Blog「自給知足がおもしろい」

自給「知」足と称した、貧乏くさい暮らしを楽しむためのブログです。

完璧な自給自足は目指さず、「テキトー」と「いー加減」をモットーにあまり頑張りすぎない、
そんな暮らし方がこの頃なんだか、とてもオモシロイ!と感じています。
自給「知足」的な暮らしは言いかえると「貧乏臭い・ケチ臭い暮らし」でもあります。

でも「ケチ臭いビンボー暮らし」も、そう捨てたものではありません。
ビンボー暮らしは、お金をそれほど必要としない暮らしとも言えます。
そのため、お金稼ぎの作業や仕事に長時間、拘束されずにすみ、
その分の時間を、ヒトが暮らすための作業に使うことができます。

農的で質素な暮らし方が可能で、それにより身近なことで幸せを感じることができたりもします。
また、昔ながらの農的な暮らしは、ヒトも哺乳類の一種として自然の生態系の中で
虫や草や菌類など他のいきものたちと共に生きる暮らし方だったりもします。

そして、こうしたテキトーでいー加減な自給的な暮らしをうまくやっていくポイントは、「知足」? 
人間の欲望は際限がなくてお金をたくさん得られても、たぶんどんなお金持ちになっても満たされません。
でも逆に、小さなちょっとしたことでも、とても幸せに感じられることがあったりします……不思議です。

日々の暮らしの中から「自給知足的な暮らし」を楽しむためのヒント? 
のようなものを、紹介できたらいいなぁ、と思っています。どうか、よろしく。


(ぬかるんだ田んぼでの)稲刈りの備忘録

羽根先の赤紋が美しいミヤマアカネがすっかり成熟色になったというのに、まだ、わが家は稲刈りができていませんでした。

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田んぼの水が引かないのです。この状態だと、稲刈り機(バインダー)が使えず、稲刈り機を使わない手刈りだと、機械でやれば1時間で終わってしまうところを、家族総出で1日がかりになってしまうのでした。
数日前、水がだいぶ引いてきたかなぁ、と思ったところで、台風24号の直撃を受け、再び元の水田に戻ってしまったのでした。
で、いくらなんでも、そろそろマズイよなぁ、ということでお米の水分量を測ってみると……。平均で13、0%。おいしい新米は、精米前の状態で15%くらいと言われています。そのあたりの詳しい話は、こちらをどうぞ。

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これはさすがにマズイ! ということになって、急きょ、手刈りで稲刈りをすることにしたのでした。

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幸いなことに、今年は圃場整備があって、お借りできたのは2畝の小さな田んぼだけ。
とはいえ、下は水をしっかりたたえたままの田んぼ。刈った稲を地面に置くこともできないので、一輪車を入れてそこに刈った稲を置くことに。

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しかしこれがかなり大変。足元がぬかっていて足を取られる上に、ハッピーチルドレンは背丈が高いので、刈った稲の穂先を水に付けないように高い位置で保持しなければいけません。
こんな感じで稲を保持し、

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こんな感じで、後屈して、アクロバットのような稲刈りになりました(足が抜けないのです)。

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ただ、今回、ちょっとだけど、いいこともありました。
水分量13%なので、そのままハサガケなしで脱穀ができそうなのです。
手刈りでの稲刈りで、なにが大変なのかというと、ヒモやワラで刈った稲を束ねることなのでした。
ハサガケをせず、刈ってそのまま脱穀ということであれば、稲を束ねる必要がないのです。かなりの省力化が図れます。
しかもこのところは台風が異常に多いので、ハサガケをしなくていい、というのは、精神衛生上もありがたいことなのでした。

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稲刈り機と違って、脱穀機(ハーベスタ)はクローラー(キャタビラ)なのでぬかった田んぼでもどうにか入ることができました。とはいえ、カーブを曲がろうとするとスタックするというかなりキワドイ状況ではありましたが。

実は去年もこれと似た状況の田んぼが一部あって、刈り取ったあとでハサガケせずにすぐに脱穀してしまったりもしたのですが、そこまで待っても、特に味が落ちる、あるいは胴割れするという感じはありませんでした(どちらかというと水分量計を購入する以前の方が、ハサガケで乾燥させすぎてしまい食味を落としてしまっていることがありました)。食味が落ちたりどう割れしてしまうギリギリのところが13%だったのかもしれませんが。

