和えや、だし巻き卵それに信州ならではの漬物各種などなど、ご飯がすすんでしまって困りました。ご飯は曲げ輪っぱのおひつに入っていました。
信州のお味噌を使った根菜のお味噌汁も美味しかったのだけれど、湧水豆腐の湯豆腐が最高でした。豆乳がたっぷりで、食べてるそばからユバができて本当に美味しかった。希少で高価な食材を使うよりも、アルモンヲ美味しく食べてもらおうというこうしたアイデア、素晴らしいと思いました。

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ロビーには、3万冊の蔵書と共にさまざまなソファーが置かれていて、薪ストーブ(正確にはバイオマスペレットストーブでした)が静かに燃え、夕食の後、宿泊している人たちがロビーに集まってきてそれぞれにくつろいでいるホテルというのは珍しいし、食事にも手が尽くしてあって美味しいしアイデアに満ちているし、働く人たちもとてもいい感じで、私たちにとっては最高に素敵な温泉宿だったりします。

あ、そうそう、宿のお値段を書くのを忘れていました。今回は2月の平日だったのですが、旅行会社のクーポンや予約と同時にお金に換金できるポイントなどを駆使したところ、1泊朝夕2食付きで大人ひとり7000円弱(税&サービス料込)でした(正規料金でも7560円)。
しかもウチからだと、高速代もクルマの燃料代もかかりません(天ぷら廃油なので)。

それでも、なるべくお金によらない暮らしをしていて、お金稼ぎに熱心でない我が家にとっては、大きな出費であることに違いはないのですが……、でも、約1時間のドライブで異次元とも言える素敵な空間にたどり着くことができて、家族で美味しい食事もいただくことができ、素晴らしい温泉にも3~4回も入ることができて、素敵なソファーに沈みこみゆったりと本も読む時間も堪能できる……、家にいるとやることややりたいことばかりが思い浮かんでしまい落ち着けない我が家にとって、これは最高の贅沢なのだけれども、一方で、蓼科や八ヶ岳にやってきても、遊ぶところがぜんぜんなくてつまらなくないですか? っていう人がいたり、パチンコ屋さんが繁盛していたり、人も遊び方もいろいろ多様性があることがいいことなのかもしれません。