Blog「自給知足がおもしろい」

自給「知」足と称した、貧乏くさい暮らしを楽しむためのブログです。

完璧な自給自足は目指さず、「テキトー」と「いー加減」をモットーにあまり頑張りすぎない、
そんな暮らし方がこの頃なんだか、とてもオモシロイ!と感じています。
自給「知足」的な暮らしは言いかえると「貧乏臭い・ケチ臭い暮らし」でもあります。

でも「ケチ臭いビンボー暮らし」も、そう捨てたものではありません。
ビンボー暮らしは、お金をそれほど必要としない暮らしとも言えます。
そのため、お金稼ぎの作業や仕事に長時間、拘束されずにすみ、
その分の時間を、ヒトが暮らすための作業に使うことができます。

農的で質素な暮らし方が可能で、それにより身近なことで幸せを感じることができたりもします。
また、昔ながらの農的な暮らしは、ヒトも哺乳類の一種として自然の生態系の中で
虫や草や菌類など他のいきものたちと共に生きる暮らし方だったりもします。

そして、こうしたテキトーでいー加減な自給的な暮らしをうまくやっていくポイントは、「知足」? 
人間の欲望は際限がなくてお金をたくさん得られても、たぶんどんなお金持ちになっても満たされません。
でも逆に、小さなちょっとしたことでも、とても幸せに感じられることがあったりします……不思議です。

日々の暮らしの中から「自給知足的な暮らし」を楽しむためのヒント? 
のようなものを、紹介できたらいいなぁ、と思っています。どうか、よろしく。


森の中にポッカリと現れるエディブルガーデン

写真を探していたら、こんな写真を見つけてしまいました。
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直線的な畝を作らず、部分的に土を盛り起伏をつけ、道はS字を基本とした柔らかいカーブの連続。

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メインテナンス用の踏み石を兼ねて飛び石を配し、目地に苔を入れた延段のようなところもつくったりしていました。
目指していたのは「森のなかにポッカリと現れるエディブルガーデン」。

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⇧そう言えば、こんなものも作ったなぁ。電話がコードレスフォーンのところが時代を感じます。でも、それでも当時は便利でした。

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⇧廃アスファルトで作った延段。土極めで目地にはリッピアやタイム、オレガノなどを配しました。

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⇧傾斜地を利用したロックガーデン風。この頃は据えた石の「天」がしっかり出ていたんだなぁ。

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⇧圃場整備前で、周囲は森に囲まれていて、森を抜けるとポッカリと現れる秘密のひだまりガーデン、といった様相でした。ランドスケープデザインを仕事にしていた頃もあったのだけど、自分の庭だと好きなようにデザインできて嬉しかったなぁ。

一方いまは、畑7反、その他に、果樹園と林、それに田んぼがあって、農薬や除草剤を使わずに管理しているので、いつも時間に追われてしまっていて効率が最優先のような農的な暮らしになってしまっているけれど(知足からはほど遠い生活ですね)、(草刈りではなく草むしりで管理できるような)小さな畑だったらこんなやり方もオススメです。
ハーブ主体で起伏があり、パクチーの隣にキャベツが結球していたり、クリーピングタイムに縁取られてルバーブやサニーレタスが彩りを添えていたり。
でもまあ、この頃は農的とは別の手段でお金稼ぎをしていていまよりお金への依存度が高かったわけで、今の方がクルマの燃料や電気、暖房や給湯などエネルギーまで含めた自給率は高くなっていて、これはこれでこうした生活も楽しいからいいのだけれど。

虫刺されの季節 一番オススメの方法は?

スベリヒユが虫刺されに効く、という記事を最近、目にしました。スベリヒユなら簡単に見つかるので、手軽でいいですね。今度試してみようと思います。
虫刺されなどに効く消炎作用のある(と言われている)野草は、この他に、ヨモギ、オオバコ、ドクダミ、カキドオシ、チドメクサ、ビワ(葉)、ヤブガラシ、モモ(葉)、アカザ、アロエ、サンショなどが知られていますが、どれが一番効くのか? 一度にたくさん刺されたときに試してみたいと思っているのですが、最近はなかなかそんな機会に遭遇しません。少しは賢くなったということか? いままでの実験では、ヨモギオオスズメバチを生きたままスピリタスに漬け込んでしまったものが我が家の住人にはよく効く感じです。