ということで、どうしても田んぼの水が引かず、手刈りで稲刈りをしなければいけなそうな状況になってしまった場合、ハサガケなしで脱穀ができるくらいまで待ってしまう、という方法もあるかと思います。

とはいえ、ハサガケせずに脱穀をする場合、穂の水分用は少ないけれど、葉や茎はまだ緑色で水分を多く含んでいるので、脱穀機がつまりやすく、いくつかのポイントを押さえながら作業をする必要があります。
以下に備忘録として、箇条書きにしておきます。
●藁が排出されたあとすぐにエンジンを止めずに、機械内からモミがほとんどでなくなるのを待ってから止める(特に、燃料切れでエンストしたときの再始動時は要注意)。

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⇧燃料切れでエンストした場合に詰まりやすいのはこの部分。エンストでファンが止まり、途中まで吹き上げられていたお米がこの部分に堆積してしまって詰まるようです。

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⇧フタを開け、溜まってしまっているお米を取り出し、もう一度、入り口に戻します。

●それでも詰まりやすい場合は、エンジンの回転数を一般的な米脱穀の値よりも高くする(麦側に寄せる)。

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ハーベスタには穀物に応じたエンジン回転数の目安を知ることのできる回転計が付いています。詰まりやすいお米の場合は少し回転を高めにセットするといい感じです。


脱穀機の音に常に注意をしていて、ちょっとでも変な音がしたらすぐに稲の投入をやめて、各部を点検する(特に回転ドラム裏の点検窓を必ずチェックする)。

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⇧葉や茎の水分が多いと、この部分に粉砕されたワラが溜まりやすいです。なんとなく脱穀機の回転が重そうだなぁ、と思ったら、この部分を確認するといいように思います。この窓から手を突っ込んで取れるだけ取り、残りは下側の点検窓に落として掃除します。


●一度に多くの稲を入れずに、なるべく少なめに均等に入れる(稲を結束していないときの方が有利)。
ハーベスタ袋のモミが増えると、重さで逆側のクローラーが浮き、スタックしやすい。
●ぬかるみがひどい場合、ハーベスタクローラーはなるべく切り株を踏みながら走るように運転する。
脱穀後にも水分量を測ってみて、高い場合は、麦のようにモミを天日干しして調整する。
●……(他にも思い出したら書き足します)

西の空が染まりだした頃、どうにか稲刈り&脱穀を終えることができたのでした。家族全員ヘトヘトになったので、きょうは久しぶりに外食。龍淵にラーメンを食べに行ったのでした。

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2021年9月30日追記
■ぬかるんだ田んぼでの刈取機(=バインダー)の操作方法■
板を敷くのも効果はあるけどかなり大変。めり込んだ板を拾いあげ、穂を汚さないように次の畝間に置くのがかなり大変。
どちらかというと、二人がかりで、ひとりがバインダーをロープで引っ張り(駆動力を加える)、もうひとりはバインダーのハンドルを上に持ち上げ(タイヤにかかる重量を減らし)ながら運転する、という方がいい感じでした。

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⇧こんな感じ(ひとりはカメラマンをやっているのでバインダー側に人がいませんが)。ロープは長いほうが土手から引っ張れるのでいいようでした。

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⇧効果はあるけど、なかなか大変。へばります。





ミツバチの給餌とイチジクに集まる虫たち

きょうも雨……。
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雨が多くて少し気をもんでいます。

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ひとつは台風のこと。

きのう、久しぶりに晴れたので、「さあ、稲刈り」と思ったのですが、それまでの雨で田んぼがぬかるんでいて、さらには台風24号が近づいているのでハサガケしたウシが台風で倒れてしまう心配もあり(コンバインだったら、そんな心配も必要ないわけですが)、「稲刈りは台風通過後だね!」と家族で決めたのですが、日本を縦断しそうな24号を追いかけるかのように、熱帯低気圧bが発生した模様。ははは、困った、困った。

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もうひとつは、ミツバチのこと。
こう雨が続くと、吸蜜ができず、お腹をすかせていると思うのです。
砂糖水をつくってそれを給餌する方法もあることはあるのですが、師匠のひとりである重田さんは、これまで給餌をしたことがないけど、それでうまくいっているよ、とのことだし、もうひとりの師匠である上原さんは、他の群れのハチがやって来ない夜だけ巣箱の中に砂糖水を入れるようにしている、とのことでした、が、それでも特有の匂いがあるのか、昼間、巣門のあたりでミツバチ同士でケンカしていることがあるから注意したほうがいい、と教えてくれました。

雨の中、羽根を濡らしながらも健気(けなげ)に蜜を集めに出かけている外勤バチたちのことを思うと、給餌したくもなるのですが、そのあたりの判断はなんとも悩ましいところです。

と思っていたところ、意外な方法が見つかりました。
ショウジョウバエを呼んでしまうので、傷み始めたイチジクを窓の外に置いておいたのですが、それにたくさんのミツバチが来ていたのです。

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イチジクは「無花果」と書きますが、花がないわけではなくて花は花嚢(かのう)と呼ばれる果実のようなものの内側にあります。原種のイチジクは本来、外界と接しない状態で花を咲かせるという珍しい植物で、虫媒花ではあるのですが、その受粉には「空飛ぶ花粉」とも言われるイチジクコバチという面白い生態のハチが関連しています、が、そのあたりの話をしていると、きょうのブログはそれで終わってしまいそうなので、話を戻します。
ということで、イチジクの果実と思っているものは実は肥大した花(のようなもの)のわけで、そこにある甘い汁は曲解すれば花の蜜、とも言えないこともない?

どういうわけか、これまで来ているミツバチは、いまのところニホンミツバチだけです。すぐ近くのコスモスにはたくさんのセイヨウミツバチが来ているのですが、なぜかイチジクには来ません。逆にニホンミツバチはコスモスで見かけることはありません(いまのところ)。
洋バチは見向きもしないレタスの新芽をニホンミツバチだけが食べることが知られていたり、このあたりの嗜好性、種によってかなりの指向性があるようです。

この方法だったら盗蜜で巣を襲われることもなさそうだし、雨の日も濡れずにゆっくり吸蜜できるしなかなか良さそう、に思えたのですが、残念ながらそんなに都合良くはいきませんでした。

少ししたらスズメバチたちがイチジクを発見し、やってくるようになってしまったのです。

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⇧最初にやってきたのは、キイロスズメバチ。全体に黄色いのが特徴。雑食性で花の蜜も吸いますが、ミツバチの成虫なども食べます。

そして次に現れたのは、コガタスズメバチ

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⇧おしりの先端が黄色いことと、腹部のふたつ目の黒縞が他の黒縞より太いのが特徴で、この部分でオオスズメバチ(ふたつ目の黒縞が糸のように細い個体が多い)と区別できます。個体によって大きめのコガタスズメバチと小ぶりのオオスズメバチでは大きさはあまり変わらないので、この部分で見分けるのが一番確実のように思います(最近Tomaさんに教えていただきました、ありがとう)。
上の写真でも分かるように、背後(はいご)にいるのはニホンミツバチ。キイロと違って、コガタスズメバチニホンミツバチは比較的仲がいい感じ。油断しすぎると食べられてしまうこともあるようなのですが、一般にコガタやオオスズメバチは、キイロと違い、ニホンミツバチの成虫を捕食することは少なく、食べる場合は巣箱に入って蜜と共に幼虫たちを襲うようです。


そのうち「お姫さま」もやってきました。

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⇧日本に棲むスズメバチの中で最も美しいから「姫」。
ヒメスズメバチのことを勝手にそう思っています。
個体変異や地理的変異の多い種類ですが、対馬に棲む個体以外は、腹部後端が黒いのが特徴。また「姫」は体長があるので目立つのですが、スズメバチ愛好者の誰もが認める最もおとなしいスズメバチでもあります。腹部の文様にはチャイロスズメバチと同様、赤褐色の部分があり、黄色の部分とのコントラストが美しいスズメバチです。


ついでに書くと、チャイロスズメバチは、これもまた変わった生態のスズメバチで、托卵をします。冬眠からゆっくりと目覚め、ひと足さきに巣作りを始めているキイロスズメバチの巣がある程度大きくなって、働き蜂たちが増えてきたところで、キイロの女王を殺し、代わりに自分がその巣で卵を生み、キイロの働き蜂たちに自分の子どもたちを育てさせる、というヒト社会では考えられないような社会性をもったハチだったりします。
今年はチャイロもときどき姿を見せてくれていて、ウチから少し離れたところに巣があったりもするのですが、いまのところイチジクには関心がない様子。