アフェリエイト稼ぐのため、実際に試してみたことがないくせにネットから都合のいい情報だけを集めて作っただけの「まとめサイト」の影響か? 日本では絶大な人気のポイズンリムーバー&エキストラクターですが、国際赤十字などでは、効果がなく、逆に悪化させる可能性がある、との見解だったり、個体差や相性などもあるのだろうから、効果のありなしを実際に比較して試してみるのが一番のように思います(これに関しては何度か比較実験をしているのですが、結果はここには書きません、ウチの家族が特殊な可能性もあるし)。プラシーボも考慮に入れる必要があるし、そのときの体調などによっても違う可能性があるので、できれば同じ時にたくさん刺されたときに比較してみるのがいいように思います(その際は、こっちのほうがひどそうだなぁ、という方を何もせずに放置し、被害の少なそうな方にポイズンリムーバーなどを試してみてください。その方が手っ取り早いので)。

オテンバでこどもの頃、虫に刺されることが多かった娘の協力の元、この手のことを何度か試してきたのですが、わが家での一番のオススメは、虫によっても違うけど、ブヨや蚊は「何もしない」、あるいは「文房具用のメンディングテープを貼る」かなぁ。ただし、ミツバチのように毒嚢(どくのう=毒袋&ポンプ)が針と一緒に残っている場合は、毒嚢をつぶさないように(毒嚢をつぶさない方向から)クレジットカードなどのプラスチックカードでしごいて針を抜くのが先決です。毒嚢は体から分離しても数分間動き、ポンピングを行います。

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⇧これがミツバチの針と毒嚢。針にはカエシがあって、毒嚢ごと取れてしまう構造(刺したミツバチは死んでしまいます)。針を抜く際は、尖ったピンセットで、毒嚢をつぶさないように針だけをつまんで抜くか、プラスチックカードで刺された部分の皮膚をしごくようにして抜きます。ピンセットは安物でいいから、閉じた状態でヤスリで擦って先端が尖った状態でピッタリ合うように研いでおくとトゲを抜く場合などにも重宝します。


ムヒパッチが発売されたときに、驚くくらいに効果があってビックリしました。でも、ムヒパッチは高価で、一日に何箇所も刺される我が家の暮らしではふんだんには使えないので、ムヒ+偽バンドエイドを試し、その後、ラナケイン+セロテープを経て、いまは「メンディングテープをちっちゃく切って貼るだけ」です。

10ミリ×10ミリくらいに手でちぎって(←手で簡単にちぎれるところがセロテープとの大きな違いなのですが粗悪品のメンディングテープの中にはちぎれないものもあるので3Mやニチバンがオススメです。メンディグテープはただ刺されたところに貼るだけ。1ロールで相当に使えます。すぐに効果が体感できるのもオススメの点のひとつです。
(これも我が家の場合ですが)ムヒパッチは、かゆみ止めの薬の効果ではなく、(キズパワーパッドなどと同様に)、虫刺され箇所を空気に触れさせないことによる効果、のように思えたのです。人によっても違いがある可能性もありますが、もし良かったらぜひ一度、試してみてください。
 

継箱と巣箱の改良(夕涼み対策と着地場所の変更)

毎日いろいろあって、書き残しておきたいことや忘れないように書いておきたいことがたくさんあるのだけれど、夜になると健康的かつ猛烈な睡魔に襲われ、書きたいことが溜まってしまっています。で、とりあえずは、その日にやったことをなるべくその日のうちに書くようにしたい、ときょうは思ったのでした。

6月15日に孫分蜂した群れを取り込んだニホンミツバチの巣箱をのぞいたら、巣門のすぐちかくにまでハチがいて、継箱が必要なようでした。
急きょ、巣門と巣箱を作り、継箱をしました。

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⇧箱が足りず、上原師匠からお借りしていた待ち箱に分蜂群を取り込んでしまっていたので巣門ごと継箱をしました。これまでも巣門ごと交換してきたのですが、巣門の数が少なく、以前すぐ隣の巣箱で使っていた巣門と入れ替えることになったとき、以前の臭いがついていたのか、両方の箱のハチたちがまごついているようだったので、暑い時期以外は、巣門はかえずに2アクションで継箱に臨もうかと思ってもいます。

巣箱の改良の方のメインは、夕涼みで夜、巣箱の外に出てきているハチが多いので、巣内の温度が高すぎる可能性もあり、底板にメッシュを貼って通風をよくすることにしました。

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⇧これまではメッシュは木の枠で留めていたのですが、3ミリメッシュはかなり剛性があるので、M3のナベネジと平ワッシャーの組み合わせが良さそうでした(たぶんこんなにネジを打たなくても大丈夫だと思います)。

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⇧抜いた板も取っておいて、冬はこれを使ってメッシュ部分をフタする予定。

 

もうひとつは、帰還するハチの着艦場所の改良。
着艦時に底板の木端に激突してしまうハチがときどきいるので、底板に傾斜をつけることで、木端への激突や底板の下側に回ってしまい底板のネット部分から入ろうとしてしまうハチ対策をしてみました。

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⇧木端に激突するハチがときどきいるので木端が見えないように、そして着地しやすいように傾斜をつけてみました。
それと巣門の開閉も蝶板ではなく、ハチを挟むことがない取り外し式に変更。

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⇧傾斜部分の裏側。こんな風にして傾斜面を固定しました。

そして気温の下がった夕方、無事、継箱の追加&巣門の差し替え、終了。

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⇧上原師匠の箱と重田師匠の箱はサイズが異なるので、アダプターを作り、木端をテーパーに削るなどして、他の巣箱と同じく重田巣箱のサイズに移行することにしました(2種類あると両方の箱のスペアが必要になってしまうので……)。

ところで上原師匠の巣門は底板にではなく、側壁の上の方にあります(アルミのプレートのすぐ下が巣門。アルミのプレートは分蜂直後に女王バチをしばらく箱内に監禁するために取り付けました)。
着地面積が小さく着地しにくそうにも思ったのですが、これがなかなかいい感じで、激突したり着地に失敗したりするハチを見たことがありませんでした(穴のすぐ下の木の部分にス~っと止まります)。

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巣門を上にあげてあるのは、スムシ対策だそうで、スムシの成虫は底板付近に卵を生み、そこを外勤バチが通ることで、ハチの体に卵が付き、上部の巣に卵を運んでしまうのではないか? との考察からだそうです。スムシによる害が酷くなったらこの方式、ぜひ試させていただきたいと思っています。

オウム事件に関しての高村薫の寄稿

党利党略まるだしの選挙制度改革案が強行採決され、まるでショック・ドクトリン(惨事便乗型資本主義)が始まってしまったのではないかと思うくらいにいろいろなことが連続的に起こる中、オウム事件に関する高村薫の寄稿が朝日新聞に載っていました。
数日前の宮台真司のオウムに入り公開処刑されたエリートたちと、忖度や改竄に走るいまのエリート官僚たちは同じ世代で、同じ迷走を出発点としているという考察にも共鳴したけれども、タブーをもろともしない高村薫の寄稿には大きな衝撃を受けました。
備忘録として、写真を貼っておきます。写真をクリックすると拡大します。

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幸せの赤いガムテープ

最近のヒット作は「幸せの赤いガムテープ」です。


家族で畑をやっていると、誰がどこに何を植えたか? 混迷を極めます。
カミさんがていねいにタネを播いたところを、娘が翌日、耕うんしてしまう、などという家族内戦争が勃発しかねない事態が発生したりすることがあるわけです。


そんな外交上のトラブルを未然に防ぐためには、タネを播いたらそこにタネを播いたということがひと目でわかる「タネ、播きました!」のラベルを立てておく、タネ取り用に残してある果菜には「これはタネ取り用、収穫するべからず!」という札を付けておく、という方法を、いつも仲がいい安曇野の夫婦から教えていただきました。
しかしそれでも問題は起こるもので、自分で植えた苗ならまだしも、他人が植えた苗がラベルと共に草の中に埋もれていたりすると、一瞬で「チュン」と刈り払われてしまいます。

売り言葉に買い言葉、鎌や刈払機を持っているときの過激な口争は危険です。

そして、ある日突然訪れるそんな家族崩壊の危機を未然に防ぐためのアイテムが「幸せの赤いガムテープ」。
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⇧これがその「幸せの赤いガムテープ」です。

テキトーな木の枝に、100均で売っている赤いガムテープを小さくちぎって貼り付けただけのものなのですが、これが今の季節、いい感じで目立ちます。

畑の中にあっても、こんな感じ。

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⇧この幸せの目印の下には、カボチャの苗が隠れていました。

小さな目印ですが、圧倒的な緑の中、赤い小さな目印はかなり目立ちます。とはいえ、ビニールテープだとなんとなくテクスチャーがよくなくて、小さく切った赤い(布の)ガムテープと普通の木の枝、というのがいい感じでオススメです。

家族で仲良く、幸せな農的暮らしをおくるための大切なアイデアチップでした。

コプリーヌは美味しい!