というわけで、台風に備えて家の周囲の点検などをしなければいかないのですが、ついついイチジクに集まってくる虫たちに目を奪われ、見入ってしまうのでした。

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⇧こちらはクロヒカゲ。案外、勇猛で、羽根をばたつかせてはスズメバチを威嚇したりしていました。

動画も撮ってみました。
まずは、ニアミスでヤバイ場面。



そしてこちらは、キイロとコガタのバトル。
実はよく見ると、ニホンミツバチも加勢をしているように見えます。



ということで、虫たちを見ていると、時間はどんどん過ぎていき、台風もどんどん近づいてきました。さっきより雨が少し強くなってきたなぁ。大きな被害がないといいのだけれど……。

■追記■
このブログを書いた翌日(2018年10月1日)、台風一過の晴天のもと、
うれしいことがふたつありました。
ひとつは、現政権があらゆる権力を使って民意を押しつぶそうとしたにもかかわらず、多くの沖縄の人たちにデニーさんが支持された、ということ。
そしてもうひとつは、イチジクにキベリが来ました!

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フォー・ガー サイゴンスタイル?

道の駅に出荷しているハーブサラダが売れ残ってしまったので、ミントやパクチー、それにドクダミの生葉などを追加して、久しぶりにフォー・ガー(ベトナム鶏そば)をいただきました。

以前、我々が現地で食べたことがあるのは、サイゴン(現ホーチミン市)のフォーガー。ドンコイ通り沿いのちょっと寂れた安ホテルに泊まっていたのですが、格安ホテルにもかかわらず、宿泊客はフォーの朝食を毎朝タダでいただくことができ、おかがで、すっかりフォーにハマってしまったのでした。

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サイゴンスタイル?は、麺のドンブリの他に、サイドディッシュのような形で香草サラダがたっぷり付きます。

それらを好みで麺の上にのせ、香草たっぷりのサラダ感覚で、ニョクナム風味の鳥スープで米粉の麺と共にいただきます。

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ドクダミやミントはこれを他の野菜と一緒に初めて食べると、パクチー以上に強烈なハーブなのですが、ところがこれ、何度かいただくと、逆にクセになる風味で、フォーのときには欠かせない香草になってしまうのでした。
味や香りは、かつてそれを食べた場所のことを思い出させてくれることがあるようで、昭和の食堂的な雰囲気のあった安ホテルの朝食風景を不意に思い出し、あのときのあの時間に無性に戻りたくなるのでした。

白州町鳥原、石尊神社のお祭り

この地に移り住んで20年ちょっと、これまで地元である白州鳥原区のお祭りを見たことがありませんでした。この時期、さまざまなイベントが重なってしまうという事情もあったりで(今回も「わとわまつり」と重なっていたりで)、今回、初めて見せていただきました。


石尊神社という名前の立派な木立ちに囲まれた神社が集落の最上部にあります。樹齢300年に達すると言われる立派な松並木(市の天然記念物)の参道を登ると、深い木立ちの中にポッカリと現れるひだまりがあって、そこに土俵がつくられています。その土俵で相撲が奉納されるという、ちょっとエキサイティングな面もあり、とてもいい雰囲気の感動的なお祭りでした。

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⇧なぜこんなに幅の広い階段になっているのか?この日はじめて判明。幅の広い階段は相撲を見るための観客席だったのでした。江戸時代後期には多くの人が訪れ、賑わったとのこと。

 
奉納相撲がはじまる前、少し時間があったのでまずは本殿にお参りすることにしました。
幅の広い階段状の観客席の先は、幅のせまい石段による急登。
登るのも大変ですが、これをつくったひとたちのことを考えると「登るのが大変」などとは言っていられません。登るのが大変なほどの石段がつくられていることに感銘しながら登りました。何段あるのか数えて見ればよかった(100段以上であることは確実です)。

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しかもこの石段、ひとつひとつが手刻みで成形されたものなのです。

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⇧ノミの痕にコケがのって、歴史が感じられる美しい表情をみせていました。

これは階段の中央にある手すり。これもまた美しい造形!

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石段の途中には、ところどころに自然石から掘られたお地蔵様がいたりします。

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あるいは、この世のものとは思えないような、美しいキノコとコケが生えた斜面があったり。

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そしてようやく、階上へ。
そこはそれまで登ってきた急峻な斜面とは対象的な思いがけない空間になっています。
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石尊神社と言われるだけあって、石像も多く建っていました。
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時代ののった御影石でつくられていると思われる石像たち。このあたりの山の石は多くが御影石で、砂は白く、白州(はくしゅう)の語源もこのあたりにありそうです。また御影石は水の浄化作用が強く、この地域の水は清らかで柔らかいことから、いまやウイスキーやミネラルウォーター、それに濃縮果汁を薄めてつくるジュース工場などが林立しています。

水がおいしいのは、石のおかげでもあり、水がおいしければあらゆる食べものも美味しくなり、食べものがおいしければ人は幸せなわけで、石を尊ぶ気持ちはこのあたりから生まれたのかもしれません。

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⇧自然石の粗さと彫刻の精巧さのコントラストが魅力的な石像が迎えてくれます。

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⇧欄干の金物の装飾や造形もいい感じでした。
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⇧拝殿は縦に長く、渡り廊下のような先に本殿が安置されています。

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⇧途中の天井は格天井で、見事な天井画が。

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⇧そしてこけら葺きの本殿。石尊神社は1398年の創建とのことです。

奉納相撲は午後1時すぎから始まりました。

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⇧艶やかな衣装の呼び出しと行司が場を盛り上げます。

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⇧終始にこやかな行司さんは、Facebook友達でもある長治さんでした。
判定が微妙なときには、お客さんたちに「いまどっちが勝った?」と聞くのがなんともいい感じ。お客さんたちは何度も見たいので多くの場合、「ドウタイ、取り直し!」と応えたりします。

そしてこの奉納相撲はなんと、江戸時代の後期(1829年)から続いているとのこと。

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⇧奥は「達磨富士」という四股名で、地域通貨などを一緒にやっている友達。繊細で大胆な素晴らしい焼きものをつくる陶芸家です。
友達が土俵にあがると、見ているこちらまで思わず力が入ってしまい息を止めて力んでしまうのでした。

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⇧なぜこれほどまでに手に汗を握るのか? 知り合いが多いということもあるけど、テレビなどで見る土俵と違ってここの土俵は余白がほとんどなく、土俵を割ると同時に力士は土俵から転がり落ちるのです。しかも高さがかなり高く、ヒヤヒヤするのでした。

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⇧今回、三人抜きで勝ったのは、手前のダイスケさん。素晴らしい運動神経の持ち主であると同時に猟師でもあり、わが家で解体するシカの多くは、ダイスケさんか、ダイスケさんのお父さんからのいただきものだったりします。

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⇧途中、赤ちゃんの邪気祓いの儀式も行われました。
これがまた、凄くよかった!

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⇧お相撲さんに抱っこされると無病息災に育つという言い伝えがあります。
深い木立の中で、光り輝くような光景でした。

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邪気祓いをしてもらう赤ちゃんには女の子もいるし、長い伝統があるお祭りですが、ここの土俵には女の子もあがれます。
いやぁ、本当に素晴らしかったなぁ。

クヌギの実の豊作とシギゾウムシ

南アルプス東麓では、今年はクヌギの実がいつにないくらいに豊作のように思えます。
もしかしてこれ、ミツバチと関係があったりしないのだろうか?
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この地では今年は異常なくらいにニホンミツバチの分蜂が盛んで、孫分蜂したものも数多く見られました。
この地域では、一時、アカリンダニの影響で、ニホンミツバチは壊滅的にまで減ってしまったのですが、ここに来て再び以前の個体数を取り戻したように思います。セイヨウミツバチが運んできたというアカリンダニに対して、もしかしたら耐性を身につけたのだろうか?

ウチで飼っているハチが飛んでこないような山の中でも、ウコギなどの雑木の花が咲くと羽音が耳につき、花を見るとニホンミツバチが盛んに吸蜜に来ていたりしました。

クヌギの実が多いと、クマが里に降りてくることが少なくなりそうな気もするけど、逆に個体数を増やして来年以降に事故の確率が増えてしまう可能性もあるのかもしれず、本当のところは分かりません。

ヒトはついつい自分の都合のいい方に考えてしまいがちだけど、自然の生態系は種や個の多様性を増やす方向に遷移しながらも個体数は常に増減を繰り返しながら平衡を保ち、個体数を増減させることで淘汰により遺伝子を変化させ多様性を身につけて環境の変化に対応してきた、ということは間違いないことのように思います。

ところが、いま、その生態系の仕組みから外れてしまっている生物がひとつだけあって、その生きものは平衡を保つことなく一方的に個体数を増やしてしまっているかのように見えます。
つまりこれは遺伝子淘汰による環境適応能力を失いつつある、ということ。

あるいは大発生したマイマイガがエントモファーガ・マイマイと呼ばれるマイマイガにだけ選択寄生する菌によって、壊滅するようにパンデミックが起こるのだろうか?