最近また我が家の食卓に、あらたな自然の恵みが加わりました。
コプリーヌことササクレトヨタケ。
これがコプリーヌの幼菌たち。
林立すると、まるでムーミンのニョロニョロみたいだったりします。

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堆肥がたくさん漉き込まれた日陰の畑に、ニョロニョロとなぜかたくさん出てきます。
いままで踏みつぶしたり、野菜に黒い汁がつかないようにと投げ捨てていたのに、いまでは不注意で踏んでしまうことがないように小さい内は、アーチを掛けていたりします。
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コプリーヌという名前なので、てっきりコプリンが入っているのだと思っていました。
夕食時にアルコールが欠かせない身としては耐え難く(←アル中だな!)、食材としては美味しいらしい、とは聞いていたのですがちょっと敬遠していたのでした(コプリンが作用する時間は長く、食後、一週間以上はお酒を控える必要があるそうです)。

ところが最近のDNA配列に基づく統学的解析の結果では、ササクレトヨタケはヒトヨタケ科ではなくハラタケ科のキノコで、調べてみたところコプリンは含有しておらず、お酒を飲んでもササクレトヨタケであれば激しい悪酔いを起こすようなことはない、とのこと(コプリンを含有しているとその働きでアルコール分解酵素が働かず、血中にアセトアルデヒトが蓄積されてしまうらしいです)。

しかもササクレトヨタケは、ハラタケ科の代表的な食菌であるツクリタケ(マシュルーム)に似た食味で、さらにコクや旨味がある、とのこと。

ということで、試してみたら、それ以来、すっかりハマってしまっています。酒の肴にいただいても大丈夫でした。

一番ポピュラーな食べ方は、ソテーかなぁ。
オリーブオイルで炒め、白ワインを加え、汁をある程度飛ばしてから、最後にバターとお醤油で味を整える、というのがオススメ。

いまちょうどビーツが収穫できているので、他のきのことと共にボルシチに入れたりもしてみましたが、サワークリームとの相性もよくて、これも絶品。
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また、コプリーヌには、ビタミンEの7,000倍と言われる抗酸化&抗老化効果をもつエルゴチオネインという物質を含み、美白効果やシワや肌荒れに対して改善効果があると言われていてサプリメントや化粧品の素材として注目されているそうです。


かなり特徴のあるキノコなので、キノコの好きな人は間違えることはないと思うけれども、白系のキノコということではドクツルタケやフクロツルタケなどとも同じなので、自信がない人はしっかり調べてから食べたほうがいいと思います。
ドクツルは、1本で3人死ねる致死量を含有しています。白いキノコで卵からキノコが出ていたら初心者の人は食べないほうがいいと思います。

見分け方のひとつとして、ササクレトヨタケは老菌がこんな感じで黒く溶けます。

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⇧ササクレトヨタケには、自家消化作用があり、黒い液体になって自らの体を溶かしてしまうという特徴があるのです。この状態でも茎は食べられるそうで、黒い部分をスープにする人もいるようだけど、我が家ではまだ挑戦していません。

 

ハラタケ科のキノコではあるけれど、成菌になると、ヒトヨタケ同様、ひと晩で溶けてなくなってしまうのがコプリーヌの特徴でもあります。
田舎には、なにもないけど、なんでもある。
コプリーヌは幻のキノコなどとも呼ばれているそうで、こんなキノコが食べられるのも、自然の豊かなところに暮らす者の特権、なのかもなぁ。大地よ、ありがとう!

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こちらはササクレトヨタケとアサリのパスタ。クリーム系のソースによく合います。

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ホント、このきのこは不思議なきのこで、ある日、突然、出現します。
しかもひと晩で溶けてしまうので、その日にすべて収穫し熱処理してしまわないといけません。そうしないと黒く溶けてしまうのです。

200円で作れる?蜂球捕獲器とアジャスタブル巣門

なんだかこのところ、ハチの話ばかりでゴメンナサイ!
でも、こりずに今回もまた、ミツバチの話です。ゴメン。

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ミツバチは巣分かれする際、こども(新女王)ではなく、親(母女王)がこどもに巣を託して家を出ます。「心優しい思いやりある行為」と受け取ることもできますが、「理にかなっている」との見方もできます。
ところで、今年の春、巣分かれした女王バチ(母女王であることが多い)が新しく作った巣で再び新女王バチを生み、仲間を連れて再び自分が巣からでていくことを孫分蜂といいます。分蜂する女王についていく働き蜂と巣に残る働き蜂はどうやってわかれるのか、気になるところですが、研究が進んでいると言われるミツバチでも、まだ分かっていないことが実はたくさんあったりします。

そしてなぜか、今年は孫分蜂が盛んで、このところは、分蜂したハチの捕獲と巣箱づくりに追われていました。

ハチを極力傷つけず、うまく優しく捕獲し、巣箱に誘導することができると、その群れは人に慣れた優しい群れになるのですが、捕獲に手間取り手荒なことをするはめになったり、あるいはハチをなにかのアクシデントでつぶしてしまったりすると、その群れは攻撃的な群れになる感じがします。
ハチはある種の記憶力が非常によくて、ヒトの個体の同定とそのヒトがどんなことをしたかをしっかり覚えているみたいなんだよなぁ。

 

というわけで、「ていねいに優しくハチたちをつかまえ、巣箱に誘導するにはどうしたらいいか?」がもっかの課題で、朝から晩まで、起きている間だけでなく寝ているときの夢の中でまで、そのことを考えているという日々が続いていたのでした(バレーボールをしていて私が打ったサーブはもの凄い変化球になりだれもレシーブできないのだけれど、それが実はボールではなく蜂球だということに相手チームはまだ気が付かない、というヘンテコリンな夢をみました)。


そんなわけで(ダイヤモンドヤスリを買いに)100円ショップに行ったときも、ところかまわずあたりをキョロキョロ。あとから考えるとまるで不審者だったろうなぁ。さらには、商品棚とひとり向かい合いながら独り言をブツブツつぶやくヤバいオッサンになっていました(話は違うけど、100円ショップのダイヤモンドヤスリ、あれ、農具などの刃物研ぎに凄くいいですよ)。

ところで蜂球ですが、我が家の場合、すぐ近くに大きなエノキの木があって、蜂球はそのエノキの幹にできます。表面がザラザラな上、凸凹した太枝なので、これまで使っていた志賀昆虫の折りたたみ捕虫網では取りこぼしが多かったのでした。

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⇧分蜂群の第一集合場所にできた蜂球。まさにバレーボール大なのです。

 

で、蜂球ができている枝の曲面にネットの縁をどうやって密着させ、取りこぼし少なくハチをネットの中に取り込むか、それが課題なのでした。 

柔軟性があって、しかもある程度コシがあり、ハチを傷つけにくいもの。素材としてはシリコンあたりが良さそうだなぁ、と以前から思っていたのですが、まさにピッタリなものを100円ショップで見つけました。
そしてそれに組み合わせるネットも。
⇩これらがそれ。

f:id:musikusanouen:20180623222815j:plain⇧シリコン製の洗濯物用バスケットと、背高タイプの扇風機を仕舞っておくときの不織布でできたカバー。いずれも100円(正確には108円)。

洗濯物用のシリコンバスケットは底を切り抜いて使用します(「カエシ」の役もするので底は小さめに切り抜いたほうがいいことがあとで判明)。扇風機のカバーの下から3分の2くらいの位置に、ヒモを上の写真のようにセットします。

不織布のネットに、底を抜いたバスケットを、こんな感じにセットします。

f:id:musikusanouen:20180623222822j:plain⇧水色のヒモは本来は扇風機にカバーを固定するためのもので、ちょうど都合のいい位置に付いていました。

そして、こんな風にして使います。

f:id:musikusanouen:20180623222826j:plain⇧ずっしりと重いくらい。すでにほとんどのハチが、ネットの底に落ちています。女王様さえしっかり捕獲できれば、少しくらいは取りこぼしが合っても問題ないのだけれど(取りこぼしがあって、その一部が元巣に戻ることで、そのハチが次の分蜂のときも同じ第一集合場所に誘導してくれる、という説もあります)。