ヒトは、火や電気を使いこなし、前世代からの情報を知恵として次世代に伝える技術をも持っていたりもして、たしかにある点では非常に優秀ではあるけれど、ひとつひとつの個体は、自分や自分に近い種の遺伝子を残したいという本能には抗えていないようにも今の社会を見ていると思えます。

あるいはそれとも、蜂球を作ってスズメバチを熱殺するニホンミツバチのように、個を犠牲にしてでも群を守るような手段で種の保存を優先するような選択をするのだろうか? それもあんまりあって欲しくない選択です。

大豊作のクヌギの実の影に隠れているクリシギゾウムシを見つけて、そんなことをふと思ってしまったのでした。自然の生態系は素晴らしい!
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クヌギシギゾウムシが隠れているの分かるでしょうか? 
(実は撮影したときには気がつきませんでした)。

リコイルスターターロープの修理

いつも忘れてしまって困るので覚書です。
ホンダのロータリーモアのリコイルスターターロープのプレテンションのこと。
たぶん、ホンダのサラダ(管理機)などもほぼ同じではないかと思われます。

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ロープを通す前にプーリーをあらかじめ何回転、巻いておくか、という話です。

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止まるところまで目一杯巻く、というやり方もあるようだけど、それだとスプリングにかかるテンションが大きすぎる気がして緩めに巻くのだけれど、3回転では少なすぎてエンジンを掛けようとロープを引っ張ったときに底付きしてしまいます。それで、いつもやり直しをしていて、そのための覚書です。5回転くらいが良さそう。

1、修理の方法としては、スパナ角10ミリのネジ3本を緩めて、リコイルスターターを外す。

2、新しいロープ(直径約4ミリ)の先端を斜めに切り、その後、ライターで炙って、ロープの先端を細く固くしておく(これさえできていれば通すのは簡単)。

3、テンションのかかる方にプーリーを5回転くらい巻き、その状態でドライバーか何かを挿してまわり止めにし、その状態でロープを通して二重結びで止める。

4、ロープに腰がなくて通りにくいときは、炙る長さを少し長めに炙るか、針金を使って押し込む。

新品のロープがあって、プレテンションの巻き回転数さえ間違えなければ、10分くらいでできる作業ではある。

 

もうひとつの「外観ノーマル、中身フルチューン」

東京でテレビの収録(テレ東の番組で手づくりキャンパーの審査員をやるとか)で、福岡からの道すがらトミゾーさんが虫草農園に寄ってくれました。偉大なる遠回り、ありがとう!

軽ワンボックスの手づくりキャンパーは、ますます完成度をあげていて、バーとキッチンを内蔵。
限りある中でこうした空間をつくる、というのは凄く面白そう。
小型のデュークボックスはアンプになっていて、音楽のボリュームを調整できたり……、その場で調理もできて、これだけ雰囲気のある空間だったらヘタなバーでお酒飲むより楽しいかもなぁ。しかもそれが軽ワンボックスの荷室内なわけです!

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外観はこんな感じ。シックな艶消しのペールトーン塗装。
どこーにでもありそうな家族のワゴン♪ なのでした。

ところが中身はこんな感じ。

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クルマが揺れても倒れてこないようにボトルにはマジックテープが付いていたり、しかも眠くなったらその場でゴロンと寝れるというのは、どんな素敵なバーにもない贅沢かも。

 

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こちらは鉄とレンガを基調したブルックリンスタイルのキッチン。
アンティークレンガと鉄のパイプ、それに黒板がいい味をだしていました。

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塩ビパイプをベースに加工したとはとても思えないエージングペイントを駆使した鉄パイプ風のファニチャー。

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BOSEのスピーカーをベースにこの空間用に作り直したというスピーカーからボブ・マリーが流れ、夕刻の八ヶ岳山麓の一角に、なんともいい感じの雰囲気を漂わせてくれたのでした
いい音と、心地いいインテリア空間で、ヒトの感覚って一瞬にして変わるんだなぁ、ということを体験しました。ありがとうございました。今度はゆっくり、また来てね。