捕まえたら、こんな感じでネットをセットします。この時点では、不織布に取り付けた白いヒモは絞ったままの状態で、巣箱を上にセットしてからヒモを緩めて開放します。すると、ハチたちはスルスルと上の巣箱に登っていってくれるのです。

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⇩ネットの上に箱をセットし、ネット内でハチの上昇を阻んでいたヒモを解いているところ。

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⇧箱の下にネットをセットできたので、真ん中のヒモをほどいてあげます。すると、かなり素直に巣箱に吸い込まれていくのでした。でもスキマがあるとそこから一部のハチが外に出てしまい、中に入れなくなり混乱するのでした。


そんなわけで捕獲器を少し改良。

スキマができないように、巣箱の底のサイズに合わせて、四角い台を作ってみました。f:id:musikusanouen:20180623222842j:plain
そしてこれがかなりいい感じ。
こんな感じでセットします。

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箱を載せるとこんな感じ。

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⇧ひっぱるヒモの部分にも赤いテープを貼り、あわてて違うヒモを引っ張ってしまわないように改良。
おかげで、手際よく取り残しも少なく捕まえることができるようになったのです、が、ニホンミツバチの世界はなんとも奥深くて、スピーディーに作業ができればそれでいいのか? というとどうもそういうことでもないようなのです。
蜂球をネットに落としたあと、すぐに巣箱に移動させず、数時間のインターバルを置いてから巣箱に入れたほうがいい、という説もあって、そうしないと移動場所のリセットができず、最初にみんなで決めた移動場所(←これがまた面白いところなのだけれど長くなるのでまた別の機会に)に移動してしまうことが多いとのこと。


このところの成績は、2勝2敗1分け。うまく定住してくれたのが2群で、翌日までに逃げられてしまったのが2群。そして箱に取り込んだにもかかわらず、どうも元いた巣に戻ってしまった(と思われる)群れが1群。

大切なのは蜂球の中に「女王バチがいる」ということと、取り込んだ巣箱を「気に入ってくれる」ということのようでした。

とはいえ、いつ女王が蜂球に加わったのか?を見極めるのは初心者の私には難しく、一斉に飛び立たれては大変! とついつい早めに取り込んでしまうのでした(蜂球の外側の温度で見極めるという方法もあるそうで、次回は赤外線温度計でやってみようと思っています)。

取り込んだ後は、巣門の高さを3.8ミリに調整し、しばらく女王バチを閉じ込めます。この高さだと、働き蜂は出れるけれども、体の大きな女王バチは出れない、のです。ただ、このサイズだと働き蜂よりもサイズの大きなオスバチも巣門を通ることができず、同じオスとしはちょっと可愛そうに思えてしまって(オスが邪魔で働き蜂たちも迷惑そうなので)、ぎりぎりオスバチも通ることのできるサイズに調整したりもしました。
それが失敗だったのか、和蜂なのに巣門の表示を英語で書いてしまったのがいけなかったのか、この群れは翌朝までにいなくなってしまっていました。

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⇧顔が真っ黒なのがオスバチ。働き蜂たちは通れるけれども、3.8ミリだと雄は通れないようで、顔だけ出して「出してくれ~」と必死に訴えるのでした。

しかしそれにしても、飼ってみないと分からないことはたくさんあるものです。オスも分蜂する群の中に混ざっていて一緒に出ていくなんて、思いもよりませんでした。どうやって決まるのかなぁ、出ていく人と残る人。

それともうひとつ。雨が降ったり夜露が降りたりすると、木が膨張して巣門の高さが高くなってしまうという話もあって、上下ともに金属でできている調整式巣門も作ってみました。

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準備万端、次は良さそう! と思って待ち構えているのですが、そう思える頃には孫分蜂シーズンも終わりに近づいてしまい、課題は来年まで持ち越しになりそうです。

このところは、ヒマさえあればタイムを株分けし、畑や道のアチラコチラに植えています。「やっとハチから抜け出せた」と家族は思っているのかも知れませんが、クリーピングタイムはミツバチにとっての貴重な蜜源植物なのです。
ヒトはハチをうまくつかまえることができないけれど、ハチたちはヒトの心をしっかりとつかまえなかなか放してはくれません。